東京農工大学 東京農工大学の概要

東京農工大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 01:56 UTC 版)

東京農工大学
東京農工大学農学部本館
大学設置 1949年
創立 1874年
学校種別 国立
設置者 国立大学法人東京農工大学
本部所在地 東京都府中市晴見町3-8-1
北緯35度41分2.3秒 東経139度28分43.1秒 / 北緯35.683972度 東経139.478639度 / 35.683972; 139.478639座標: 北緯35度41分2.3秒 東経139度28分43.1秒 / 北緯35.683972度 東経139.478639度 / 35.683972; 139.478639
キャンパス 府中(東京都府中市)
小金井(東京都小金井市
学部 農学部
工学部
研究科 工学研究院
農学研究院
農学府
工学府
生物システム応用科学府
連合農学研究科
連合獣医学研究科
ウェブサイト www.tuat.ac.jp
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概観

大学全体

農学部工学部の2学部及び大学院からなる、極めて特徴的な大学である。校地面積に対して学生数が少なく、少人数制教育が実施されている。

研究では、産学連携や外部資金獲得状況等が高く評価されている。また、農学、工学、理学などの融合分野の開拓を目的とした大学院である生物システム応用科学府の設立など、学問分野の融合(特にバイオ関連分野)に積極的な側面も持つ。

沿革

略歴

東京農工大学は1874年に設立された内務省勧業寮内藤新宿出張所に設置された学問所が前身となっているが、農学部と工学部は1949年に新制大学の東京農工大学として統合されるまでそれぞれ全く別の教育機関としての変遷を辿った。そのため、略歴および年表は、東京農工大学として統合される前はそれぞれの専門学校、統合後は東京農工大学の略歴および年表としてまとめる。なお、現在の東京農工大学農学部は東京大学農学部筑波大学生物環境学群生物資源学類と同じく駒場農学校を起源に持つ。

東京農林専門学校

1874年に内務省勧業寮内藤新宿出張所に農事修学場として設置される。1877年には農事修学場とは別に内務省樹木試験場が設立される。農事修学場は1878年に駒場農学校となり、1881年に農商務省が設立されると駒場農学校および樹木試験場は同省の管轄教育機関となる。1882年に樹木試験場は東京山林学校と改称。1886年には両教育機関を統合した東京農林学校が開校、本科と別科が設置されるが、別科が東京農工大学の前身となる。別科は1890年に帝国大学農科大学に統合される際、乙科となる。この乙科がその後、1898年に東京帝国大学農科大学実科、1919年に東京帝国大学農学部実科と東京帝国大学内での変遷を経て、1935年に東京高等農林学校として東京帝国大学から独立する。1944年には東京農林専門学校へ改称。1949年に新学制が施行されると、東京農工大学の農学部となった。

東京繊維専門学校

1874年に内務省勧業寮内藤新宿出張所に蚕業試験掛として設置される。1884年に主管庁が農商務省へ移管され、農商務省蚕病試験場となり、1882年には取り扱い範囲が拡大されて蚕業試験場と改称する。1891年には農商務省仮試験場蚕事部と改称されるが、1893年には元の蚕業試験場へ戻る。さらに1896年に蚕業講習所、1899年に東京蚕業講習所、1914年に東京高等蚕糸学校と改称され、1944年には東京繊維専門学校となった。1949年に新学制が施行されると、東京農工大学の繊維学部となった[1]

東京農工大学

繊維学部養蚕農家の衰退とともにその役目を終えたと判断した東京農工大学は、1962年に繊維学部を工学部に改称した[1]。1965年に大学院農学研究科、1966年に大学院工学研究科がそれぞれ設置された[1]。2004年には国立大学法人化した[1]

年表

東京農林専門学校

  • 1874年 内務省勧業寮内藤新宿出張所に農事修学場設置。
  • 1877年 内務省樹木試験場設置。
  • 1878年 農事修学場を駒場農学校と改称。
  • 1881年 樹木試験場および駒場農学校は農商務省管轄となる。
  • 1882年 樹木試験場を東京山林学校と改称。
  • 1886年 樹木試験場および駒場農学校を統合、東京農林学校設置。
  • 1890年 帝国大学農科大学へ統合、同大学乙科となる。
  • 1898年 東京帝国大学農科大学実科と改称。
  • 1919年 東京帝国大学農学部実科と改称。
  • 1935年 東京高等農林学校として独立、現在地の府中へ移転。
  • 1944年 東京農林専門学校と改称。
  • 1949年 東京農工大学へ統合。

東京繊維専門学校

東京農工大学 科学博物館本館(旧:東京繊維専門学校本館)
  • 1874年 内務省勧業寮内藤新宿出張所に蚕業試験掛設置。
  • 1884年 農商務省へ移管、農商務省蚕病試験場と改称。
  • 1887年 蚕業試験場と改称。
  • 1891年 農商務省仮試験場蚕事部と改称。
  • 1893年 蚕業試験場と改称。
  • 1896年 蚕業講習所と改称。
  • 1899年 東京蚕業講習所と改称。
  • 1914年 東京高等蚕糸学校と改称。
  • 1940年 現在地の小金井に移転。
  • 1944年 東京繊維専門学校と改称。
  • 1949年 東京農工大学へ統合。

東京農工大学

  • 1949年 東京農林専門学校と東京繊維専門学校を統合して新制東京農工大学が発足、農学部と繊維学部を設置。農学部には農学科、林学科、獣医学科を、繊維学部に養蚕学科、製糸学科、繊維学科を設置。
  • 1951年 繊維学部に蚕糸別科設置。繊維学部に繊維化学科設置(繊維化学科の開講は1953年度)。 
  • 1952年 農学部に農芸化学科設置。
  • 1953年 繊維学部の繊維学科を繊維工学科と改称。
  • 1954年 農学専攻科設置。繊維学専攻科設置認可。繊維学専攻科に養蚕学、製糸学、繊維工学、繊維化学の各専攻を開設。蚕糸別科養蚕専攻を繊維学別科養蚕専修、製糸専修と改称。
  • 1959年 繊維学部に機械工学科を設置。
  • 1960年 繊維学部に工業化学科を設置。繊維学部の繊維化学科を募集停止。
  • 1961年 農学部に農業生産工学科設置。
  • 1962年 繊維学部を工学部へ、繊維学専攻科を工学専攻科へ改称。工学部に電気工学科を設置。養蚕学科および養蚕別科を農学部へ移管。
  • 1963年 繊維化学科終了。機械工学専攻科を設置。農学部に植物防疫学科設置。
  • 1964年 工業科学専攻科を設置。
  • 1965年 大学院農学研究科(修士課程)を設置。別科を別科養蚕専修に改称。農学専攻科廃止。農学部に林産学科を設置。
  • 1966年 大学院工学研究科(修士課程)を設置。工学専攻科規程を廃止。工学部に化学工学科を設置。
  • 1967年 工学部に応用物理学科を設置。
  • 1971年 工学部の繊維工学科を繊維高分子工学科と改称。
  • 1972年 工学部に電子工学科を設置。
  • 1973年 農学部に環境保護学科を設置。
  • 1974年 農学部の養蚕学科を蚕糸生物学科に改称。工学部に生産機械工学科を設置。
  • 1976年 工学部に数理情報工学科を設置。
  • 1978年 農学部農業生産工学科を農業工学科に改称。
  • 1979年 工学部に資源応用化学科を設置。
  • 1982年 工学部の製糸学科、繊維高分子工学科を高分子工学科、材料システム工学科に改組。
  • 1983年 工学部に機械システム工学科を設置。
  • 1984年 農学部獣医学科を改組
  • 1985年 大学院連合農学研究科(博士課程)を設置。
  • 1989年 大学院工学研究科(修士課程)を工学研究科(博士前期・後期課程)に改組。
  • 1990年 農学部は農学科と蚕糸生物学科を統合して生物生産学科に改組。農芸化学科、植物防疫学科、林産学科を統合し応用生物科学科に改組。農業工学科、林学科、環境保護学科を環境・資源学科に改組。
  • 1995年
    • 大学院生物システム応用科学研究科(博士前期・後期課程)を設置。
    • 農学部は応用生物科学科の旧植物防疫学科の講座の一部を生物生産学科に移管。応用生物科学科の旧林産学科の講座と環境・資源科学科は旧環境保護学科の講座と統合し環境資源科学科に改組(旧植物防疫学科の講座の一部と応用生物科学科の旧農芸化学科の講座はそのまま)。環境・資源科学科の残り、旧農業工学科と旧林学科の講座は地域生態システム学科に改組。
  • 2004年
    • 国立大学法人化により「国立大学法人東京農工大学」に移行。
    • 大学院を部局化し、共生科学技術研究部(研究組織)および工学教育部、農学教育部、生物システム応用科学教育部(教育組織)に再編。
  • 2005年 大学院技術経営研究科(専門職学位課程)を設置。
  • 2006年 研究部、教育部を研究院(研究組織)および工学府、農学府、生物システム応用科学府(教育組織)に名称変更。
  • 2010年 共生科学技術研究院(研究組織)を、工学研究院および農学研究院に再編。
  • 2011年 技術経営研究科を改組し、大学院工学府産業技術専攻(専門職学位課程)へ再編
  • 2012年 農学部に岩手大学と共同で「共同獣医学科」を設置。
  • 2017年 東京農工大学科学博物館が、岡谷蚕糸博物館長野県岡谷市)と連携協力に関する協定を締結[2]
  • 2019年 工学部を8学科(生命工学科、応用分子化学科、有機材料化学科、化学システム工学科、機械システム工学科、物理システム工学科、電気電子工学科、情報工学科)から6学科(生命工学科、生体医用システム工学科、応用化学科、化学物理工学科、機械システム工学科、知能情報システム工学科)に改組。

基礎データ

所在地

小金井キャンパス 新1号館

学生数

2023年5月1日時点[3]。()内は女子の学生数を内数で表す。

  • 学部 3,760人(1,356人)- うち留学生42人(20人)
  • 大学院 2,078人(728人)- うち留学生305人(146人)

男女比

2023年5月現在、農学部は女子の学生数(713人)が男子(661人)を上回っている[3]。工学部も化学系の学科や生命工学科があるため他大学の工学部よりも女子学生の比率が高く、国内の全大学工学部の男女比が約5:1である(2019年度[4])のに対して、本学では約3:1である[3]

留学生

2023年5月現在、42人の研究生等を含めて389人の外国人留学生が在籍している[3]。留学生の出身国の中で人数が最多の国は中国(191人)であり、次いでインドネシア(25人)、ベトナム(21人)、マレーシア(19人)と続く[3]

象徴

  • 英語表記の略称「TAT」をモチーフにしたブランドマークを制定している。マーク中のグリーンは「農学」、ブルーは「工学」を表している。制作は戸田正寿
  • スクールカラーは、イブ・クライン・ブルー。
  • 徽章は、大小2枚のの葉に「大学」の文字を配したもの。1956年(昭和31年)に制定された[5]

東京農工大学憲章

国立大学法人化に伴い、2006年7月1日に制定された。前文、基本理念、教育、研究、社会貢献・国際交流、運営の6項目からなる。

基本理念
使命指向型教育研究―美しい地球持続のための全学的努力 (MORE SENSE:Mission Oriented Research and Education giving Synergy in Endeavors toward a Sustainable Earth)

  1. ^ a b c d 沿革”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  2. ^ 「蚕糸博物館と農工大科学博物館 連携協定へ」”. 『長野日報』 (2017年11月29日). 2018年1月23日時点のp.co.jp/articles/25258 オリジナルよりアーカイブ。2018年9月7日閲覧。
  3. ^ a b c d e 2023年度大学概要”. 東京農工大学. 2024年2月28日閲覧。
  4. ^ 女子学生が集まる農工大。要となるのは「キャリアパスを描ける教養」” (2020年5月27日). 2022年4月27日閲覧。
  5. ^ ブランドマーク・校章”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  6. ^ a b 2019年度大学案内” (pdf). 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k 分野は2019年度大学案内の各学科の紹介ページによる[6]
  8. ^ 2019年(平成31年)4月の東京農工大学工学部の学科改組について”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  9. ^ a b 部門は、国立大学法人東京農工大学学則による。
  10. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、生命機能工学、応用生物工学、バイオソサエティ工学があるとされている。
  11. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、物質応用化学、有機材料化学、システム化学工学、物質生物計測があるとされている。
  12. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、システム基礎解析、設計生産システム、機械知能システム工学があるとされている。
  13. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則でも、専修として、量子系工学専修、複雑系工学専修があるとされている。
  14. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、電気電子システム工学、電子メディア工学、環境エネルギー工学があるとされている。
  15. ^ 2018年度入学生用の前期課程学生募集要項、東京農工大学学則
  16. ^ 2018年度入学生用の後期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、生命機能工学、応用生物工学、バイオソサエティ工学があるとされている。
  17. ^ 2018年度入学生用の後期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修として、物質応用化学、有機材料化学、システム化学工学、物質生物計測があるとされている。
  18. ^ 2018年度入学生用の後期課程学生募集要項。なお、東京農工大学学則によると、専修としてシステム基礎解析、設計生産システム、機械知能システム工学があるとされている。
  19. ^ 分野は2018年度入学生用の『大学案内』による。なお、東京農工大学学則によると、専修として、物理応用工学、電子応用工学、知能・情報工学、環境エネルギー工学があるとされている。
  20. ^ 教育研究分野は、2018年入学生用の前期課程学生募集要項による。
  21. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、生産機能利用学、生産機能解析学があるとされている。
  22. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、農業経営経済学、人間自然共生学があるとされている。
  23. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、分子生命化学、生物機能化学があるとされている。
  24. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、生物制御学があるとされている。
  25. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、資源物質科学があるとされている。
  26. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、環境保護学があるとされている。
  27. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、生態系計画学、森林環境学があるとされている。
  28. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、生産環境工学があるとされている。
  29. ^ 東京農工大学学則によると、専修として、国際環境修復保全学、国際生物生産資源学、国際地域開発学があるとされている。
  30. ^ 2018年入学生用の博士前期課程学生募集要項2017年入学生用の博士後期課程学生募集要項
  31. ^ 大講座は、東京農工大学学則による。
  32. ^ 農工夢市場”. 農工大FSセンター. 2016年9月28日閲覧。
  33. ^ 東京農工大・小金井キャンパス 動物救急医療センター開設へ ニーズ高い土日祝日・年末年始も」『朝日新聞』朝刊2022年11月25日(東京面)王実閲覧
  34. ^ 東京農工大学 医療センター”. 農工大動物医療センター. 2016年9月28日閲覧。
  35. ^ ものづくり創造工学センター”. 農工大ものづくり創造工学センター. 2016年9月29日閲覧。
  36. ^ a b 交通・キャンパスマップ”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  37. ^ 学部長メッセージ「農学部の魅力って何?」”. 旺文社 (2016年1月1日). 2018年9月7日閲覧。
  38. ^ 新宿DASH ~アナグマ~”. ザ!鉄腕!DASH!!. 日本テレビ (2022年4月17日). 2022年4月19日閲覧。
  39. ^ サークル紹介”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  40. ^ 第十五回大会|NHK学生ロボコン”. NHKエンタープライズ. 2018年9月7日閲覧。
  41. ^ 第五回大会|ABUロボコン”. NHKエンタープライズ. 2018年9月7日閲覧。
  42. ^ 航空研究会
  43. ^ 宇宙工学研究部
  44. ^ 学内掲示板 2016年6月23日
  45. ^ 第1回 皐槻祭”. 東京農工大学皐槻祭. 2023年5月28日閲覧。
  46. ^ 東京農工大学農学部本館”. 文化庁. 2018年9月7日閲覧。
  47. ^ 【わがまち お宝館】東京農工大学科学博物館(東京・小金井市)製糸業の歩み伝え130年『朝日新聞』朝刊2019年1月23日(第2東京面)。
  48. ^ 東京農工大学における太陽光発電設備の整備状況について”. 東京農工大学. 2022年7月20日閲覧。
  49. ^ 学寮”. 東京農工大学. 2018年9月7日閲覧。
  50. ^ 国際交流会館”. 東京農工大学 国際交流課. 2018年9月7日閲覧。
  51. ^ 東京農工大学農学部本館”. 文化庁. 2018年9月7日閲覧。


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