人民革命党事件 事件の余波

人民革命党事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 09:29 UTC 版)

事件の余波

第一次事件で韓国当局から有罪判決を受けた13人の中に李在汶(イ・ジェムン;이재문、1934年[6]~1981年)がいた。彼は1974年の第二次事件の際に韓国当局の逮捕から逃れることに成功し、1976年に「南朝鮮民族解放戦線(南民戦)準備委員会」を結成して朴正煕政権に対する抵抗活動を持続させようとした[7]。南民戦は資金難から社会的地位のある個人や公的機関に対する窃盗行為を繰り返し、1979年に韓国当局から摘発され消滅した(南民戦事件)。しかし、2006年に韓国政府は南民戦の活動を「朴正煕政権に対する民主化運動」とし、関係者の名誉を回復させている[8]

事件糾明の動き

事件発生当初[9]から、事件関係者や民主化運動関係者を中心に、人民革命党事件が韓国政府、特にKCIAによる捏造事件であるとする疑惑が提起されていた。そのため、盧武鉉政権は2004年11月2日、「過去の事件の真実究明を通じた発展委員会」(呉忠一委員長)を韓国国家情報院に設置し、真相の究明に当たらせた。

委員会はおよそ1年に亘る調査を行ない、2005年12月7日に「人民革命党事件は、KCIAによる捏造であった」とする調査結果を発表した。これを受け、韓国裁判府は人民革命党事件の同年再審請求を12月27日に受け入れ、再審査を開始した。それから2年後の2007年1月23日、ソウル中央地裁は国家保安法違反などでソウル大学生ら8人が死刑となった「人民革命党事件」の再審判決で8人全員に無罪を言い渡した[2]。遺族らは「32年ぶりに法的に名誉回復された」と歓迎した。また、同年8月21日には、遺族らが韓国政府に対しておこしていた国家賠償請求訴訟で、韓国政府に対し総額637億ウォンの損害賠償金を遺族らに支払うよう命じる判決を言い渡した[10]。判決直後の記者会見で遺族は、(賠償金を)元に基金を作り、犠牲者追悼事業と人権・統一事業のために使っていくことを明らかにした。

2008年1月23日には人革党事件で懲役刑を宣告され服役した14名に対してもソウル中央地裁は無罪判決を言い渡した[11]


  1. ^ a b 〈今日は何の日?〉4月9日版 Archived 2015年11月25日, at the Wayback Machine. 朝鮮新報
  2. ^ a b ‘인혁당’ 사형 8명 재심서 무죄판결 (‘人革党’死刑8名再審査 無罪判決).京郷新聞2007年1月23日
  3. ^ 北傀받고 國家變亂陰謀 革新系・言論人・教授・學生・會社員등 人民革命黨41名拘束(北傀より国家変乱陰謀 革新系・言論人・教授・学生・会社員など人民革命党41名拘束) (PDF) 東亜日報1965年8月14日1面左記事
  4. ^ 36명上告기각 2명還送 大法 人革黨사건등 36명 上告審판결 8명死刑 9명無期확정(36名上告棄却 大法人革党事件など36名上告審判決 8名死刑、9名無期確定) (PDF) .東亜日報1975年4月8日付1面
  5. ^ “인혁당 사건…왜 법관됐나 후회도 했다” (“人革党事件・・・なぜ法官になったのか後悔もした”).京郷新聞2007年1月29日
  6. ^ 남민전 삐라와 RO(?) 전단지(南民戦ビラとRO(?)チラシ).ニュースタウン2015年2月27日付記事
  7. ^ 오늘속으로(11월22일).韓国日報2003年11月21日付記事
  8. ^ 남민전 사건 29명 명예회복…총 밀반출도 민주화 인정 논란(南民戦事件29人の名誉回復...銃不法搬出も民主化認定で議論).東亜日報2006年03月15日付記事
  9. ^ 民主化運動を支援していた天主教正義具現全国司祭団は事件直後「真実告白」で、人革党事件は政府当局のデッチ上げに過ぎず、民青学連事件と連動させて共産主義者による陰謀として利用したものである事実を明らかにした。出典:尹景徹『分断後の韓国政治 1945~1986』(木鐸社)371頁
  10. ^ “인혁당 유족에 245억 배상하라” (“人革党遺族に245億賠償せよ”).京郷新聞2007年8月21日
  11. ^ [200자 뉴스]‘인혁당 복역’ 14명 무죄 선고([200字ニュース]‘人革党服役’14名無罪宣告).京郷新聞2008年1月23日


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