踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 19:29 UTC 版)
スタッフ
- 監督 - 本広克行 (ROBOT)
- 脚本 - 君塚良一
- 音楽 - 菅野祐悟
- オリジナルテーマ曲 - 松本晃彦
- 製作 - 亀山千広、永田芳男
- プロデューサー - 臼井裕詞、安藤親広、村上公一
- アソシエイトプロデューサー - 瀬田裕幸、上原寿一
- 撮影 - 川越一成
- 照明 - 加瀬弘行
- 美術監督 - 梅田正則
- 美術デザイン - 棈木陽次
- 録音 - 加来昭彦
- 編集 - 田口拓也
- VFXスーパーバイザー - 石井教雄
- 選曲 - 藤村義孝
- 音響効果 - 大河原将
- キャスティング - 吉川威史
- 監督補 - 松川嵩史
- 制作担当 - 加藤誠、巣立恭平
- 脚本協力 - 金沢達也
- 協力 - 日本通運
- 協賛 - NTTドコモ
- supported by ドコモ動画
- 製作 - フジテレビジョン、アイ・エヌ・ピー
- 配給 - 東宝
備考
- 前作、前々作と同じく本作にも他の傑作映画やアニメ作品の模倣が見受けられ、劇中のストーリーや単語、画面上などに、特に黒澤明監督の『野良犬』を彷彿とさせるネタが仕掛けられている[5]。これは監督の本広が自身について「パクリ王」と公言しているため意図した演出とのこと。
- 今作で登場する和久ノートに書かれている言葉は、前作まで和久平八郎を演じたいかりや長介のセリフそのままである。そのため「なんてな」という口癖を本人がわざわざノートに書き記していたという設定になっている。
- 劇中に登場する新湾岸署は、実在する東京湾岸署に隣接するオフィスビル「the SOHO」の外観が使用された。ロケは同建物が開業する直前に行われたもの。
- 撮影は当初2009年秋を予定していたものの、脚本の君塚良一が織田サイドとの脚本校正作業に難航し、2010年正月明けに延期されたが、12月に入っても台本がスタッフの手に渡っていないなど、エキストラ募集にも影響した。
- 鳥飼が劇中で負傷するきっかけとなったノートパソコンはPowerBook G3で、『THE MOVIE』で日向真奈美が逮捕時まで使用(雪乃とのチャットに用いる)していたものと同系統である。
- 公式ウェブサイトの登録会員である「ネットワーク捜査員」へのエキストラ募集が、3事件に分けて行われたが参加回により雨天中止、事前中止、殆ど撮影無しの日程があり参加登録した「ネットワーク捜査員」からは残念がられた。
- プロデューサーの亀山千広やスタッフ、キャストいわく、本作のテーマは児童虐待事件や保護責任者遺棄致死事件ならびに秋葉原通り魔事件のような巻き添え殺人事件を意識して、「生と死」「もう一度生きる」「(生のための死はあれども)死のための生はない」などという設定があるらしい。
- オープニングは、従来の映画版とは異なりシリーズの定番楽曲である『RHYTHM AND POLICE』が使われない、タイトルテロップの出し方、健康診断ネタなど、かつてのTVシリーズの第1話を意識した構成やネタが頻出されている。
- 劇中のバスジャック事件で被害を受けたバスの運転手は、『交渉人 真下正義』の中で、東陽町駅に停車していた地下鉄車両クモE4-600の運転席の写真を職務中に携帯電話で撮影し、その後駅員を解雇された人物と同じである。この劇中での真下との共演はない。
- 副題になるなど今作の重要な要素として、凶悪犯9名の解放を要求するという構成であるが、9名中、5名が刑期を終えて出所していたという設定になっており、その5名は写真のみの出演である。
- 劇中で使用された備品の一部は大手リース会社 AZ-Sceneのリースであった。
- 実行犯の須川圭一の職業が「精神保健福祉士」となっているが、仕事の内容から「臨床心理士」の間違いである。また劇中の設定である「23歳で実務経験5年」の者はどちらの資格でも実際には存在しえない(精神保健福祉士は保健系および福祉系大卒、臨床心理士は大学院卒以上でないと受験資格が得られない)[6]。
- シリーズでこれまで志や友情を分かち合ってきた青島と室井だが、今作では、織田裕二と柳葉敏郎の共演シーンは極端に少なく本編ラストでようやく対面する。そこで室井の「これからは政治をする」という言葉に対して「楽しいですか?」と問いかけた青島へ、無言でクルマに乗り込んだ室井は「生意気な口を聞くな」という意味の「へっちゃまげな」という秋田弁でつぶやくやり取りが描かれている。
受賞・評価
- HIHOはくさいアワード第6位[7]
- 第7回蛇いちご賞作品賞受賞。
- TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』のシネマハスラー2010年全映画ランキングでは対象56作品中ワースト5位[8]。
宣伝展開
- 実在企業がコラボ・スポンサーとして、NTTドコモ、日本通運、ローソン、明星食品の商品やサービスが本編中に露出する。そのため引っ越し業者は、作品中の架空の運送会社・カエル急便と日本通運が共同で担当する設定になっている。
- フジテレビ『めざましテレビ』番組内に「快盗愛子」枠が設定され、皆藤愛子と軽部真一が撮影現場からキャストインタビューなどを行い新情報を紹介し、織田裕二から青島コートを贈られその場で着せてもらうというシーンや、柳葉敏郎がインタビュー後に立ち去ろうとしてつまづくシーンなどがあり、さらに皆藤自身も実際に出演している。
- 公式ウェブサイトに、亀P動画として製作・プロデューサーの亀山千広による数分の撮影現場リポート動画が用意され、19回程配信された。
- 製作期間中より製作部のスタッフルームに監視カメラが設置され、公式サイトで早朝から深夜まで撮影進捗グラフや、編集ルームの模様が中継され、全国と台湾から大量の差し入れが届きその度に、カメラ前に備えられスタッフの感謝メモが添えられた。
- 公式ウェブサイトで、旧作(『容疑者 室井慎次』まで)から登録している「ネットワーク捜査員」は、個人情報の取り扱いが法令により厳密化したため、個人情報の管理はフジテレビが「フジテレビID」によって行うこととなり、odoru.com側では捜査員としてのプロフィール管理とコンテンツのみを提供する形式に変更された。
- 撮影現場で盛り上がったというラー油が公式サイトやTwitterなどで紹介されたが紛失したために更に話題になり、グッズとして制作出来ないか検討までされた。
- 映画公開に合わせて、踊る大捜査線レジェンズとしてテレビシリーズのノーカット版再放送が関東ローカルで実施された。
- 雑誌『ぴあ』、『日経エンタテインメント!』、日本映画naviなど各誌が20頁強の特集を組み、ぴあとキネマ旬報社からオフィシャルガイドブックが出版される。
- 完成披露試写会が予告され、ネットワーク捜査員1150組2300名が6月29日東京国際フォーラムに招待された。
- 2010年7月27日には邦画で最大の1日で3劇場10回の舞台挨拶を行っている。
- 映画の半券と一緒に応募すると、抽選で劇場用ポスター5種類セットが当たる「踊る大捜査線 THE PRESENT ポスターを解放せよ!」キャンペーンを実施。シリーズ3作目ということで各月の3日、13日、23日に応募を締め切り、7月13日~9月3日までの計10回そのつど抽選が行われ各回333名(合計3,330名)が当選するというものだった。
関連イベント
- 2010年4月3日には、実在する警視庁東京湾岸署の一日署長、一日副署長、一日刑事課長としてスリーアミーゴスの3人がパレードに出席した。
- 毎週金曜日夜21時から公式HP内コンテンツ「しゃべる大会議室」にて約2時間におよぶネット生放送「しゃべる大捜査線」(全8回)を実施し、第2回放送で7月2日まで毎週行うことが明らかになり、プロデューサーの亀山が「公開前夜にしゃべるやって翌日舞台挨拶?前々夜祭ってことは7月1日も?寝れないじゃない」という過密スケジュールも発言した。この発言が切っ掛けか、しゃべるの最終回は金曜から木曜に変更され、前夜祭(OD1、OD2、OD3の連続上映+舞台挨拶)は無事金曜日に行われた。なお、公開当日の舞台挨拶には亀山は登壇していない。
- 湾岸署の署歌が今作で制作され、署歌を使った予告編が、第2回しゃべる大捜査線で紹介されるも「使われることは無い」としながらも(実は本編ラストで数十秒流れる)、署歌を印字した湯呑み茶碗を公式グッズとして制作した。
- 第4回のしゃべる大捜査線で、プロデューサーの亀山が数日風邪で休んでいたが鼻声で出演し、翌日に監督の本広が自責の念をツイッターに投稿した[9]。
- オフラインイベント「集う大捜査線」として札幌、名古屋、大阪、福岡でネットワーク捜査員の募集が行われ、お手伝いも同時募集した(制服が用意されカエル急便のつなぎが紹介される)、この「集う」では各会場で今まで名前の付いていなかったキャラクターに名前を付けるという試み(ネットワーク捜査員から名前候補を募集)が行われ、爆発物処理班班長、草壁中隊長、秋山副署長、神田署長の正式な姓名が発表された。
Blu-ray / DVD
2011年2月2日発売。本編ディスクには初回生産限定特典として、『警護官 内田晋三』を収録。販売元ポニーキャニオン。
- スタンダード・エディション(1枚組)
- 映像特典:特報・劇場予告編・TVスポット集、音声特典:オーディオコメンタリー(製作:亀山千広×脚本:君塚良一×監督:本広克行)
- プレミアム・エディション(3枚組)
- ディスク1・本編(スタンダード・エディションと同様)、ディスク2・特典DVD1:メイキング of 『踊る大捜査線 THE MOVIE3』、未公開シーン集、キャストインタビュー、湾岸署歌(カラオケ付)、新湾岸署MAP、ディスク3・特典DVD2:イベント映像集〜製作報告会見から大ヒット舞台挨拶まで〜、踊れ 怪盗愛子、特製アウターケース付き
- カエル急便おまとめパック(5枚組・初回限定生産) - プレミアム・エディション(3枚)、『係長 青島俊作 THE MOBILE 事件は取調室で起きている!』DVD、『深夜も踊る大捜査線3』DVD
書籍
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! 完全読本』(ぴあ 2010年6月21日発売) ISBN 978-4-8356-1346-8
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』(扶桑社、2010年7月29日発売) ISBN 978-4-5940-6255-2
- 『踊る監督日記~踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!~ 』(講談社、2010年8月27日発売) ISBN 978-4-0621-6443-6
- 『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!シナリオ・ガイドブック』(キネマ旬報社キネ旬ムック 2010年8月31日発売) ISBN 4-8737-6710-5
サウンドトラック(BGM)
劇中では「Rhythm And Police」や、「C.X.(Orchestra Version)」、「OTOBOKE」といった松本晃彦の楽曲も使用されているが、このサウンドトラックに収録されているのは菅野祐悟の楽曲のみである。
- 『ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK THE MOVIE3 』(2010年7月7日発売)
- ^ 劇場プログラムより
- ^ 公開初日舞台挨拶が全国41カ所の劇場に生中継され、配給の東宝によると上映初回だけで1万人以上が動員と発表された。公開日の興収が5億2,928万3,850円、動員が39万17人、2日目が興収4億4,270万9,600円、動員が31万7,382人“100億突破なるか!?熱狂的なファンが集結し、『踊る3』がぶっちぎりのトップ!!【映画週末興行成績】”. シネマトゥディ. (2010年7月6日) 2011年2月15日閲覧。
- ^ 一般社団法人 日本映画製作者連盟 (2011年1月27日). “2010年度(平成22年)興収10億円以上番組(平成23年1月発表)[邦画]” (PDF). 2011年1月28日閲覧。
- ^ 踊る大捜査線シリーズ内ではないが、『UDON』内でも出所後の様子が描かれている。
- ^ 須川 圭一のオンラインゲームでのハンドルネーム「ノライヌ」など
- ^ このことは当の精神保健福祉士協会からも指摘を受けている。2010年度要望書・見解等・「踊る大捜査線 THE MOVIE3」に登場する精神保健福祉士資格者に係る設定の誤りについて(指摘とお願い)
- ^ 毒舌!脱力!2010年のトホホなダメ映画はコレ!映画秘宝はくさいアワード決定!シネマトゥディ 2011年1月21日
- ^ ザ・シネマハスラー 2010年 全映画ランキング!(12月18日確定)TBSラジオライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル 2010年12月19日
- ^ Twitter/本広克行 2010年6月5日 10:16 2010年7月閲覧。
- ^ ドコモ動画『踊る大捜査線3』スピンオフが1週間限定で劇場公開&織田裕二、1日10回舞台挨拶敢行!MovieWalker 2010年7月24日
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