デーヴァナーガリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/07 17:43 UTC 版)
歴史
紀元前3世紀頃から用いられてきたブラーフミー文字は地方によってさまざまな文字に分化した。まず南部と北部で分かれ、北部からはグプタ文字が生まれた。グプタ文字からシッダマートリカー文字(いわゆる梵字)が発展した。ナーガリー文字はシッダマートリカー文字の文字の上部の横線が伸び、全体に角張った形に変形したものである。
ナーガリー[2]はナガラ[3](都市)の文字という意味である。それがのちに神聖化されデーヴァ[4](神)を加え、デーヴァナーガリー(神聖なる都市文字)と呼ばれるようになった。
ナーガリー文字の出現時期を7世紀あるいは8世紀とする説もあるが[5]、年代が確実にわかるものは9世紀後半のものがもっとも古い[6]。11世紀になると字体がほぼ現在のものと同じになり、シッダマートリカー文字にとってかわった。ほかの文字が地方ごと・言語ごとに異なっていたのに対し、デーヴァナーガリーはサンスクリットを書くための地域をこえた文字として発達し[7]、北部インドだけでなく、デカン地方や南インドでも使用された。
インドでは多種多様なブラーフミー系文字が発達したが、デーヴァナーガリーは20世紀なかばまでにその使用範囲を広げ、北インドの地方文字であるマイティリー文字、カイティー文字、ランダー文字、モーディー文字、ドーグリー文字、タークリー文字などはデーヴァナーガリーに置き換えられて衰退していった。しかしベンガル文字、オリヤー文字、グルムキー文字、グジャラーティー文字などの地位を脅かすには至っていない[8]。
- ^ “THE CONSTITUTION OF INDIA: PART XVII OFFICIAL LANGUAGE: CHAPTER I: Language of the Union”. National Portal of India. 2019年5月10日閲覧。(英語)
- ^ サンスクリット語: नागरी
- ^ サンスクリット語: नगर
- ^ サンスクリット語: देव
- ^ Masica (1993) p.144 と田中 (1981) p.199 はいずれもラーシュトラクータ朝のダンティドゥルガ王の銅板文書(754年)を最古とする
- ^ Salomon (1998) p.40
- ^ Salomon (1998) p.41
- ^ Masica (1993) p.144
- ^ サンスクリット語ラテン翻字: virāma
- ^ a b c Bright (1996) p.388
- ^ 町田 (1999) p.105
- ^ “Unicode 6.0 Versioned Charts: Devanagari”. The Unicode Consortium (2010年10月11日). 2015年9月9日閲覧。
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