ヤマモガシ科 形態

ヤマモガシ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 13:15 UTC 版)

形態

いずれも常緑で、ほとんどが木本、一部は草本。は両性で、花被(がくと花弁の区別はない)は筒状で先が4裂し、それぞれに雄蕊が1つずつつく。雌蕊は1つで子房上位、堅果などの果実となる。花序は総状・穂状・頭状など。

本科植物は一部を除いて必須栄養素であるリンの欠乏に対してを特殊な形状に変化させることで知られる。この根は土壌中に有機酸を分泌し植物が通常利用できない形態のリンを溶解し吸収しておりリンに乏しい環境でも生育できるようになっている。この根は当初本科の学名Proteceaeからプロテオイド根(英:proteoid root)と呼ばれていたが、ヤマモモ科クワ科マメ科モクマオウ科に属する一部の種にも同じ目的で同じような形態に根を変化させるものが知られるようになったのでクラスター根(英:cluster root)と名前が変更された。日本のヤマモガシもこの構造の根を持つ[1]。同じように根の働きを強化するものとして、菌類と根の共生形態である菌根、マメ科などを中心に知られる根粒などが知られるが、クラスター根を形成するヤマモガシ科やマメ科ルピナス属には菌根や根粒を作るものが知られていない[2][3]

生態

乾燥地に適応し生育する者が多い。

山火事が頻発するオーストラリアに分布するものを中心に、本科のいくつかの種の果実は山火事の強熱を受けることで開いて中の種子を散布するという仕組みをもつものがある。山火事直後に散布され発芽することで、周囲の植生が壊滅した中で太陽光や栄養分を独占し、土壌中の病原菌も熱で殺菌され枯死しにくいなどの利点があると考えられている。同じような生存戦略を持つ植物は火災が多発する地域を中心に他にも存在し、オーストラリアに分布するヒノキ科や、北米や地中海周辺に分布するマツ科マツ属など針葉樹にも知られる。また、本科では果実の構造以外にも樹皮を厚くし防火性能を高めたり、地下部に栄養を蓄え萌芽更新能力も高くすることで、地上部が焼損しても速やかに芽を出して再生するなどの適応を見せる種も多く知られる。

人間との関わり

プロテアProteaバンクシアBanksiaマカダミアMacadamiaなどの属を含む。マカダミア(マカダミアナッツ)は食用にするために栽培され、他にも観賞用に多くの種が栽培される。


  1. ^ 山内大輝ら.(2015)日本産ヤマモガシ(ヤマモガシ科)のクラスター根の発見. 植物研究雑誌90(2), pp103-108.
  2. ^ 和崎淳(2006)クラスター根形成による植物の養分獲得戦略. 化学と生物44(6), pp420-423.
  3. ^ 丸山隼人・和崎淳(2017)低リン条件で房状の根を形成する植物の機能と分布-低リンストレスに対する植物の適応機構-. 化学と生物55(3), pp189-195.doi:10.1271/kagakutoseibutsu.55.189


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