小数 実数の表現

小数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 23:06 UTC 版)

実数の表現

与えられた実数x2以上の自然数nに対して,xn進無限小数表記を与える無限数列a0, a1, a2, …の各項の値を決定する二種類の手続きを次のように与える。これらの手続きのどちらを採用してもその表記は一意的に定まるが、0以外の有限小数に対する無限小数表記は採用した手続きによって異なるものとなる。

一つ目:

  1. x = 0であれば、全ての項を0としてここで終了する。
  2. a0 = ⌈abs⁡(x)⌉ − 1, x′ = abs⁡(x) − a0 ∈ (0, 1], p1 = 0⌈⋅⌉: 天井函数abs⁡(⋅): 絶対値)とし,i = 1とおく。
  3. 区間(pi, pi + n/ni]n等分し、その両端点とn − 1個の等分点を左から とする。
  4. j0からn − 1まで移動させ、x′ ∈ (si, j, si, j + 1]なるjが存在すればそこでjを固定し、ai = j, pi + 1 = si, jとした後,i1を加算して 3. に戻る。

こうして得られた数列anは、1以降のiに対して0 ≤ aian − 1を満たすから、ain進法を用いて1桁の数字で表現できる。ここで、sgn⁡x符号関数とし、(sgn⁡x)a0n進法表記の後に.を付け(これを小数点と呼ぶ)、数字 aiを列記してできる表記、即ち

x = (sgn⁡x)a0.a1a2a3

という形で無限小数表記が得られた。この手続きによる場合、無限数列aiの途中の項から0が無限に続くのは0しかない。

二つ目:

  1. a0 = [abs⁡x]([・]:ガウス記号)とし、i = 1 とする。
  2. x' = abs x - a0p1 = 0 とする。この時、x' ∈ [0,1) である。もし、x' = 0 であれば、残りの項を 0 としてここで終了する。
  3. 区間 [pi , pi+n1-i) を n 等分し、その両端点と n - 1 個の等分点を左から pi=si,0, si,1, …, si, n-1 , si, n=pi+n1-i とする。
  4. j を 0 から n - 1 まで移動させ、x' ∈ [sij, si,j + 1) なる j が存在すればそこで j を固定し、ai = j として次に進む。
  5. もし、x' = sij であれば、残りの項を 0 としてここで終了する。そうでなければ pi+1 = sij とし、i に 1 を加算して (3.) に戻る。

こうして得られた数列 an は、1 以降の i に対して 0 ≤ ain - 1 を満たすから、ain 進法を用いて 1 桁で表現できる。ここで、(sgn⁡x)を符号関数とし、(sgn x)a0n 進法表記の後に . を付け(これを小数点と呼ぶ)、ai を列記していったもの、即ち

とする表現を小数とする。この手続きによる場合、無限数列 an の途中の項から n - 1 が無限に続くことは無い。

但し、小数点以下のある項から 0 が無限に続くようであれば、その位置から 0 を省略し、何も書かなくてよい(この場合は有限小数となる)。特にその項が小数点以下第一位であった場合は小数点も省略して良い(この場合は整数となる)。また、そうでない場合は列記していく操作を永久に続けることになるが、実際は不可能である。このような時、省略記号を使って項を省略してよい。(上記「#小数の分類」参照)


  1. ^ decimal十進法を意味し、すなわち decimal は特に十進小数を指す。一般の端数(小数)を意味する言葉は fraction だが、こちらは専ら分数と訳される。
  1. ^ a b 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 5.4.4 数字の形式および小数点、p.119、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月
  2. ^ Guide for the Use of the International System of Units (SI)

    10.5.3 Grouping digits
    Because the comma is widely used as the decimal marker outside the United States, it should not be used to separate digits into groups of three. Instead, digits should be separated into groups of three, counting from the decimal marker towards the left and right, by the use of a thin, fixed space. However, this practice is not usually followed for numbers having only four digits on either side of the decimal marker except when uniformity in a table is desired.

  3. ^ 例えば、理科年表、2020年版、基礎物理定数表、pp.380-381など、2019年11月20日、ISBN 978-4-621-30426-6
  4. ^ Guide for the Use of the International System of Units (SI)

    10.5.3 Grouping digits
    Note: The practice of using a space to group digits is not usually followed in certain specialized applications, such as engineering drawings and financial statements.

  5. ^ NIST Guide to the SI, Chapter 10: More on Printing and Using Symbols and Numbers in Scientific and Technical Documents 10.5.3 Grouping digits、Examples:
  6. ^ 1900-1995., Needham, Joseph, (197-? - 2015). Science and civilisation in China = 中國科學技術史. Cambridge University Press. ISBN 0-521-08690-6. OCLC 1303643587. http://worldcat.org/oclc/1303643587 


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