超獣機神ダンクーガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/03 05:29 UTC 版)
概要
ロボットアニメというジャンルが『機動戦士ガンダム』を発端とするリアルロボットに席巻され、そのリアルロボットものの潮流も「一息ついた」時代の作品である[注釈 2]。最新鋭兵器を駆使する特殊部隊という獣戦機隊の設定や侵略者に対して民間人がレジスタンス活動を繰り広げるといった面ではリアルロボット系作品の作風を意識しつつも、敵が有機的で不気味な兵器を擁する宇宙(異次元)からの侵略者という点等ではリアルロボット以前のスーパーロボット系作品で見られた、「ロボットアニメのお約束」的要素も取り入れられている。
シリーズ構成兼メイン脚本家の藤川桂介は、代表作『六神合体ゴッドマーズ』でも見せた「過酷な戦いの中で展開される愛憎劇」を本作においても基本コンセプトに据えた。その主軸を主人公の忍ではなくヒロイン・沙羅とし、恋仲だったシャピロが野心ゆえに敵の軍門に下り自分の故郷たる地球や恋人だった沙羅を窮地に陥れるというシチュエーションが本作のドラマに他の作品には無いアクセントを付ける事となる。また、獣戦機隊の4人をストーリー上ほぼ同格の位置付けで描くことで、彼等の青春物語を軸に据えた「群像劇」としての側面が強調された点も、ロボットアニメの描写としては斬新な形であった。更には主人公たちの精神的な成長や戦局の熾烈化に合わせて搭乗する獣戦機の新たなる機能が発現する=モードチェンジが行えるようになるという設定も、序盤においては回を負う毎に新しいメカアクション描写が展開されるという見せ方に繋がり、こちらも物語を盛り上げる事に貢献した。しかし、子供や老人までもが無惨に死んでいく、無慈悲な侵略者との戦争という殺伐とした舞台設定に加えて、沙羅のシャピロに対する「愛しているが故に憎む」という感情は商業展開上のメインターゲットたる低年齢層の男子には理解し難いものだった。そしてロボットアニメでありながら主人公側の人型ロボットが登場するのは第11話で、タイトルにもなっている主役メカ・ダンクーガの初登場に至っては第2クール以後の第16話と非常に遅いなど、ドラマを重視し過ぎた展開も低年齢層の男子の視聴者には受け入れられなかったばかりか不評と顰蹙を買う結果に終わった。
キャラクターデザインは、芦田豊雄率いるスタジオ・ライブの若手アニメーターの中で頭角を現しつつあった数名が「いんどり小屋」のユニット名でデザインを行った。具体的なデザイナー名とその担当キャラはスタッフの項を参照の事。主人公4人のキャラデザインには、この時期に流行し出したおしゃれブームの潮流が反映され、アイキャッチに登場する際の4人のファッションや、本編でのプライベートシーンでの彼等の服装はあたかも当時の原宿辺りに多く見られたようなバンダナ、トレーナー等、当時のお洒落な若者の流行がふんだんに反映され、この点でも、やや年長の視聴者を意識した演出が見られた。一方作画監督はその殆どが葦プロ作品で馴染みのあるアニメーターが、完全な定期サイクルではないもののローテーションのような形で勤めている。スタジオ・ライブ所属のアニメーターは原画での参加が殆どで、作監は只野和子が僅かに3回担当したのみだった。
ダンクーガのメカデザインは、板橋克己の手によるデザイン原案を元に[3]、平井寿(現・平井久司)が手掛けている[注釈 3][4]。敵側のメカは平井久司と、当時まだ新人だった大張正己が担当している。
注釈
- ^ 打ち切りの理由は「オモチャの販売低迷」[1]とも「アメリカでの超合金ブームに乗って超合金の在庫を全て輸出した結果、売り物がなくなったため」[2]ともされている。
- ^ 同時期に製作された『機動戦士Ζガンダム』のメカデザイナー藤田一巳は、商業的な不振に陥っていたロボットアニメ市場のカンフル剤として『ガンダム』の続編をバンダイが熱望したという経緯から『Ζ』の企画が始動した事をホビージャパン誌に連載したエッセイで述懐している。
- ^ 当時は中村プロダクション所属だった為名前の後にカッコで所属が表記されていた。
- ^ 当時の『アニメディア』の記事において「現実世界のパラレルワールドである」裏設定が存在するとのスタッフの発言があった。また玩具CMナレーションでは199X年となっている。
- ^ 次回予告ナレーションも兼任。
- ^ 当初は1968年12月31日と表記[8]。また第4話では誕生年が1969年生まれ、年齢17歳と述べている。
- ^ 一部ナレーションも兼任。
- ^ エンドクレジットでは「母」。
- ^ 『GOD BLESS DANCOUGA』のみ「池毅」と表記。
- ^ 「騎士の伝説」の英語訳は、本来なら“Legend …”だが、“Regend …”と表記されていた。
- ^ 土曜 16:25 - 16:55枠時代は終了時間が16:54の時期もあり。
- ^ 1987年8月に開始されるが9月6日放送分で終了。その後、1988年7月に『夏休み子供劇場』として『まんが日本昔ばなし』の再放送とともに放送された。
- ^ メンバーは矢尾一樹、山本百合子、中原茂の3名。塩沢兼人はゲストとして参加。
- ^ 説明書には合体に関する説明は記されていないが、ブラックウイングの台座が合体ジョイントを兼ねており、それを介してダンクーガに合体することが可能。
出典
- ^ GAKKEN MOOK 1986, pp. 106, 「『ダンクーガ』それぞれ、ここが良かった、悪かった」
- ^ 『アニメの仕事は面白すぎる 絵コンテの鬼・奥田誠治と日本アニメ界のリアル』、出版ワークス、2020年1月24日初版発行、106頁。ISBN 978-4-907108-46-5。
- ^ アグレッシブマテリアルファイル 2008, pp. 10, 「超獣機神ダンクーガ 作品解説」
- ^ GAKKEN MOOK 1986, pp. 103, 「メカデザイナーのひとりごと 大張正己・平井寿」
- ^ 倉田幸雄編「アニメキャラリサーチ 藤原忍 超獣機神ダンクーガ」『アニメディア』1985年10月号、学習研究社、1985年10月1日、65頁、雑誌01579-10。
- ^ a b 倉田幸雄編「アニメキャラリサーチ 新春スペシャル 超獣機神ダンクーガ」『アニメディア』1986年1月号、学習研究社、1986年1月1日、77頁、雑誌01579-1。
- ^ GOD BLESS DANCOUGAR 1987, pp. 113, 「このセリフで燃えつきました! 声優が語る「入魂の名セリフ」 」
- ^ BEST HIT SERIES 1985, pp. 31, 「キャラクターズ WHO'S WHO」
- ^ 倉田幸雄編「アニメキャラリサーチ 式部雅人 超獣機神ダンクーガ」『アニメディア』1985年8月号、学習研究社、1985年8月1日、93頁、雑誌01579-8。
- ^ a b c d アグレッシブマテリアルファイル 2008, pp. 25, 「TVシリーズ」
- ^ 大張正己のTwitter上での発言(https://twitter.com/G1_BARI/status/193789332233007104)より
- ^ a b c d e 『別冊オトナアニメ プロフェッショナル100人が選ぶベストアニメ』洋泉社、2011年9月29日発行、142頁、ISBN 978-4-86248-782-7
- ^ a b c d e f g h i j k l GAKKEN MOOK 1986, pp. 98–100, 「Welcom to the いんどりの小屋」
- ^ アニメージュ1985年5月号
- ^ BD-BOX1の解説書
- ^ DVDパート1の解説書
- ^ 『電光超人グリッドマン オリジナル・サウンドトラック』(2019年、disc union)のライナーノーツにおけるインタビューより。
- ^ 完全設定資料集 2006, pp. 118, 「スペシャルインタビュー5 大張正己(メカニックデザイン)」
- ^ 『北海道新聞』(縮刷版) 1985年(昭和60年)4月 - 12月、テレビ欄。
- ^ 『日刊スポーツ』1985年4月26日 - 9月20日付テレビ欄。
- ^ 『日刊スポーツ』1985年9月4日 - 9月18日付テレビ欄。
- ^ 『福島民報』1985年4月5日 - 12月27日付朝刊、テレビ欄。
- ^ 『福島民報』1987年8月2日- 9月6日、1988年7月21日- 8月19日付朝刊、テレビ欄。
- ^ 『福島民報』1985年8月2日 - 9月27日付朝刊、テレビ欄。
- ^ DVD-BOX第2巻のライナーノーツより。
- ^ DVD-BOX第1巻のライナーノーツより。
- ^ 株式会社千値練 ー Sentinel co.,ltd / 商品情報 ー 『METAMOR-FORCE 超獣機神ダンクーガ』発売遅延についてのお知らせとお詫び
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