モンテカルロ法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/02 02:40 UTC 版)
統計学
統計学におけるモンテカルロ法の1つとして、ブートストラップ法を参照。
乱数(列)の選択
モンテカルロ法では状況に応じた乱数列の選択が重要である。また、結果の品質には使用する乱数の品質によるところがある。
- 擬似乱数列
- 擬似乱数列は初期状態によって未来の数列がすべて決定されるので、いわゆる「真にランダム」ではないが、シミュレーションなどでは(他に非決定的な要素が無ければ)再現性がある、という重要な特性がある。
- 物理乱数
- 真の乱数が必要な場合や、擬似乱数列生成系の初期状態の設定のために良質の乱数が必要な場合は、物理現象を利用して物理乱数(真性乱数)を生成するハードウェアを利用する(ダイオードのPN接合部に生じる熱雑音を利用する方法がよく使われる。放射性元素を使うものもある)。
- 超一様分布列
- 逆に規則性の強い数列であり、数値積分に用いられる[9]。超一様分布列を用いたモンテカルロ法を準モンテカルロ法という。超一様分布列のことを、低食い違い量列や準乱数列[10]と呼ぶこともある。超一様分布列を数値積分に用いる目的は精度を高めることである。
精度
また、精度の良い結果を得るためには多くの試行回数が必要となる。しかし、1回の試行に膨大な時間がかかる場合、多くの試行を行うことは物理的に不可能となる。そのため、モンテカルロ法の精度は1回の試行に掛かる時間にも制限を受ける。
数値積分の精度はサンプルサイズ N を増やすことによって、よくなることが確率論によって保証されている。サンプルが真にランダムな乱数列だった場合には、積分の値と近似値の誤差
は、N を無限大にしたときほとんど確実に 0 に収束する(大数の法則)。この収束の速さに関しては、
となる(重複対数の法則)。すなわち、精度を10倍にするためには100倍のサンプルが必要となる。
これに対して、準モンテカルロ法では
となるので、精度を10倍にするためには約10倍のサンプルでよい。これが、準モンテカルロ法の利点である[9]。 ただし多次元の積分を行う場合には次元 n が大きくなるので実際問題として効果が薄くなり、単純なモンテカルロの方が良い結果を与えることが多い。
- ^ Motwani & Raghavan 1995, p. 9.
- ^ Motwani & Raghavan 1995, p. 10.
- ^ 英: van der Corput sequence
- ^ 英: Halton sequence
- ^ 英: Sobol sequence
- ^ 英: Niederreiter sequence
- ^ 英: Faure sequence
- ^ Sutton, Richard S. (1998). Reinforcement Learning: An Introduction. p. 91. ISBN 978-0262039246
- ^ a b 奥村晴彦『C言語による最新アルゴリズム事典』技術評論社、1991年、280-281頁。ISBN 4-87408-414-1。
- ^ 英: quasi-random sequence
モンテカルロ法と同じ種類の言葉
「モンテカルロ法」に関係したコラム
-
モンテカルロ法は、勝率が33%、払い戻しが3倍の勝負に用いられる手法の1つです。1回目は「1、2、3」の数列を作り、両端の1と3の和の4をかけ金とします。ここで勝ったら次回も同じように「1、2、3」の...
- モンテカルロ法のページへのリンク