窮理図解 書誌情報

窮理図解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 10:06 UTC 版)

窮理図解』(きゅうりずかい)は、福澤諭吉の著書のひとつ。正式名称は、『訓蒙 窮理圖解』(きんもう きゅうりずかい)。1868年明治元年)の初秋に、慶應義塾から和装の3巻本として出版された。1861年から1867年にかけてイギリスとアメリカで出版された物理書、博物書、地理書を参考にして、日常の身近な自然現象を平易に図解した書物である。日本で最初の科学入門書とされる。


注釈

  1. ^ 福澤は『福澤全集緒言』において『窮理図解』について以下のように説明をしている。
    窮理図解
    開国かいこくはじめあたり、吾々われ〱洋学者流ようがくしやりゆう本願ほんがんは、かく国中こくちゆう多数たすう人民じんみん真実しんじつ開国主義かいこくしゆぎ引入ひきいれんとするの一事にして、あたか西洋文明せいようぶんめいめに東道とうどう主人しゆじんり、一面には漢学かんがく固陋ころう排斥はいせきすると同時どうじに、一面には洋学ようがく実利益じつりえきあきらかにせんことをはかり、あらん限りの方便ほうべんめぐらすその中にも、およそ人にかたるに物理ぶつり原則げんそくもつてしてみずからさとらしむるより有力ゆうりよくなるはなし。少年子弟しようねんしてい又は老成ろうせいはいにても、一度び物理書ぶつりしよあるいはそのせつ聴聞ちようもんして心のそこよりこれしんずるときは、全然ぜん〲西洋流せいようりゆうの人とりて漢学かんがくきゆう復帰ふくきしたるの事例じれいほとんど絶無ぜつむなるがごとし。吾々われ〱実験じつけんの示す処なれば、広く民間みんかん相手あいてにして之をみちびくの第一着手だいゝつちやくしゆ物理学ぶつりがくに在りと決定けつていはしたれども、無数むすう国民こくみん原書げんしよましむるがごともとより思いもらぬことにして、差向さしむきの必要ひつようただ飜訳書ほんやくしよを示すの一法いつぽうあるのみ。しかるに開国以前かいこくいぜんすで飜訳ほんやく版行はんこう物理書ぶつりしよなきにあらざれども、多くは上流学者社会じようりゆうがくしや〱かいもとめおうずるものにして、その文章ぶんしよう正雅高尚せいがこうしようなると共に難字なんじまた少なからず、飜訳ほんやく体裁ていさいもつぱ原書げんしよ原字げんじあやまるなからんことに注意ちゆういしたるがめに、我国俗間ぞくかん耳目じもくかいがたきものあり。たとえば、物の柔軟じゆうなんなるをひようするにあたかもボートル(英語バタ)にたりとちよく原字げんじのまゝに飜訳ほんやくするがごとき、やくし得てしんあやまらざれども、生来せいらいボートルの何物なにものたるを知らざる日本人はこれを見てかいするを得ず。よつて余はその原字げんじ無頓着むとんじやくし去り、ボートルとしるすべきところ味噌みそ文字もじを用うることに立案りつあんして、およそこの趣向しゆこうに従い、ただに二、三の原字げんじのみならず、全体ぜんたい原文げんぶん如何いかんを問わず、種々様々しゆ〲さま〲物理書ぶつりしよあつめてその中より通俗教育つうぞくきよういくめに必要ひつようなりとしたゝむるものを抜抄ばつしようし、原字原文げんじげんぶん余処よそにしてただその本意ほんいのみを取り、あたか国民初学入門こくみんしよがくにゆうもんの為めに新作しんさくしたる物理書ぶつりしよ窮理図解きゆうりずかいの三冊なり。 — 福澤諭吉、『福澤全集緒言』、73-75頁[4]

出典

  1. ^ a b c デジタルで読む福澤諭吉 訓蒙窮理圖解. 上”. 慶應義塾大学メディアセンター. 2017年8月28日閲覧。
  2. ^ 訓蒙 とは”. コトバンク. 2011年7月16日閲覧。
  3. ^ 窮理学 とは”. コトバンク. 2011年7月16日閲覧。
  4. ^ 『福澤全集緒言』、73-75頁
  5. ^ 伊藤博「教育史から見た幕末期から明治初期の教育」『大手前大学論集』第12号、大手前大学、2011年、 17-32頁、 ISSN 1882-644XNAID 110009396076
  6. ^ 訓蒙窮理圖解. 上”. 慶應義塾大学図書館. 2011年7月16日閲覧。


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