テッサー 派生

テッサー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/27 16:58 UTC 版)

派生

1919年[12]ウィリー・ウォルター・メルテテレテッサーTele-Tessar )を開発し、その後望遠レンズの多くにもこの名称が使用された。また色収差補正をアポクロマートにしたものはテレアポテッサーTele-Apo-Tessar )の名称を使用する。またメルテは明るく生物の撮影にも適するビオテッサーBio-Tessar )を1925年[12]に開発している。これらは本来の3群4枚構成からは逸脱することもある。レンズの構成枚数が少なくレンズエレメントの空間が比較的長いので軽量コンパクトになる。ズーム・レンズでコンパクトな製品にはバリオテッサー銘をつけるようになっている。

他社での派生

テッサーは他のレンズメーカーにも多大な影響を与え、コピーや類似したレンズが数多く造られた[3]。上述のライツ エルマーをはじめ、フォクトレンダー スコパーやコダック エクターなど、当時のトップメーカーを代表するレンズの多くが、テッサー構成であった。また20世紀後半に大量に生産された大衆向けコンパクトカメラでも、各社で生産されたテッサー構成のレンズが広く利用された。

これらカールツァイス以外によって生産された3群4枚テッサー構成のレンズはまとめてテッサータイプまたはテッサー型と呼ばれており、カールツァイス製テッサー以上に膨大な数が存在する。

製品一覧

コンタフレックス(Contaflex )用

アルファ、ベータ、プリマを除いたシリーズ全てがテッサーを固定装着する。

コンタフレックス126(Contaflex126 )用

コンタレックス(Contarex )マウント

コンタックス(Contax )マウント

コンタックスRTS(CONTAX RTS )マウント

コンタックスN(CONTAX N )マウント

コンタックス645(CONTAX 645 )マウント

コンタックス(CONTAX )デジタルカメラ用

エクサクタマウント

グラフレックスXLシリーズ用

  • テッサー100mmF3.5

ハッセルブラッド1600F/1000Fマウント

ハッセルブラッドVマウント

ハッセルブラッド特殊カメラ用

ハイドスコープ用

フランケ&ハイデッケ(現ローライ)が発売したステレオカメラ。

イコンタシリーズ用

イコフレックスシリーズ用

ロジテックWebカメラ用

日本でロジクールとして知られる米国企業であり、日本のロジテックとは無関係。

  • テッサー3.7mmF2(2007年) - Qcam Proシリーズに内蔵。

M42マウント

ノキア携帯電話用

レチナ用

RMSマウント

テッサー3.5cmF3.5
  • テッサー3.5cmF3.5 - ズイコー・マクロ20mmF3.5などテッサー構成をとり拡大倍率で使用する前提のマクロレンズでは通例貼りあわせ部分が物体側を向く「逆配置」になっているが、当レンズでは通常のテッサー同様に貼りあわせ部分は像側を向いている。

ローライドスコープ用

フランケ&ハイデッケ(現ローライ)が発売したステレオカメラ。

ローライフレックス6×6cm判二眼レフカメラ用

ローライフレックス・シリーズの代表的レンズの一つ。プラナーが出てからは普及版のローライフレックスTに装着された。ローライマジックシリーズも装着する。

ローライフレックスSL35/SL2000シリーズ用

ローライ35シリーズ用

当初はローライ35シリーズの看板レンズであり、ゾナー40mmF2.8を装着したローライ35Sが出てからも普及版のローライ35Tローライ35TEとなって継続販売された。

ヤシカコンパクトカメラ/京セラコンパクトカメラ用

  • テッサー35mmF3.5 - ヤシカT AF-D、京セラTD、Slim T、T PROOFに内蔵
  • テッサー35mmF2.8 - 京セラT-Scope、T-Scope2に内蔵

大判用/特殊用

ツァイス・アナスチグマットとしてはシリーズIIBの扱いであったので初期の製品にはBの文字が残って「Bテッサー」と俗称され[2]。F4.5やF3.5に大口径化された製品はシリーズIC[5]で「Cテッサー」と俗称された[5]。製版用のプロセスレンズとして開発されたアポクロマティック・テッサーはシリーズVIII (シリーズ 8 )

シリーズIIB

いわゆる「Bテッサー」で解像力が鋭く包括角度も広いなど非常に優秀なことで知られる[2][13]

  • 0番 - Bテッサー40mmF6.3
  • 1番 - Bテッサー56mmF6.3
  • 1a番 - Bテッサー75mmF6.3
  • 2番 - Bテッサー84mmF6.3
  • 3番 - Bテッサー112mmF6.3
  • 4番 - Bテッサー136mmF6.3
  • 5番 - Bテッサー150mmF6.3
  • 5a番 - Bテッサー180mmF6.3
  • 6番 - Bテッサー210mmF6.3
  • 7番 - Bテッサー255mmF6.3
  • 8番 - Bテッサー305mmF6.3
  • 9番 - Bテッサー365mmF6.3
  • 10番 - Bテッサー490mmF6.3
  • 11番 - Bテッサー590mmF6.3

シリーズIC

いわゆる「Cテッサー」[5]で、「Bテッサー」と比較すると明るいため高速シャッターが切れる。

  • 1番 - テッサー50mmF3.5
  • 1a番 - テッサー75mmF3.5
  • 6番 - テッサー210mmF3.5
  • 7番 - テッサー250mmF3.5
  • 8番 - テッサー300mmF3.5
  • 14番 - テッサー112mmF4.5
  • 15番 - テッサー150mmF4.5
  • 15a番 - テッサー180mmF4.5
  • 16番 - テッサー210mmF4.5 - φ62mmP=0.75ねじマウント。アタッチメントφ67mmねじ込み式。16枚真円絞り。大口径だが、色収差が多少気になる。このレンズの模造品、旧ソヴィエト社会主義共和国連邦製の「Kazanski Optiko-Mekhanicheski Zavod Industar-51 210mm F4.5 / φ60P=1.0ねじマウント」の方がシャープで色収差も極めて少ない。珍しいケースである。
  • 17番 - テッサー250mmF4.5
  • 18番 - テッサー300mmF4.5
  • 19番 - テッサー400mmF4.5
  • 20番 - テッサー500mmF4.5

シリーズVIII (シリーズ 8)

製版用プロセスレンズとして開発された、アポクロマート補正をなされたレンズで、ニコンのアポニッコールと双璧をなす。オプションの特殊形状の絞りやシート・フィルターを差し込むためのウォーターハウス型絞りスロットが全品種に備わる。絞りは多数枚あり、完全円形絞り。同名製品でも製造年代により硝材がかなり異なり、初期製品は第一群の最前面のレンズがとても曇りやすく磨いても3日で曇りだしてくるが、中期以降の製品ではそのようなことはなくなった。製版用に開発されたレンズのため、設計基準倍率は等倍(1:1) なので一般マクロレンズとしての利用でも高性能である。カラー製版を考慮して設計されているので、初期製品からすでにカラーバランスが最適化されている。一般的にアルファベット文化圏の製版レンズは解像力が低くなりがちだが、アポテッサーは総じて高解像力である。

  • アポ・テッサー180mmF9 - φ53mmP=0.75mmねじマウント。アタッチメントはφ55mm被せ型締め付けネジ付き式金属製。フィルターガラスの厚みは約8mm。キャップはφ55mmカブセ式。中期以降の物は、レンズ先端に一般レンズのようにφ48mmのフィルタネジが装着可能である。レンズ本体は、アポテッサー240mmF9とレンズ本体が共通仕様。
  • アポ・テッサー240mmF9 - φ53mmP=0.75mmねじマウント。アタッチメントはφ55mm被せ型締め付けネジ付き式金属製。フィルターガラスの厚みは約8mm。キャップはφ55mmカブセ式。中期以降の物は、レンズ先端に一般レンズのようにφ48mmのフィルタネジが装着可能である。古い時代の物は鏡筒が真鍮製で黒色塗装がされていたが、最後期型はアルミ製鏡筒に黒色塗装を施している。中期型の一部にはレンズ後群を貼り合わせない光学系の物も確認されているが、その後のロットではまた以前同様レンズを貼り合わせた物に戻されている。
  • アポ・テッサー300mmF9 - φ53mmP=0.75mmねじマウント。アポテッサー240mmF9とレンズ本体が共通仕様。アタッチメントはφ55mm被せ型締め付けネジ付き式金属製。キャップはφ55mmカブセ式。
  • アポ・テッサーT300mmF9 - 上記の物にTコーティングを施した物。木箱入りで、ウォーターハウス型絞りスロットに差し入れる特殊な絞りやレンズ取り付け座金、専用取り付けねじなどとセットになっていた。
  • アポ・テッサー450mmF9 - φ71mmP=1.0mmねじマウント。アタッチメントφ63mmねじ込み式。
  • アポ・テッサー600mmF9 - φ89mmP=P1.0mmねじマウント。アタッチメントφ83mmねじ込み式、キャップはφ93mm被せ式。
  • アポ・テッサーT 90cmF9 - φ145mmP=1.0mmねじマウント。重さ約6kg。

注釈

  1. ^ 『ツァイス・イコン物語』p.92はギリシア語の4をTessarosとしている。

出典

  1. ^ a b 『ツァイス・イコン物語』p.92。
  2. ^ a b c d e f g 『クラシックカメラ専科』p.192。
  3. ^ a b 『カール・ツァイス創業・分断・統合の歴史』p.106。
  4. ^ a b c d e f 『季刊クラシックカメラNo.5ツァイス』p.016。
  5. ^ a b c d e 『クラシックカメラ専科』p.190。
  6. ^ トリプレットが英国発祥のため、ドイツ人としては認めたくない、という事情がある。
  7. ^ 『国産カメラ開発物語』p.23。
  8. ^ a b c d 『クラシックカメラ専科』p.111。
  9. ^ 『クラシックカメラ専科』p.50。
  10. ^ 『カール・ツァイス創業・分断・統合の歴史』p.171。
  11. ^ 『クラシックカメラ専科』p.81。
  12. ^ a b 『カール・ツァイス創業・分断・統合の歴史』p.109。
  13. ^ 『クラシックカメラ専科No.23、名レンズを探せ!トプコン35mmレンズシャッター一眼レフの系譜』p.67。






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