太田川 支流

太田川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/09 08:13 UTC 版)

支流

志和口駅付近の三篠川

1)支流

  • 柴木川-三段峡
  • 筒賀川
  • 滝山川
  • 丁川
  • 水内川
  • 西宗川
  • 高山川
  • 小河内川
  • 吉山川
  • 鈴張川
  • 根谷川-南原川・桐原川
  • 三篠川
  • 古川
  • 安川
  • 山本川-東山本川・西山本川

2)分流

3)本流

太田川水系の河川施設

太田川水系における河川開発は、明治末より始まった水力発電に遡る。現在では中国電力株式会社によって太田川本川を始め主要な支川である滝山川・柴木川等に発電専用ダムが建設された。特に南原川流域には中国地方の水力発電施設では2番目の最大出力を誇る南原発電所(南原ダム・明神ダム)が建設されている。

治水・利水施設については江戸時代に八木用水や小田定用水が開鑿されたが、小田定用水の取水口である高瀬井堰が建設された程度であった。治水では昭和初期に太田川放水路の建設が開始され完成後は太田川本川となった。利水では高瀬井堰を改築して高瀬堰が建設された他、特定多目的ダムとして滝山川に温井ダムが建設された。特定多目的ダム法に基づく施設はこの2施設だけである。尚、広島市等の水源確保を行うため江の川からも導水されており、水系の利水を考える上で土師ダムの存在を欠かすことは出来ない。

他の水系と大きく異なるのは、水系内で農林水産省による「国営土地改良事業」が行われていないことであり、これにより太田川水系では農林水産省直轄ダムが1つも建設されていない。

河川施設

一次
支川名
(本川)
二次
支川名
三次
支川名
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3)
型式 事業者 備考
太田川 立岩ダム 67.4 17,200 重力式 中国電力 土木遺産
太田川 鱒溜ダム 19.2 455 重力式 中国電力
太田川 高瀬堰 5.5 1,980 可動堰 国土交通省 旧高瀬井堰
太田川 祇園水門 可動堰 国土交通省 太田川放水路
柴木川 樽床ダム 42.0 20,600 重力式 中国電力
柴木川 柴木川ダム 15.5 231 重力式 中国電力
滝山川 王泊ダム 74.0 31,100 重力式 中国電力
滝山川 温井ダム 156.0 82,000 アーチ式 国土交通省 堤高西日本一
滝山川 滝本ダム 14.7 270 重力式 中国電力 小堰堤
高山川 宇賀ダム 31.5 903 重力式 中国電力
根谷川 南原川 南原ダム 85.5 5,568 ロックフィル 中国電力 南原発電所の下池
根谷川 南原川 明神川 明神ダム 88.5 6,145 ロックフィル 中国電力 南原発電所の上池
旧太田川 大芝水門 可動堰 国土交通省

水系外の関連河川施設

一次
支川名
(本川)
二次
支川名
三次
支川名
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3)
型式 事業者 備考
江の川 土師ダム 50.0 47,300 重力式 国土交通省

水力発電所

太田川水系では1902年(明治35年)以降、大小様々な水力発電所が建設されてきた。1951年の中国電力発足に伴い既存の施設の大半は中国電力の所有となった。以下の水力発電所は中国電力の管轄にある(またはあった)水力発電所である[11]。所在地の内で町と表示があるものは山県郡、区と表示があるものは広島市である。

昭和50年に発電を開始した可部発電所は地理的には太田川水系内にあるが、水源は江の川の土師ダムからのものである。

太田川水系の中国電力の水力発電所
発電所名 位置 発電開始 形式 使用水量(m3/s) 落差(m) 出力(kW) 備考
亀山発電所 安佐北区 明治45年(1912年) 水路式 28.00 13.57 2,100 昭和48年(1973年)に廃止
間野平発電所 安佐北区 大正14年(1925年) 水路式/ダム水路式 25.00 46.10 24,500 および33m3/53.1m
加計発電所 安芸太田町 昭和5年(1930年) 水路式 8.90 216.80 16,400
下山発電所 北広島町 昭和9年(1934年) 水路式 14.32 85.50 10,000
土居発電所 安芸太田町 昭和13年(1938年) ダム水路式 7.60 129.60 8,000 立岩ダムより
打梨発電所 安芸太田町 昭和14年(1939年) ダム水路式 24.00 115.24 23,600 立岩ダムより
吉ヶ瀬発電所 安芸太田町 昭和19年(1944年) 水路式 20.00 114.08 18,900
安野発電所 安芸太田町 昭和21年(1946年) 水路式 14.15 64.78 13,600 および11m3/64.71m
柴木川第二発電所 安芸太田町 昭和30年(1955年) ダム水路式 10.00 76.70 6,600 樽床ダムより
柴木川第一発電所 安芸太田町 昭和32年(1957年) ダム水路式 7.00 403.80 24,000 樽床ダムより
滝山川発電所 安芸太田町 昭和34年(1959年) ダム水路式 19.00 314.40 51,500 王泊ダムより
滝本発電所 安芸太田町 昭和34年(1959年) ダム式 16.00 16.80 2,000 王泊ダム
太田川発電所 安佐南区 昭和36年(1961年) 水路式 50.00 39.12 16,400
可部発電所 安佐北区 昭和50年(1975年) ダム水路式 22.00 199.00 38,000 江の川水系土師ダムより導水
温井発電所 安芸太田町 平成13年(2001年) ダム式 3.00 93.60 2,300 温井ダム
最大出力(純水力) 285 255,800 亀山発電所を除く、間野平と安野は2系統ずつ。
南原発電所 安佐北区 昭和51年(1976年) 揚水式 254.00 294.00 620,000 ピーク時対応[注釈 4]

以上の中国電力の発電所の他、明治より電力事業者以外により小規模発電所も建設されてきた[15][16][信頼性要検証]。以下、発電開始年、施設名、出力、設置者

  • 1902年(明治35年) 加計町の丁川の発電所 (5キロワット、廃止)[12]
  • 1949年(昭和24年) 関川第一 (52キロワット、廃止)、広島市農協
  • 1953年(昭和28年) 豊平発電所 (100キロワット) 広島市農協
  • 1953年(昭和28年) 芸北発電所 (94キロワット、廃止) 広島市農協
  • 1954年(昭和29年) 水内川第一 (170キロワット) 広島市農協
  • 1954年(昭和29年) 志和掘発電所 (95キロワット) 志和堀電化組合
  • 1959年(昭和34年) 吉和発電所 (450キロワット) 佐伯中央農協
  • 1960年(昭和35年) 湯来発電所 (180キロワット、廃止) 広島市農協
  • 1962年(昭和37年) 潜龍発電所 (95キロワット) 千代田農協
  • 2003年(平成15年) 川小田発電所 (720キロワット) 芸北町

太田川水系以外のものを含めこのような小規模発電所は広島県内に30ヶ所ある。

太田川沿川の主な史跡・名勝・天然記念物

以下、下流(広島デルタ)から記載。(国=国指定、県=県指定、特=特別)、河川名の記述は支川のもの、記述の無いものは本流沿いである[17]

史跡・名勝

  • 比治山貝塚 (県)
  • 植田良背の墓 (県)
  • 頼家の墓 (県)
  • 頼山陽史跡資料館 (国)
  • 平和記念公園 (国)
  • 原爆ドーム (国)
  • 広島城跡 (国)
  • 縮景園 (国)
  • 牛田の弥生文化時代墳墓 (県)
  • 中小田古墳群 (国)
  • 銀山城跡 (県)
  • 西願寺山墳墓群 (県)
  • 恵下山・山手遺跡群 (県)
  • 木の宗山銅鐸銅剣出土地 (県) 三篠川
  • 熊谷氏の遺跡 (県) 根谷川
  • 地蔵河原一里塚 (県) 根谷川
  • 湯之山旧湯治場 (県) 水内川
  • 石ヶ谷峡 (県) 水内川
  • 下筒賀の社倉 (県)
  • 吉水園 (県)
  • 三段峡 (国、特) 柴木川

天然記念物

  • 新庄の宮の社叢 (県)
  • 長束の蓬華松 (県)
  • 東野のモッコク (県)
  • 正伝寺のクロガネモチ (県) 安川
  • 吉水園のモリアオガエル (県)
  • 筒賀のイチョウ (県) 筒賀川
  • 洗川の谷渡り台杉 (県) 柴木川
  • 梶ノ木の大スギ (県) 柴木川
  • 押ヶ峠断層帯 (県)
  • 冠高原のレンゲツツジ大群落 (県)
  • オオサンショウウオ (国、特)

注釈

  1. ^ 7月31日から元号は大正
  2. ^ ピーク時対応の揚水式発電である南原発電所を含まず。
  3. ^ 0.8758メガkWh x 365日 x 24時間
  4. ^ 明神ダムへ揚水して発電、下池が南原ダム、1974年に竣工した島根原発に合わせたもの

出典

  1. ^ 環境省選定 名水百選 詳細ページ”. 環境省. 2017年9月22日閲覧。
  2. ^ a b 建設省中国地方建設局 太田川工事事務所編『太田川史』、1993年。
  3. ^ 太田川下流ブロックの概要”. 河川生態ナレッジデータベース. 2017年9月22日閲覧。
  4. ^ a b c d 太田川水系の概要”. 国土交通省中国地方整備局. 2017年9月22日閲覧。
  5. ^ 西中国山地国定公園』 - コトバンク
  6. ^ 中国地方の地形環境 広島県 古川”. 徳山大学総合研究所. 2017年9月22日閲覧。
  7. ^ 平成13年度中国地方一級河川の水質現況”. 国土交通省中国地方整備局. 2017年9月22日閲覧。
  8. ^ 谷村賢治「文政期広島藩における浦辺・奥筋の非農産物と生産性格差」『三田商学研究』第23巻第6号、慶應義塾大学、1981年、73-83頁。 
  9. ^ 「災害と厚生」『安佐町史』pp.468 昭和52年3月30日
  10. ^ 日本の水力発電の歴史 「明治21年 - 明治30年」
  11. ^ a b 中国電力・環境@エネルギー 「広島」 Archived 2012年11月19日, at the Wayback Machine.
  12. ^ a b 広島市亀山公民館 「亀山発電所」
  13. ^ a b 太田川・Fanの集い 「太田川の水力発電」 Archived 2013年6月24日, at the Wayback Machine.
  14. ^ 経済産業省資源エネルギー庁 「都道府県別エネルギー消費統計・34 広島県」 Archived 2013年12月13日, at the Wayback Machine.
  15. ^ geocities 「中国地方の水力発電所概要一覧」
  16. ^ 第3章 その他の再生可能エネルギー”. 広島県庁. pp. 33. 2017年9月19日閲覧。
  17. ^ 国土交通省・中国地方整備局 太田川水系の概要
  18. ^ 「6人が死に4人不明」『朝日新聞』昭和47年7月11日朝刊、3版、9面


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