スタルティネス スタルティネスの概要

スタルティネス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 13:30 UTC 版)

概要

スタルティネスは主にリトアニア北東部、アウクシュタイティヤ地方の村落で歌われていた。歌の内容は日常や婚礼、またに関するものなど多岐に渡る。多くの場合は2–4人の女性達によって、基本的に無伴奏で息を合わせて歌われる。スタルティネスの特徴は、同じフレーズを複数名が時間差でずらして、繰り返し被せていく点である。フレーズは、リトアニア語のとして意味をなす部分と、囃し言葉の様にほぼ意味をなさない部分の二種類とに大別される。伝統的に男性はスタルティネスを直接歌わず、いずれも民族楽器スクドゥチェイリトアニア語版ダウディーテリトアニア語版daudytė)といったある種のを吹いたり、あるいはツィターに似たカンクレス英語版kanklės)を弾いたりなどして演奏を行う[2]

2010年11月16日ユネスコ無形文化遺産に登録された[3]

語源

リトアニア語における "sutartinės" の語は文法的には女性名詞複数主格形であるが、形容詞 sutartinis 〈調和の〉[1]の女性・複数・主格形とも同形である。この形容詞に関しては1954年出版のリトアニア語辞書の sutartinis の項に sutartinė daina という用例が掲載されている[1]sutartinėsutartinis の語は動詞 sutarti 〈調和する〉、〈息を合わせる〉[1][2]名詞 sutartis 〈合意〉、〈契約〉[1]と関連がある。

主な楽曲

以下に挙げるような楽曲が存在する。

  • "Dijūta (kalneli)"
  • "Dūno upė"
  • "Išjoja joja, sodauto"
  • "Kadu buva, kadujo"
  • "Kas tar teka par dvarelį, saula riduolėla"
  • "Turėja liepa, lioj taduvėla"
  • "Žvingia žirgas dolija"

担い手

スタルティネスは今日庶民の日常において歌われる機会は少なくなったものの、現在は数多くの民族音楽グループによって歌い継がれている。その代表として、主に青少年による祭礼音楽団体クールグリンダ英語版Kūlgrinda)や、2010年に来日しワークショップの形式により公演も行った[4]トゥリース・ケトゥリォセ(Trys keturiose)などが挙げられる。また、後者のリーダーであるダイヴァ・ラチューナイテ=ヴィーチニエネ(Daiva Račiūnaitė-Vyčinienė)は夫のエヴァルダス・ヴィーチナス(Evaldas Vyčinas)と共に民族音楽の研究家でもあり、前項で述べられたスタルティネスの無形文化遺産登録にも積極的に関与していた事が窺われる[5]

ポピュラー音楽において

フォークロック・バンドのジャルヴァリニス英語版Žalvarinis)は自国の民謡をアレンジした楽曲を数々披露してきたが、ボーカル2名が前述のクールグリンダの団員であった[6]事もあり、スタルティネスを応用して"Dijūta"などを歌っている。また、ピエヴォスリトアニア語版(Pievos)というグループも厳密なスタルティネスの形式に則ってはいないものの、"Dūno upė"のアレンジ曲を発表している。

脚注


  1. ^ a b c d e (1954). Dabartinės Lietuvių Kalbos Žodynas. Vilnius: Valstybinė politinės ir mokslinės literatūros leidykla, p. 787.
  2. ^ a b (英語) Sutartinės, Lithuanian multipart folksongs - intangible heritage - Culture Sector - UNESCO 2024年3月13日閲覧。
  3. ^ (リトアニア語)Lietuvos nacionalinė UNESCO komisija.”. 2014年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月11日閲覧。
  4. ^ Report:【Sharing. リトアニアへの旅】ワークショップ『音を分かち合う』 - ウェイバックマシン(2016年5月29日アーカイブ分)
  5. ^ ユネスコの紹介ビデオにて、紹介文の書き手として彼女の名がクレジットされている。(英語) Sutartinės, Lithuanian multipart folksongs - intangible heritage - Culture Sector - UNESCO 2024年3月13日閲覧。を参照。
  6. ^ (リトアニア語) ジャルヴァリニスの公式サイト(2014年10月06日閲覧)より。


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