箕島 (長崎県) 概要

箕島 (長崎県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 16:47 UTC 版)

概要

長崎空港造成前

「大村史話」によると、最初に来島したのは三浦村日泊郷の山口家で、1600年代には移住者も増加していったという[2]

江戸時代に編纂された「大村郷村記」によると、新城浦(現在の大村港周辺)より貮拾三町(約2.5km)の所に位置し、当時の島の長さは東西に四(約436m)、南北に貮拾町(約2.2km)、広さが九拾六町(約95万m2)ほどで、山の面積は四(約4660m2)、林の面積は三畝(約694m2)であり、人家は15軒で島の東部及び南部の三か所に点在し、かつては弁財天の社があったという[3]

長崎空港造成直前の地点では、面積約90万m2、周囲7kmの小島で[4]大村市立大村小学校の分校や市杵島神社などがあり、13世帯66人が暮らしていた。霜が降りない温暖な気候から、蜜柑大根などの農産物に恵まれた島であった。箕島で取れた大根は「箕島大根」と呼ばれ、戦前には樽詰めで中国大陸にも輸出されていた[5]

長崎空港造成とその後

長崎空港開港前年(1974年)工事中の長崎空港の空中写真。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

昭和40年代に入り、航空機の大型化・ジェット化が進み、より長い滑走路の必要性が高まったが、当時長崎県の空の玄関口であった大村空港の滑走路は全長1200mであった。そこで長崎県は既存空港の拡張を検討したが、空港周辺の山岳が計器着陸に障害を与えるおそれから断念し、代替案として大村湾内の埋立についても検討が行われた。その結果、箕島を航空機の運航に障害を与えないよう45m以下に削り、この土石で島の東側に埋立地を造成し、滑走路を含む空港施設を建設するという結論に至った[6]。こうして1969年、箕島は空港建設の候補地に選ばれ、用地買収の話が上がった。すると、島民は猛反発し、島外の人をも巻き込んだ反対運動にまで発展した[7]。そこで当時長崎県知事であった久保勘一らによって3年に渡って説得を行った結果、島民の全員が島外に転出し、1971年10月、運輸大臣の認可を経て、翌1972年1月22日に着工した。島内にあった市杵島神社は1972年10月24日に遷座祭を行い、大村市にある富松神社に合祀された[2]。約3年の期間と180億円の建設費を投じて、用地は1974年9月、橋梁は同年11月に完成し、世界初の海上空港長崎空港」として翌1975年5月1日に供用を開始した[4][5]

空港の隣接地は「大村臨海工業用地」として長年未利用地となっていたが、そのうちの34万m2がガス会社のチョープロと太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティアが合弁で設立した「長崎ソーラーエナジー」によってメガソーラー「SOL de 大村 箕島」が建設され、2016年8月2日に運転を開始した[8]

島内には法界萬霊碑が建てられており、長崎空港開港日である5月1日には毎年、先祖を供養するための慰霊祭が行われている[9][7]


  1. ^ 長崎県大村市箕島町”. 人口統計ラボ. 2024年4月2日閲覧。
  2. ^ a b 箕島(大村市) - aikis
  3. ^ 箕島(みしま) <大村の島シリーズ> - 福重ホームページ
  4. ^ a b 空港概要 - 長崎空港
  5. ^ a b 長崎空港の箕島には13戸の生活が - 富松神社
  6. ^ 西之園直聰「新大村空港の建設計画」、日本建設機械化協会、1972年6月、2024年3月30日閲覧 
  7. ^ a b 「県勢浮揚の一助に…」ふるさと離れた66人の島民 世界初の海上空港・長崎空港建設地にあった人々の営み”. FNNプライムオンライン (2023年8月27日). 2024年3月30日閲覧。
  8. ^ 海に浮かぶ空港に太陽光発電所、1万世帯分の電力を海底ケーブルで”. スマートジャパン (2016年8月19日). 2024年3月30日閲覧。
  9. ^ 箕島『島の散歩』


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