基準電極 基準電極の概要

基準電極

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/11 05:09 UTC 版)

電位の基準点を与えるという性質上、基準電極にはその電極電位の安定性再現性が要求される。

すなわち、

  • 電極反応が可逆であり、電極電位がネルンストの式にしたがうこと
  • 電極電位が測定中に変動をしないこと
  • 電流が流れたとしても電極電位が大きく変動せず、電流が切れれば直ぐに元の電極電位に戻ること

などが要求される。

本項では、一般的によく用いられる基準電極について簡単に解説する。

標準水素電極

標準水素電極(ひょうじゅんすいそでんきょく、: standard hydrogen electrodeSHE)とは、水素ガスおよび水素イオンの活量が全て1である水素電極である[1]

水素電極の構造と電極反応

水素電極の構造 ①電極②水素バブラ③電解質溶液④ガストラップ⑤液絡

水素電極は水素イオン(H+)と水素ガスとの電気化学的酸化還元反応に基づく電極であり、次のような電極反応がおこっている。

また、水素電極の電極電位は、ネルンストの式により次式で表される。

ここで、

  • は水素電極の電極電位(単位 V)
  • は水素電極の標準電極電位(単位 V)
  • 気体定数(=8.31447 J K−1 mol−1
  • 絶対温度(単位 K)
  • ファラデー定数(=9.64853×104 C mol−1
  • 電解質溶液中の水素イオンの活量
  • は水素ガスの分圧(単位 Pa)
  • 標準圧力(=101.3×103 Pa)

である。

標準水素電極の電極電位

ヴァルター・ネルンストの提案により、標準水素電極を全ての電位測定の基準とし、その電極電位は全ての温度範囲において0であるとされた。

標準水素電極を基準にして測定されたことを表すために、測定された電位の後ろに(vs. SHE)と付記されることがある。

可逆水素電極

可逆水素電極(かぎゃくすいそでんきょく、: reversible hydrogen electrodeRHE)は、測定対象の電極が入っている溶液のpHと同じpHの電解質溶液を用いた水素電極である。

上記の標準水素電極の電極電位の式からわかるように、電解質溶液の水素イオン活量(言い換えればpH)が変わると水素電極の電位も変化してしまう。 このため可逆水素電極と標準水素電極の電極電位は一致しないが、測定対象の電解槽で用いているのと同じ電解質が使えるので液間電位差を考える必要が無いので実験上便利である。

可逆水素電極を基準にして測定されたことを表すために、測定された電位の後ろに(vs. RHE)と付記されることがある。








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