樽見鉄道ハイモ180-100形気動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 02:32 UTC 版)
走行装置
エンジンは、日産ディーゼル製PE6Hディーゼルエンジン(定格出力132 kW / 2,200 rpm)を1基搭載、動力はレールバス用に開発された神鋼造機製SCAR0.91A液体変速機を介して台車に伝達される[7][13]。台車もレールバス用に開発された1軸ボギー台車FU30D/Tが採用された[13]。リンク機構により台車枠が回転する機構が盛り込まれ、軸距の規定である4.57 mを超過することが可能になった[22]。制動装置は応答性の良いSME三管式直通ブレーキが採用された[6][13]。
空調装置
暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である。同時期に製造された名鉄キハ10形には冷房装置が設置されなかったが、ハイモ180-100形、ハイモ180-200形には冷房装置が設置された[6][14]。
車歴
形式 | 車両番号 | 製造 | 廃車 | 有田入籍 | 有田廃車 |
---|---|---|---|---|---|
ハイモ180-100 | ハイモ180-101 | 1984年9月[1] | 1993年4月[16] | 1994年3月[23] | 2003年1月[24] |
ハイモ180-200 | ハイモ180-201 | 1984年9月[1] | 1999年11月[25] | - | - |
ハイモ180-200 | ハイモ180-202 | 1984年9月[1] | 2006年4月[26] | - | - |
運用
1984年(昭和59年)10月6日の樽見鉄道開業に先立つ8月10日に名古屋駅にて引渡式と車両展示が行われた[13]。車両展示は8月12日から18日にかけて大垣駅でも行われ、開業までの間に性能試験、試運転が行われた[13]。名鉄キハ10形などと並び、保守、運用の経済性を重視し、地方交通線用としてバスの部品を多用して富士重工業が開発したLE-Car IIの最初期の採用事例[6][14]だが、営業運転開始は名鉄キハ10形のほうがハイモ180-100形・200形より2週間早い1984年(昭和59年)9月23日である[27]。樽見鉄道開業後は樽見線大垣駅 – 神海駅間で運用され、当初は単行運転のみだったが、1985年(昭和60年)3月に総括制御対応に改造されている[15]。旺盛な輸送需要に対応するため、開業翌年の1985年(昭和60年)10月には全長、全幅ともハイモ180-100形・200形より大型化されたハイモ230-300形が新製投入された。1989年(平成元年)には神海駅 - 樽見駅間が延伸開業し、ハイモ180-100形・200形の運用範囲も拡大された[28]。
その後製造されたハイモ230-300形などに対して輸送力が小さいことから1993年(平成5年)にはハイモ180-101が廃車となり、有田鉄道に譲渡された[23][16]。ハイモ180-201は1999年(平成11年)にハイモ295-310形[17]に、 ハイモ180-202は2006年(平成18年)にハイモ295-510形に置き換えられて廃車[9]され、ハイモ180-202は本巣市内で静態保存されている[29]。ハイモ180-101は有田鉄道で2003年(平成15年)の廃線まで使用された後[19]、2010年(平成22年)からは有田川町鉄道公園で動態保存されるようになった[30]。しかし、制動装置が空気漏れを起こして自走不可能となっていたが(体験乗車は保線用モーターカーやLE-Carのキテツ-1型などと連結して継続)、2019年1月には自走する姿が確認されている。
- ^ a b c d e f 『新車年鑑1985年版』p145
- ^ a b c 『私鉄気動車30年』p169
- ^ a b 『新車年鑑1994年版』p87
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『新車年鑑1985年版』p99
- ^ a b c d e f g h i 『新車年鑑1985年版』p142
- ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p44
- ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p52
- ^ a b 『新車年鑑1985年版』p70
- ^ a b c 『鉄道車両年鑑2007年版』p131
- ^ 『新車年鑑1985年版』p71
- ^ 『レイルマガジン』通巻250号p28
- ^ 『レイルマガジン』通巻230号付録p16
- ^ a b c d e f g h i 『新車年鑑1985年版』p98
- ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p45
- ^ a b c 『新車年鑑1986年版』p91
- ^ a b c 『新車年鑑1994年版』p178
- ^ a b 『鉄道車両年鑑2000年版』p121
- ^ 『新車年鑑1995年版』p98
- ^ a b 『私鉄気動車30年』p118
- ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p4
- ^ 『私鉄気動車30年』p105
- ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻658号p43
- ^ a b 『新車年鑑1994年版』p176
- ^ 『鉄道車両年鑑2003年版』p126
- ^ 『鉄道車両年鑑2000年版』p200
- ^ 『鉄道車両年鑑2007年版』p231
- ^ 『新車年鑑1985年版』p94
- ^ 『新車年鑑1990年版』p71
- ^ 『鉄道車両年鑑2008年版』p139
- ^ 「有田川鉄道交流館」がオープン
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