協奏的幻想曲 (チャイコフスキー)
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楽器編成
ピアノ独奏、フルート3、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、ティンパニ、グロッケンシュピール、タンバリン、弦五部[4]
楽曲構成
- 第1楽章
- クワジ・ロンド(アンダンテ・モッソ)
- 「くるみ割り人形」を彷彿とさせるような、愛らしい旋律で開始される。全体はA-B-A形式になっており、Aの部分は明るく協奏的なもの、Bはより叙情的でピアノだけで奏されるものである。この楽章は"Quasi"と銘打たれているが、それはロンド主題が中間に1つエピソードを挟んで最後に1度しか再現されないことを示している。本楽章で示される遊び心に満ちた2つの主題から、チャイコフスキーは古典的なロンドによる終楽章をイメージし、こう名付けたのかもしれない。タイトルを除いては、この楽章を一般的なロンドと結びつける要素はほかに見当たらない[5]。にもかかわらず、チャイコフスキーはこの独自の素材を用いてヴィルトゥオーゾ的なピアノの技巧を管弦楽を伴って、曲として仕立て上げることに成功している[6]。
- 第2楽章
- コントラステス Contrastes (アンダンテ・カンタービレ - モルト・ヴィヴァーチェ - アレグロ・モデラート - ヴィヴァチッシモ - モルト・ピウ・トランクウィロ - ヴィヴァーチェ)
- 開始楽章と同様にここでも形式上の問題が現れる。ここでの問題点は一般的なものではないが[3]、やがて単純にうまく解決される[6]。楽章はピアノのカデンツァで開始される。すぐにチェロのソロの対旋律も加わって奏される緩やかな憂いを帯びた第1主題は、より急速で舞踏的な第2主題と対比される。両者は互いにせめぎ合いを演じたのち、そのまま間断なく最後の非常に明るいパートに突入する。これらの大きな各部分が通常の協奏曲の緩徐楽章と終楽章の役割を担っている[7]。最後は華やかに全曲を閉じる。
チャイコフスキーは「ピアノ協奏曲第2番」を作曲中にピアノとオーケストラの音が重なるのを嫌い[8]、両者をできるだけ独立させるようにした。チャイコフスキー研究者のデイビッド・ブラウン(David Brown)はピアノ独奏だけで書かれた第1楽章の中間部について、「前作で示された方向性の論理的帰結であった」と述べている[9]。このことで、中間部は新しい素材に基づいているにもかかわらずカデンツァであるかのように見える[6]。また、このカデンツァがソナタ形式における展開部の代わりとなっているという見方も可能である[5]。
脚注
注釈
出典
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