初音ミク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 15:01 UTC 版)
公式設定
初音ミクについては以下のようなキャラクター設定、得意ジャンルなどが公開されている[25][74][75]。関連企画によっては生年月日が設定されていることもある[76][77]。
設定についてはキャラクターを色付けしすぎないことも考慮されており、企画時に考えられていた背景設定[注 9]なども採用は見送られ、最低限のプロフィールだけとなっている[80]。
初音ミクのメディア展開では企業・団体との公式コラボ展開が行われている[81]が、ユーザーによる創作物において「好きなイメージの初音ミク」がそれぞれ存在しているという状況があり、クリプトン側はミクのイメージを収束させてしまうことを懸念していた[17]。生みの親であるクリプトンの佐々木(wat.)は、2013年の対談で「メジャーなメディアで影響力のあるコンテンツが生まれることによって他のクリエイターがやりにくくなってしまったら困る」と発言している[82][注 10]。
2020年より展開されている「プロジェクトセカイ」はクリプトンが深く関わる公式メディアミックス作品だが、あくまでもその作品における設定であり、ピアプロキャラクターズの公式設定(プロフィール)とは異なるものとして扱われている[注 11]。『SEGA feat.HATSUNE MIKU Project』のスタンスとしては「公式だから」と抑えつけるのではなく「我々も初音ミクの派生創作に参加させて頂く」という気持ち(ユーザー目線[84])で制作に臨んでいるという[85]。
一方で2021年に初音ミクのオリジナルアニメ・漫画の制作が報道された際、クリプトンの社員ドゥヴィーニュ・ギヨームが「ファンによる創造性と芸術表現の機会を無限に与えてくれる初音ミクの本質に忠実なアニメをつくるため画期的な方法を見つけたと信じています。これは、ミクと世界中のファンにとって大きな瞬間となるでしょう」ともコメントしている[16]。
キャラクターデザインを担当したKEIの手がける漫画作品「メーカー非公式 初音みっくす」はタイトルにあるように「非公式」という扱いになっている。ユーザーの創作から生み出されたものの中には、後述の「ネギ」のように広く受け入れられ、グッズなどの商業展開に取り入れられた例もあるが、これも公式設定に組み入れられているわけではない。
ゲーム「初音ミク Project DIVA」の林誠司プロデューサーは「クリエイターの日々の創作にユーザーの反応や評価が積み重なっていくことで、それがある種初音ミクのお手本、原作のような感じになっている」と述べた[84]。
音源設定
デモソングについては「初音ミクの音楽コンテンツ」を参照。
パッケージ | ライブラリ | 得意ジャンル | 得意な曲のテンポ | 得意な音域 | |
---|---|---|---|---|---|
『初音ミク』 | アイドルポップス、ダンス系ポップス | 70-150BPM | A3-E5 | ||
『初音ミク・アペンド』 | 「Sweet」 | フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等 | 55-155BPM | F3-D5 | |
「Dark」 | バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等 | 60-145BPM | D3-B4 | ||
「Soft」 | ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等 | 70-150BPM | A3-E5 | ||
「Light」 | ポップス、ロック、ダンス、テクノポップ等 | 85-175BPM | A3-D5 | ||
「Vivid」 | ポップス、テクノポップ、トラッド等 | 95-180BPM | G3-D5 | ||
「Solid」 | ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等 | 65-160BPM | D3-C5 | ||
『初音ミク V3 バンドル』 | 『初音ミク V3 ENGLISH』 | 「ENGLISH」 | ハウス、テクノ、クロスオーバー等 | 100-130BPM | B2-B3 |
『初音ミクV3』 | 「ORIGINAL」 | アイドルポップス、ダンス系ポップス | 70-150BPM | A2-E4 | |
「SWEET」 | フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等 | 55-155BPM | F2-D4 | ||
「DARK」 | バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等 | 60-145BPM | D2-B3 | ||
「SOFT」 | ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等 | 70-150BPM | A2-E4 | ||
「SOLID」 | ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等 | 65-160BPM | D2-C4 | ||
『初音ミク V4X バンドル』 | 『初音ミク V4 ENGLISH』 | 「ENGLISH」 | ポップス、バラード、ジャズ等 | 80-135BPM | B2-C#4 |
『初音ミクV4X』 | 「ORIGINAL」 | アイドルポップス、ダンス系ポップス | 60-160BPM | A2-E4 | |
「SWEET」 | フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等 | 55-155BPM | F2-D4 | ||
「DARK」 | バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等 | 60-160BPM | D2-B3 | ||
「SOFT」 | ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等 | 60-160BPM | A2-E4 | ||
「SOLID」 | ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等 | 65-160BPM | D2-C4 | ||
『初音ミク V4 CHINESE』 | 「CHINESE」 | ポップス、バラード、ジャズ等 | 80-135BPM | B2-C#4 | |
『初音ミク NT』[注 12] | 「Original DB+」 | ミクらしい可愛げのある歌声 | 表記なし | A2-E4 | |
「Whisper DB+」 | 耳元で囁くような吐息声 | ||||
「Dark DB+」 | ダウナーで哀愁漂う歌声 |
注釈
- ^ ユーザーによる創作物の中には、キャラクター利用の許諾を受けた上でCD、書籍などの形で商業展開が行われているものもある
- ^ これは音楽業界関係者の起用が順調にできなかったという事情や特徴的な声を求める狙いに起因する[21][22]。
- ^ 藤田の声はVOCALOIDエンジンとの相性が良いとも言われる[23]
- ^ ただし、他のVOCALOID製品と同様、歌唱に特化しているため台詞を歌劇のように歌わせることは容易でも自然に「喋らせる」ことには対応していない。企業向けのみの提供ではあるが喋りに対応した合成エンジンのVOCALOID-flexでミクのライブラリを使用することは可能[27]。
- ^ 発売以前に開発過程で作られたベータ版ライブラリの音声がアルバム2009年8月発売の『Hatsune Miku Orchestra』、9月発売のDVD『BLACK★ROCK SHOOTER -PILOT Edition-』の収録曲に使用され[29][30]、「Dark」「Soft」についてはデモ版のライブラリが「DTMマガジン」2010年1月号にて機能制限を付けた体験版として先行して提供されている[31]。「Light」については発売発表時点では存在が伏せられ、後にサプライズとして明らかにされた[32]。
- ^ 英語版の企画自体はV3発表前の2010年10月よりあったもので、伊藤社長によりフェイスブックのフォロワー数39390到達後のリリースが確約され、実際に到達した後に開発が始動した[34]。フォロワー数当初はカタカナ英語的なものを目指しており、2011年7月にデモ音源の公開が行った後に方向性を転換、開発に2年かけ、2013年8月の発売となった[28]。
- ^ 製品もクリプトン側の予想を上回る爆発的ヒットを記録し、ワンカップPの投稿動画のネタ元となる欠品状態に陥っていた[42]。
- ^ 2007年からのボカロリスナー「コバチカ」がその体験を綴ったブログ「ボカロとヒトのあいだ」のシリーズ記事である「ボクボカロクロニクル(第6回 メルトその2)」より。記事内容の一部は書籍『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』に引用されている。
- ^ 企画段階では「「歌」が失われた近未来の世界で、歌う技術を持ったアンドロイド「初音ミク」が発見され、人々が歌うことの素晴らしさを知っていく……というストーリー的なもの[79]」が考えられていたという。
- ^ 当初アニメ化の企画を持ちかけられたことはあったが、クリプトン側の方向性とは異なるため成立しなかった[83]
- ^ プロジェクトセカイの公式サイトには『本作におけるピアプロキャラクターズの設定は、「プロジェクトセカイ」における設定であり、公式設定とは異なります』との記述がある。
- ^ 初音ミクNTはVOCALOIDではないためヤマハのVOCALOIDEditorや旧Piapro Studioと互換性がない。
- ^ アルファベット表記のキャラクター名が書かれている。ただし、ミクの公式の表記がヘボン式の「Hatsune Miku」であるのに対し、公式イラストでは訓令式の「Hatune Miku」となっており[86]、「つ」の表記が異なっている。
- ^ ただし、左腕のパネルの表示にはDX100であり、スカートにTX816といったようにDX7以外の機種のデザインも取り入れていることを公式ブログのコメント上[89]で明らかにしている。
- ^ ミクダヨーはクリプトン、セガ、グッドスマイルカンパニーの共同登録商標。
- ^ 書籍「初音ミクアーカイブ」の食品リストより[143]。
- ^ 2010年にミュージックBD部門で1位を獲得している。
- ^ ただし、2008年4月以降はニコニコ動画とJASRACの間で楽曲の利用に関する包括契約が結ばれたため、ニコニコ動画内での利用であればJASRACに信託されても二次利用への支障は無くなっている。
- ^ 多くの人に見てもらうことを優先し、あえて削除申請を行わなかったという
出典
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