アミノ酸の代謝分解 アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、プロリン

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アミノ酸の代謝分解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/19 01:13 UTC 版)

アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、プロリン

アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、プロリンはグルタミン酸に分解され、グルタミン酸はグルタミン酸デヒドロゲナーゼによって2-オキソグルタル酸に酸化される。

グルタミンはグルタミナーゼで加水分解されてグルタミン酸へ変換される。

ヒスチジンは、非酸化的脱アミノの後、イミダゾール環が開環してN-ホルムイミノグルタミン酸を生じ、ホルムイミノ基がテトラヒドロ葉酸(THF)に転移してグルタミン酸と5-ホルムイミノテトラヒドロ葉酸(5-ホルムイミノTHF)に分解される。

アルギニンおよびプロリンは共にグルタミン酸 5-セミアルデヒドを経てグルタミン酸が生じる。

反応の概略図 酵素等
アルギニン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、グルタミン酸の2-オキソグルタル酸への分解経路
(1) - グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
(2) - グルタミナーゼ
(3) - アルギナーゼ
(4) - オルニチン 5-トランスアミナーゼ
(5) - グルタミン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ
(6) - プロリンオキシダーゼ
(7) - 非酵素反応
(8) - ヒスチジンアンモニアリアーゼ
(9) - ウロカニン酸ヒドラターゼ
(10) - イミダゾロンプロピオナーゼ
(11) - グルタミン酸ホルムイミノトランスフェラーゼ

メチオニン

メチオニンは始め、アデノシン三リン酸(ATP)と反応してS-アデノシルメチオニン(SAMもしくはAdoMet)に変わる。SAMは強いメチル基供与体であり、ホスファチジルエタノールアミンホスファチジルコリンにしたり、アドレナリンノルアドレナリンにしたりする。SAMは基質メチル基を供与するとS-アデノシルホモシステインとなる。S-アデノシルホモシステインはアデノシンとホモシステインに加水分解され、そのうちホモシステインはメチル基が再生されてメチオニンに戻る経路とセリンと結合してシスタチオニンになる経路とに分かれる。

反応の概略図 酵素等
メチオニンのスクシニルCoAまでの分解経路
(1) - メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ
(2) - メチルトランスフェラーゼ
(3) - アデノシルホモシステイナーゼ
(4) - 5-メチルTHF-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(メチオニンシンターゼ)
(5) - シスタチオニンβ-シンターゼ(PLP酵素)
(6) - シスタチオニンγ-リアーゼ(PLP酵素)
(7) - α-ケト酸デヒドロゲナーゼ
(8) - プロピオニルCoAカルボキシラーゼ
(9) - メチルマロニルCoAエピメラーゼ
(10) - メチルマロニルCoAムターゼ
(11) - グリシン開裂系
(12) - 5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ

メチオニン分解系の異常

ホモシステインの生成と分解のバランスが崩れることによって高ホモシステイン血症が起こる。高ホモシステイン血症は、出生時の乳児に新血管病、認識障害、神経管損傷(脊椎被裂と無脳症の原因)といった重大な疾患を引き起こさせる。高ホモシステイン血症は妊婦へのビタミンB6B12葉酸の摂取で予防することができる。

分枝鎖アミノ酸

イソロイシンとバリン

イソロイシンとバリンの分解の始めの4ステップは共通の4酵素で反応する。

反応の概略図 酵素等
イソロイシンとバリンの分解経路
(1) - 分枝鎖アミノ酸トランスアミナーゼ
(2) - 分枝αケト酸デヒドロゲナーゼ(BCKDH)
(3) - アシルCoAデヒドロゲナーゼ
(4) - エノイルCoAヒドラターゼ

イソロイシン由来の3-ヒドロキシ-2-メチルブチリルCoAの分解経路ではプロピオニルCoAの他にアセチルCoAも生成する。

反応の概略図 酵素等
イソロイシンとバリンの分解経路
(1) - 3-ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ
(2) - アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ
(3) - 3-ヒドロキシイソブチリルCoAヒドロラーゼ
(4) - 3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼ
(5) - メチルマロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ

ロイシン

反応の概略図 酵素等
イソロイシンとバリンの分解経路
(1) - 分枝鎖アミノ酸トランスアミナーゼ
(2) - 分枝α-ケト酸デヒドロゲナーゼ
(3) - イソバレリルCoAデヒドロゲナーゼ
(4) - メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ
(5) - 3-メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ
(6) - HMG-CoAリアーゼ

分枝鎖アミノ酸分解系の異常

分枝α-ケト酸デヒドロゲナーゼ(BCKDH)が欠損することによってメープルシロップ尿症(英:Maple syrup urine disease,MSUD)が起こる。この名称は、酵素の欠損で過剰となった分枝α-ケト酸が尿に排出され、尿がメープルシロップのような芳香を呈することに由来する。メープルシロップ尿症は常染色体劣性遺伝病であり、生後すぐに治療しなければまもなく死に至る。




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