反核運動 現状

反核運動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/04 12:34 UTC 版)

現状

1955年以来、反核兵器運動が進められてきた。しかし、核兵器廃絶どころか拡散に向かっており、廃絶にはほど遠いのが現状である。

但し、核保有国が核兵器を放棄した例が無いわけではなく、南アフリカ共和国は1990年に密かに保有していた核兵器を完全に放棄したほか、リビアなど核兵器の開発計画を放棄した国もある。ベルギーのように非核三原則を法制化しようとする動きもある。

朝日新聞社が、2022年2月19、20日に実施した全国世論調査で、原発再稼働への賛否を尋ねたところ、賛成38%、反対47%だった[21]。同じ質問をしてきた2013年6月の調査以降、初めて反対が半数を割り込んだ[21]

北朝鮮の核開発、核実験に対する各団体の対応

2002年10月に北朝鮮が核兵器の開発について言及したとの報道があった。これに対して、原水禁は核開発に断固「抗議」する声明を同月発表した[22]。一方、原水協は核開発放棄を「要求」するとした声明を翌年の1月付けで発表した[23]。ちなみに北朝鮮は1993年に核拡散防止条約批准破棄を声明している。

2006年10月に北朝鮮が核実験の予告の声明を発表した。これに対して、原水禁は断固「抗議」する声明[24] を発表した。一方、原水協は核実験を行わないことを「要求」するとした談話[25] を発表した。2006年10月9日に北朝鮮が核実験を行うとそれぞれの団体が一斉に抗議した。広島県原水禁、県被団協等12団体でつくる「核兵器廃絶広島平和会議」は平和記念公園原爆慰霊碑前に170人が座り込み抗議した。広島県原水協など8団体も同じく110人が座り込み「核拡散防止条約を無視した暴挙」と激しく抗議した。

憲法を守る東広島地区協議会と東広島平和を願う会21人は東広島市役所前で抗議の座り込みをした。
三良坂平和を願う会25人は三良坂平和公園で抗議の座り込みをした。
原水爆禁止長崎県民会議など五団体は北朝鮮に核開発計画の放棄を求める要請文を北朝鮮に送るとともに長崎平和公園で70人が座り込みをして核実験に抗議し中崎幸夫会長が「北朝鮮が核兵器を持つことは容認できない。アジアの人々を巻き込みかねない暴挙」として北朝鮮に強く抗議する声明を発表。
日本被団協は朝鮮総連に対して抗議メールを送付。「人類絶滅兵器を持つ意思の表明に他ならない」として強く非難し核開発・実験の断念を強く求める。
原水禁とフォーラム平和・人権・環境は「東北アジアの非核と安全保障を揺るがすもので、断じて許すことは出来ない」とする抗議文を金正日宛に送付。
世界平和アピール7人委員会が北朝鮮の核実験に抗議と再実験の反対アピール発表。

広島県知事、広島市長、広島県内市長も抗議声明を発表し抗議文を北朝鮮に送った。

藤田雄山広島県知事は「再び世界の核兵器開発競争を誘発することにつながりかねず極めて遺憾」と抗議。
秋葉忠利広島市長は「実験の強行は容認できない。全ての核兵器と核計画を即刻放棄すべきである」として抗議。
藤田博之広島市議会議長は「世界の緊張状態を増幅させ、新たな核拡散を誘発する」として抗議。
小村和年呉市長は「国際社会の平和と安全に対して脅威となる」として抗議。
羽田皓福山市長は「断じて許すことの出来ない行為であり強く憤りを覚える」として実験強硬を「暴挙」と断じて抗議。
蔵本久福山市議会議長も「断固抗議する」として抗議文を郵送。
山下三郎廿日市市長(被爆者)は「被爆者をはじめ核廃絶、恒久平和を願う人たちの思いを踏みにじる行為」として抗議。
曽根薫江田島市長(被爆者)は「市民を代表し、被爆者の一人として強く抗議する」。
滝口李彦庄原市長は「北朝鮮の主張は全く理解できない」と強く抗議。
蔵田義雄東広島市長と下村昭治市議会議長は連名で「北東アジアの平和と安全に対する脅威」と非難。
入山欣郎大竹市長は「他国の核兵器開発を助長する」と憂慮。
伊藤吉和府中市長は「核開発の即刻中止」を要望。
五藤康之三原市長は「核兵器のない世界を求める国際社会の願いを誠実に受け止めて欲しい」と要望。
亀田良一尾道市長は「一切の核実験を中止すべきだ」と強く求めるとして抗議。
小坂政司竹原市長は「核廃絶に取り組むよう強く要請する」として抗議。

長崎市は「核兵器の真の恐怖を経験した被爆地は大きな憤りを覚える。貴国の愚行によって引き起こされる危機的状況を深く憂慮する」とした抗議文を送付。

在日本大韓民国民団広島県地方本部は「核実験は南北統一の願いを踏みにじる行為」と北朝鮮の核実験に抗議声明を発表した。丁基和事務局長らは組織として平和公園での抗議の座り込みに参加。

李実根在日本朝鮮人被爆者協議会会長は「被爆者の願いに反する行動は許せない」とする一方で「北東アジアに覇権を確立するという米国の狙いを見据える冷静さも必要」と指摘する声明を発表した。


  1. ^ Herbert P. Kitschelt. Political Opportunity and Political Protest: Anti-Nuclear Movements in Four Democracies British Journal of Political Science, Vol. 16, No. 1, 1986, p. 71. 2016年4月6日閲覧。
  2. ^ 「アルジェリア」 小学館 日本大百科全書
  3. ^ 「これまでに署名された非核兵器地帯条約」 外務省
  4. ^ 「核戦争防止協定」 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
  5. ^ http://www.icj-cij.org/docket/files/95/7646.pdf
  6. ^ Bulletin of the Atomic Scientist. “Global nuclear stockpiles 1945–2006”. 2009年4月25日閲覧。
  7. ^ UN>General Assembly>Documents>Documents by Agenda Item 63rd(2008) Session>Resolutions Regular Sessions|title=Resolutions 63rd(2008) Session>Resolution No. A/RES/63/58 - Meeting Record A/63/PV.61 - Draft A/63/389 - Topic Towards a nuclear-weapon-free world: accelerating the implementation of nuclear disarmament commitments 2009年1月11日閲覧
  8. ^ 外務省>外交政策>軍縮・不拡散>我が国核軍縮決議の国連総会本会議における採択 2009年1月11日閲覧
  9. ^ [朝日新聞 http://www.asahi.com/international/update/0405/TKY200904050209.html オバマ大統領、核廃絶に向けた演説詳報]
  10. ^ [BBC News http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7983963.stm Obama promotes nuclear-free world]
  11. ^ 米露、戦略核弾頭1500~1675に削減で合意 共同文書に署名
  12. ^ 安保理:「核なき世界」決議、首脳会合が全会一致で採択
  13. ^ ストップ核兵器
  14. ^ 読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞 2010年4月9日記事
  15. ^ 読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞 2010年4月8日記事
  16. ^ a b c US Department of Defense>News>U.S. Declassifies Nuclear Stockpile Details to Promote Transparency
  17. ^ a b c 日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞 2010年5月5日記事
  18. ^ Global Nuclea r Wea pons Invento ries 1945-2010
  19. ^ United Nations>General Assembly>67th session>Resolutions>Convention on the prohibition of the Use of Nuclear Weapons
  20. ^ 「運動」は転換したのか?――新しい市民社会はどうすれば作り出せるのか(5) 毛利嘉孝 Wedge 2015年10月28日
  21. ^ a b 「原発再稼働」世論に変化、反対が半数割り込む 30代以下はさらに… チェルノブイリ知っている世代も〝容認〟に」『withnews』、2022年3月15日。2023年2月4日閲覧。
  22. ^ 北朝鮮の核兵器開発に断固抗議し、即時中止を求める声明 原水禁2002年10月24日
  23. ^ [1][リンク切れ]
  24. ^ 北朝鮮「核実験実施」明言に対する声明 原水禁2006年10月04日
  25. ^ 北朝鮮の核実験実施表明についての談話 - 原水爆禁止日本協議会、2006年10月5日。(2006年11月3日時点のアーカイブ
  26. ^ World's best-known protest symbol turns 50, BBC News, 20 March 2008.
  27. ^ The Origin of the Anti-Nuclear Emblem


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