豊田商事事件 豊田商事事件の概要

豊田商事事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/04/04 06:06 UTC 版)

概要

高齢者を中心に数万人が被害に遭い、被害総額は2000億円近くと見積もられ、2009年現在詐欺事件としては最大の被害額[1]である。強引な勧誘によって契約させられた挙句に老後の蓄えを失った被害者も多く、会長の永野一男がマスコミの前で惨殺されたり、その犯人に対して本事件を考慮した温情判決も出されるなど、大きな社会問題となった。

年表

  • 1981年、前身となる「大阪豊田商事株式会社」設立。
  • 1982年、豊田商事株式会社に改名。
  • 1985年、豊田商事の商法が社会問題化。国民生活センターなどにより豊田商事関連の110番が設置された。

手口

客は金の地金を購入する契約を結ぶが、現物は客に引き渡さずに会社が預かり「純金ファミリー契約証券」という証券を代金と引き替えに渡す形式を取った。このため客は現物を購入するのか確認できず、実態は証券という名目の紙切れしか手許に残らない現物まがい商法(ペーパー商法)と言われるものであった。豊田商事の営業拠点には金の延べ棒がこれ見よがしに積まれていたが、後の捜査によってそれは「ニセモノ」であったことが明らかになっている。

また勧誘においては主に独居老人が狙われたのも特徴だった。まず電話セールスで無差別に勧誘し、脈ありと判断すると相手の家を訪問する。家に上がると線香をあげたり身辺の世話をしたり「息子だと思ってくれ」と言って人情に訴えるなど相手につけ込み、インチキな契約を結ばせていった。

客を信用させる為、知名度がある企業とブランド名を悪用したりテレビCMを多数放映したほか、主催イベントで芸能人を起用している。そもそも「豊田商事」という社名自体、トヨタ自動車の系列と錯覚させるためにつけられたものであった。トヨタを盗用した理由は、会長の永野一男が中学校を卒業後、最初の就職先がトヨタ自動車のグループ企業である日本電装(現デンソー)だったためと言われている(豊田商事とは全く無関係)。これ以前よりトヨタグループの総合商社として豊田通商がすでに存在しているが、「豊田商事」と名前が似てしまったばかりに風評被害に見舞われた[2]

同様に鹿島商事(後述)も鹿島建設の系列企業であるかのように装っているほか、ベルギーダイヤモンド(後述)は国内で仕入れた二束三文のダイヤモンドしか扱わないにも拘らず、ベルギー大使館が新規開設のダイヤモンド販売業者に対し、業者側から申し入れがあった場合に礼儀的に発行される挨拶文を掲載するといった手法も使われていた。これらの手口は2000年代の詐欺や悪徳商法、セクトでも模倣されているケースがある。

系列会社による類似事件

豊田商事が次々に設立した同系会社でも、類似の詐欺事件が行われていることが明らかになっている。以下はその一例。

鹿島商事
販売対象物を金からゴルフクラブ会員権に変え、現物まがい商法に会員権商法を組み合わせた詐欺を行った。客が購入した会員権は自分ではプレーせず、これを「豊田ゴルフクラブ」という別会社に賃貸してその賃貸収入を得ると謳っていたが、当のゴルフ場は申し訳程度に営業しているだけであり、会員権に資産価値は無かった。
ベルギーダイヤモンド
マルチまがい商法によって資産価値の殆ど無い屑ダイヤを販売し、催眠商法の手口も悪用されるなどして豊田商事本体と並んで多くの被害を出した。

その他の系列会社

こうした詐欺的商法を行う会社の一方で、他の事業を行う会社も設立された。以下はその一例。

  • 海外タイムス - 主な事業は新聞の発行
  • 公共施設地図航空 - 航空会社
  • 公営競技施設株式会社 - 競輪の場外発売所賃貸及び投票券の販売代行を行う目的で設立したが、競輪低迷により実現できなかった

上記のほか、以下のような事業も計画されていた。

  • インドネシア海軍の機材納入企業の設立(現地側の都合により実現せず)
  • ハイチ共和国の国軍向け被服工場建設(現地側の都合により実現せず)
  • 大洋商事(たいようしょうじ) - オーストラリアや沖縄に総合レジャークラブを設立し、会員権を売り出そうとしたが、オーストラリアでは外国人による土地取引に関する規制、沖縄では地元住民の反対運動で思うままに進められず、販売体制を構築する前に豊田商事本体が行き詰まった。

また、上部組織として以下のような企業があった。

  • 白道(びゃくどう) - グループの統括会社。宗教団体を目指していたと言う説もある
  • 銀河計画(ぎんがけいかく) - 由来は「銀河にある星の数ほどグループ会社を作りたい」という思惑とされる

背景

当時、金に対する国民の関心は高まっており、1981年に国内金輸入量は史上最高を記録。このため私設の先物取引市場が横行し、それに伴う被害も多く、社会問題になっていた。豊田商事の前身の大阪豊田商事も私設市場を舞台に先物取引を扱っていた業者の一つだった。

このため商品取引所法が改正され、商品先物取引は政府が公認した市場で指定した品目においてのみしか認められない様にするなど、先物取引を規制する政策が打ち出された。この法規制を切っ掛けとして豊田商事は現物まがい商法へと手口を変えたと言われている[誰によって?]


  1. ^ 2009年2月5日付の日本経済新聞に掲載された「過去の大型詐欺事件と推定被害総額」によると、豊田商事事件に次ぐ被害額は八葉グループ事件(2002年)の1559億円、次いでL&G事件(2009年)の1260億円となっている。
  2. ^ 商法12条及び13条に「他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止」が規定されており、類似商号の使用は禁止されている。


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