目的 工学と目的

目的

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/29 05:26 UTC 版)

工学と目的

「工学における教育プログラムに関する検討委員会」の文書(1998年)では、工学を次のように定義している。

工学とは数学自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学知見を用いて、公共の安全健康福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である。[3]

ウィーナーらのサイバネティックスでは、環境に事物が最もよく適応する過程を"目的的"であるとした[要出典]

目的と目標の関係

目的は「成し遂げようとすることがら」で、目標のほうは(その)目的を達成するために設けためあてのことである[4]。たとえば、目的を「自分も他の人も、ともに幸福にする人生を私はまっとうする」としたとする。その目的を実現できる道筋についていろいろ調べて、人に親切にしてそれを記録すれば自・他ともに幸福になれるということを知り、「少なくとも1週間に1回は人に親切にしてそれをノートに記録する」とか「1日に1回、その日出会った人に親切にしてそれを日記に書く」という「めあて」を設定すれば、それが《目標》である[注 1]

また、青年期の人でこれから自分の職業を決めてゆこうとしている時期の人などでは、目的を達成するのに適した職業についても考えることになるであろうが、「自・他ともに幸福にする人生をまっとうする」という目的を持っている場合、たとえば(あくまで「たとえば」であるが)その目的を実現するために「6年以内に看護師になる」という「めあて」を設ければ、この「6年以内に看護師になる」というめあてが《目標》である。

また「6年以内に看護師になる」という目標を分解して、「2年後に看護師学校の試験に合格し入学する」という目標や「3カ月後までにこのテキストの学習を終える」という目標や「毎日2ページかそれ以上学習する」という目標、「今日は時間があるので4ページ学習する」などという目標も設定できる。

一般に、まずは良き目的を設定し、目的を達成した状態をただ漠然と夢見るだけでなく、それを実現するためにはどのような道があるのか知恵を働かせ、その目的を達成するための道を具体的に思い描き、途中に「めあて=目標」、つまり達成できたかできなかったか自分で判定できるような形で表現したことを設け、それらの目標を達成すべく、日々やるべきことをコツコツとやってゆけば、やがては目的としていることを成し遂げることができる、といったことが説明されている。実用書などではしばしば、大目標を中目標や小目標に分解し、さらに具体的な「期限」(日付)を含む目標を設定すると、目的を成し遂げやすくなる、といったことが解説されている。

良き目的を持っている場合は、一般に、たとえ何かのトラブルで途中の目標がいくつか実現不可能な困難な事態になっても、諦めて放り出す必要はなく、知恵を働かせ、同じ道筋でも目標の設定方法を変更したり、あるいは目的をなしとげられる別の筋道を見つけて別の目標を設定すれば、目的としていることを成し遂げることができる。目標はあまり硬直的に考える必要はなく、より重要なのは目的を成し遂げることなので、それのために、目標についてはより柔軟に考えればよいわけである。人生というのは様々なことが起きるものなので、一般に、当初の予定どおりに途中の目標を達成してゆけることはむしろ稀である。目的を成し遂げた人を調べてみると判ることであるが、たいていは、途中でさまざまな困難に遭遇し、それでも諦めず、何度か目標を見直したり再設定したりして、(日々コツコツと)目標をひとつひとつ達成するための行動をつづけ、その結果、目的を成し遂げている。

健康と目的

2016年2月/ 3月の心身医学:Journal of Biobehavioral Medicineの報告によると、より高い目的意識を持っている人も長生きする傾向がある。研究者は、136,000人以上を対象とした10の研究をレビューし、人生の目的と死亡または心血管疾患のリスクとの関係を評価しました。参加者は平均年齢67歳で、約7年間追跡された。まだ強い目的意識を持っていると報告した人の死亡リスクは約20%低かった。また、心臓発作や脳卒中のリスクも低くなった。研究者たちは、目的意識がストレスをよりよく管理し、よりアクティブなライフスタイルを促進するのに役立つかもしれないと推測した[5]


  1. ^ ひとに親切にしてそれを記録しつづけると人は幸福を感じる率がとても高い、ということは、実証的な研究であきらかになっている(出典:大石繁宏『幸せを科学する―心理学からわかったこと』新曜社、2009 ISBN 4788511541)。ウィキペディアの「幸福」という記事では「親切介入法」という節で解説されている。
  1. ^ a b 広辞苑 第六版「目的」
  2. ^ "世界の目的論的な存在の仕方[要出典]"
  3. ^ 8大学工学部を中心とした 工学における教育プログラムに関する検討」(PDFファイル) 工学における教育プログラムに関する検討委員会、1998年5月8日。
  4. ^ 広辞苑 第六版「目標」
  5. ^ Publishing, Harvard Health. “Finding purpose in life”. Harvard Health. 2020年11月3日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 西田文郎『人生の目的が見つかる魔法の杖』パンローリング株式会社、2014年。ASIN B00K388BL4。KINDLE版あり。第一章、第二章


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