季語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/21 03:03 UTC 版)
季語と季題
前述のように「季語」と「季題」は同義に用いられることもあるが、歴史的には「季題」は古来の中国の詩人が題を用いて詩を詠んだ伝統から、和歌、連歌という風に受け継がれていった、時代の美意識を担う代表的な「季節の題目」であり、連歌においては発句(はじめの五七五の句)において重要視されたものであるのに対して、「季語」はそれらを含んで付け句(発句以下に付けられる句)にまで広く採集された「季の詞」であり、発句の季題が喚起した詩情を具体化する役割を担うものであった[11][12]。このため「季題」という言い方をする場合には「季語」よりもその語を重要視しているという感じもあるが、両者をはっきり区別する確定的な考え方があるわけではない[1]。例えば山本健吉は『最新俳句歳時記』において、季語を「五箇の景物」から「和歌の季題」「連歌の季題」「俳諧の季題」「俳句の季題」「季語」の六種類の層に分け、「五箇の景物」を頂点とするピラミッド型の分類を試みているが、しかし山本自身これらすべてを包括して「季語」という言い方もしていた[13]。山下一海は、季語、季題の違いは使い方の違いであるため、あるひとつの語を季語か季題かというふうに分類はできないとしている[14]。
いずれにしても「季題」「季語」という言い方は近代に作られたものであり、「季題」は1903年に新声会の森無黄が、「季語」は1908年に大須賀乙字がそれぞれはじめて用いたという[15]。
参考文献
- 宮坂静生 『季語の誕生』 岩波新書、2009年
- 飴山實他 『季題入門』 有斐閣新書、1978年
- 齋藤慎爾他編 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年
- 『現代俳句大事典』 三省堂、2005年
関連項目
- ^ a b c 山下一海 「季語」『現代俳句大事典』 173-174頁
- ^ a b c d 山下一海 「季題」『現代俳句大事典』 178-179頁
- ^ 宮坂、6-7頁
- ^ 宮坂、13頁
- ^ 宮坂、3頁、14-18頁
- ^ 宮坂、186-190頁
- ^ 宮坂、25-26頁
- ^ 山下一海 「季題の歴史」『季題入門』 202-204頁
- ^ いずれも特に台湾季語として人気の高い題材であった。
- ^ 呉昭新. “台湾俳句史(1985〜2013)(2) 〜季題、季語、虚子の「熱帯季題論」と台湾の歳時記〜”. 『交流』2015年11月号. 公益財団法人日本台湾交流協会. pp. 15-19. 2017年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月15日閲覧。
- ^ 宮坂、5-6頁
- ^ 浅沼璞 「季語」『現代俳句ハンドブック』 180-181頁
- ^ 平井照敏 「季題とは何か」『季題入門』 16-17頁
- ^ 山下一海 「季題の歴史」『季題入門』 189-190頁
- ^ 宮坂、5頁
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