サルナシ 近縁種

サルナシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 06:39 UTC 版)

近縁種

よく似ている同属の植物にシマサルナシ(島猿梨、学名: Actinidia rufa[20])がある。本州西部以南(紀伊半島、山口県)、四国、九州の沿岸地に分布し、山林の林縁などに自生する[21]。雌雄同株、雌雄異花のつる性落葉小高木で、灰褐色のつるには縦横に深い亀裂が入る[21]。葉は長さ10 cm、幅6 cmの卵状広楕円形で、サルナシよりもやや広い[21]。花期は5 - 6月ごろで、直径15 mmほどの花が多数咲く[21]。果実は長さ4 cm、直径25 mmほどの褐色の広楕円形で、外見がそっくりなキウイフルーツはシマサルナシの改良品といわれる[21]。果実が同様に食べられ、少ししなびたくらいのころが甘くておいしくなる[4]

伝説

サルナシの実は、名の通りサルが好んで食べるが、食べきれないものを木や岩陰の窪みに残すという[10]。サルもサルナシの実を置き忘れしてまうことがあり、雨露や寒暖を受けて発酵し、やがて幻の酒である猿酒になるという説話が山家では口承されてきた[10]。サルナシのほかに、ヤマブドウでも同様の話があり、サルの唾液が一役買うという説もある[10]。しかし昨今では、このような話を語る人も少なくなったといわれる[10]

参考文献

  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、117頁。ISBN 978-4-569-79145-6 
  • 川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年11月10日、92頁。ISBN 978-4-86124-327-1 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、67頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、177頁。ISBN 4-05-401881-5 
  • 戸門秀雄『山菜・木の実 おいしい50選』恒文社、2007年4月16日、106 - 107頁。ISBN 978-4-7704-1125-9 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、257頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinidia arguta (Siebold et Zucc.) Planch. ex Miq. var. arguta サルナシ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月20日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinidia tetramera auct. non Maxim. サルナシ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 257.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 金田初代 2010, p. 117.
  5. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 67
  6. ^ a b c 戸門秀雄 2007, p. 106.
  7. ^ a b c d e f g 高橋秀男監修 2003, p. 177.
  8. ^ a b c d e f g h i 川原勝征 2015, p. 92.
  9. ^ a b 長野県中南部に自生するサルナシ (Actinidia arguta (Sieb.et Zucc.) Planch. Ex Miq.) の果実形態と収量の系統間差異 信州大学農学部AFC報告 7: 11-19 (2009)
  10. ^ a b c d e f 戸門秀雄 2020, p. 106.
  11. ^ 鳥居春己:大井川上流域におけるツキノワグマの食性, 日本林学会誌 Vol.71 (1989) No.10 P417-420, JOI:JST.Journalarchive/jjfs1953/71.417
  12. ^ 北海道におけるエゾライチョウの食性 山階鳥類研究所研究報告 Vol.34 (2002-2003) No.1 P73-79
  13. ^ サルナシの自生系統の諸特性 (PDF) 東北農業研究 (54), 163-164, 2001-12-00
  14. ^ サルナシ (Actinidia arguta Planch) の栽培特性 (PDF) 山梨県森林総合研究所研究報告 26号, p.9-11, 2007年2月
  15. ^ 【食材ノート】「サルナシ 全国産地が結束/加工品開発、認知度向上へ」『日経MJ』2018年4月2日(フード面)。
  16. ^ a b ベビーキウイ(サルナシ)果実の特性 日本家政学会誌 Vol.61 (2010) No.8 p.501-504
  17. ^ 戸門秀雄 2020, p. 107.
  18. ^ サルナシの搾汁と飲料加工 東北農業研究 (56), 265-266, 2003-12-00
  19. ^ 斎藤栄吉「網場」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p11-12 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
  20. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Actinidia rufa (Siebold et Zucc.) Planch. ex Miq. シマサルナシ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
  21. ^ a b c d e 川原勝征 2015, p. 93.


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