アンドラーシュ・シフ 受賞歴・栄典

アンドラーシュ・シフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 21:31 UTC 版)

受賞歴・栄典

主な演奏活動・評価

1970年代に各コンクールでの活躍が始まると、ほぼ同年代のコチシュ・ゾルターンラーンキ・デジェーと並んでハンガリーの「若手三羽烏」として売り出された[7]。当時ソ連型社会主義体制であったハンガリー人民共和国にコンクール出場を求められており[12]、「このコンクール歴は必ずしも自分の本意ではありません」と当時を回想している。

最年少のシフは、当初は3人のうちでも目立たない存在だったが、1980年代にイギリスのデッカ・レーベルと契約後、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集の録音で俄に注目を集め、続いて一連のバッハ作品の録音によって、「グールド以来のバッハ解釈者」との名声を得[13]、確固たるものとした。その後、1990年前後にはシューベルトのピアノソナタの演奏・録音、バルトークのピアノ協奏曲全曲、1999年から2005年にかけて、ザルツブルク・モーツァルテウム創立記念モーツァルト週間に、シフ自身が編成したオーケストラとモーツァルトのピアノ協奏曲を全曲演奏するなど、スタンダードナンバー演奏で高い評価を受けた。

近年はハインツ・ホリガーと共演でヴェレシュ・シャーンドル作品を紹介したり、ペレーニ・ミクローシュとの共演など、祖国ハンガリーにちなむ活動も盛んである。

録音

ソロから協奏曲までまたがっており、レパートリーはドイツ・オーストリア・ハンガリー系が中心となっている。

器楽作品

デッカ・レーベルにバッハ、モーツァルト、シューベルトなどの一連の録音がある。その後ECMに移籍し、バッハ、ヤナーチェク、シューマンなどの録音を残す。2008年にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を完成させ、大きな反響を呼んだ。

協奏曲

デッカ・レーベルに同郷のシャーンドル・ヴェーグ指揮ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカと残したモーツァルトのピアノ協奏曲全集が代表的。テルデック・レーベル移籍後は、バルトークのピアノ協奏曲(イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団)、ベートーヴェンのピアノ協奏曲録音(ベルナルト・ハイティンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン)がある。

室内楽

塩川悠子(シフ夫人)とバルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番、ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタ(デッカ)、チェロ奏者ペレーニを加えた三重奏でのシューベルトの2曲のピアノ三重奏曲(テルデック)、幻想曲 ハ長調(ECM)、ペレーニとのベートーヴェンのチェロ作品集(ECM)の録音がある。 2016年10月 バッハ、ブソーニ、ベートーヴェンのヴァイオリンとピアノのためのソナタを、妻である塩川悠子と共演し録音[1][14]

歌曲のピアノ伴奏

テノール歌手のペーター・シュライアーや、バス・バリトン歌手のローベルト・ホルとの共演がある。シュライアーとはデッカレーベルにシューベルトの歌曲集『白鳥の歌』(1990年)、『美しき水車小屋の娘』(1991年)、『冬の旅』(1994年)を、Wigmore Hallレーベルにウィグモアホールでのライブ録音CD(『白鳥の歌』、およびゲーテの詩による「竪琴弾きの歌」全3曲、「さすらい人の夜の歌」、「ミューズの子」、1991年録音)がある。ORFEO D'ORレーベルにはシューマン歌曲集(ハイネの詩による『リーダークライス』作品24および『詩人の恋』とアイヒェンドルフの詩による『リーダークライス』作品39、2002年録音)がある。またホルとの共演ではデッカ・レーベルにブラームス歌曲集(1993年録音)、シューマン歌曲集(1994年録音)がある。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n HOME / ARTISTS / ANDRÁS SCHIFF” (英語). ECMrecords. 2018年4月18日閲覧。
  2. ^ アンドラーシュ・シフ インタビューJupiter’s Specialアンドラーシュ・シフ(ピアノ)”. いずみホール. 2018年4月18日閲覧。
  3. ^ 吉澤ヴィルヘルム『ピアニストガイド』青弓社、印刷所・製本所厚徳所、2006年2月10日、102ページ、ISBN 4-7872-7208-X
  4. ^ Sir András Schiff”. Kirshbaum Associates Inc. 2018年4月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j 『スーパーピアノレッスン シフと挑むベートーベンの協奏曲 2008年12〜3月』NHK出版、2009年、7頁。 
  6. ^ András Schiff” (英語). Zeneakademia.hu. 2020年5月29日閲覧。
  7. ^ a b [この一枚 No.48 ~コチシュ/バルトーク:ピアノ作品集~]”. 日本コロムビア. 2018年4月18日閲覧。
  8. ^ a b ピアノ アンドラーシュ・シフ András Schiff PROFILE”. KAJIMOTO. 2018年4月18日閲覧。
  9. ^ スーパーピアノレッスン シフと挑むベートーベンの協奏曲 2008年12~3月”. NHK. 2018年4月18日閲覧。
  10. ^ 東欧革命から30年。ポピュリスト台頭で今日も続く東西間の「政治的分断」③民主化から右傾化へ、東欧の現在地 imidas 2019/05/31
  11. ^ カジモト アーティスト・プロフィール”. 株式会社KAJIMOTO. 2021年1月24日閲覧。
  12. ^ アンドラーシュ・シフ/チャイコフスキー・コンクール・ライヴ録音 HMV&BOOKS online 2016年10月9日配信 2018年5月11日閲覧
  13. ^ Prom 73: A Bach masterclass from András Schiff bachtrack.com 2017年9月10日配信 2018年5月11日閲覧
  14. ^ 塩川悠子&アンドラーシュ・シフ、久々の共演録音!バッハ、ブゾーニ、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集”. タワーレコード. 2018年4月18日閲覧。


「アンドラーシュ・シフ」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  アンドラーシュ・シフのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アンドラーシュ・シフ」の関連用語

アンドラーシュ・シフのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アンドラーシュ・シフのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアンドラーシュ・シフ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS