アクティベーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 13:55 UTC 版)
概要
通常のソフトウェアの出荷時には、電子媒体(CD/DVD-ROM、USBメモリなど)1枚(1本)につき、1つのシリアル番号(ライセンスキー)が付与(印刷)される[注 1]。
アクティベーションの導入前においては、出荷されたソフトウェアのシリアル番号は全てメーカーで把握しているが、「どのシリアル番号」が「どのパソコンにインストールされたか」、または「1ライセンスで2台以上のパソコンにインストールされていないか(1つのシリアル番号が複数台で使い回されていないか)」が監視できない状態にあった。
ユーザー全員を監視するのは到底不可能であることと、使用時にはユーザー登録[注 2]はほぼ任意とされているため、メーカーから監視されないのを悪用し、電子媒体のコピーや「1ライセンスで2台以上のパソコンにインストール」され、またインストール後に元の電子媒体を中古で転売できる問題もあった。
こうした不正コピーを防ぐため、以下のような方法が導入され、認証する形を取るようになった。
- インストール後は使用できる範囲や期間を制限する
- パッケージに印刷された「シリアル番号」と「パソコンの構成」を組み合わせ、「シリアル番号 : パソコンの構成」を1対1で対応させる
- 「シリアル番号」と「パソコンの構成」を元に、ハッシュ値を生成する
- インターネットの接続を介し、上記のハッシュ値をメーカーに送信および登録させる
- ハッシュ値が登録されれば、メーカーは「出荷されたシリアル番号」と「インストールされたパソコンの構成要素」(RAMやHDD、イーサネットカードのMACアドレスなど)を把握できる
- これにより、初回の認証が完了し、全機能が使用できる
- 例:ソフトウェアのシリアル番号「1234-5678-9012」、ハッシュ値「1234567890abcdef」のパソコンで先に認証されたと仮定した場合、メーカー側から見ると「シリアル番号「1234-5678-9012」のソフトは、ハッシュ値「1234567890abcdef」のパソコンにインストールされた」ことを確認でき、初回の認証が行われる。これが第三者に渡り、ハッシュ値「567890abcdef1234」のパソコンで認証を試みた場合「シリアル番号「1234-5678-9012」が2台目のパソコンで使い回されている」という情報を取得することになるため、ハッシュ値「567890abcdef1234」のパソコンに対する認証は拒絶される。
インストール後、すぐインターネットへ接続できない場合もあることに配慮し、電話やFAX、メール(PC、携帯電話)による認証も受け付け、またはインストール後短期間だけ通常通り使用できるよう猶予しているところもある(期限を過ぎると認証以外の機能が使用できなくなる)。これにより、初回に導入された環境が正式なライセンス保持者と見なし、この情報と異なる環境下で動作させる、いわゆる正規のユーザーおよび環境下以外の第三者などに不正に渡ってしまったソフトウェアを利用されるのを防ぎ、結果として不正コピーや中古の転売も不可能になる。
デスクトップ・ノートPCなど複数台のパソコンを所有するユーザー(家庭、法人)の利便性を考慮し、メーカーによっては「1ライセンスにつき、2台〜数台までのPCにインストール」を許可しているものもある。その場合はOSやハードウェアの構成が異なっても規定の台数まで認証を受け付けるが、ライセンス契約上、使用可能なユーザーは1名(または1世帯・1法人)に限定されているのもある(たとえば、「AのデスクトップPC」と「BのノートPC」へインストールすることは「A」「B」の2名で使用することになるため、ライセンス契約に違反する)。
パソコン本体の構成に基づく認証のほかに、ドングルと呼ばれるUSBキーを用いたものもあり、これはハードウェア認証とも呼ばれる。
パソコン本体の構成が異なっても認証を受け付ける方法として、「シリアル番号」と「アカウントのID」を1対1で対応させた認証も存在する。この認証は主にSteam、Uplay、Originで販売されるPCゲームで導入されており、このパソコン本体の構成が異なっても、「シリアル番号 : アカウントのID」の組み合わせが一致すればゲームを起動できるようになっている。
- ^ メーカーやソフトによっては、1つのパッケージに数台分のシリアル番号を付与し、規定の台数までインストールを許可する場合もある。
- ^ ソフトウェアのシリアル番号が印刷された葉書をメーカーへ送付し、ユーザーの住所・氏名などの個人情報を登録すること。シリアル番号とユーザーの個人情報を登録すれば、メーカーからのサポートが充実したり、最新バージョンのソフトウェアを割引で購入できるなどの特典を受けられる場合がある。
- ^ ウイルス感染・情報漏洩の防止や再インストールなどで(一時的に)スタンドアローン化する必要がある場合を含む。
- ^ パソコンゲームにおいては、プレイ時には元のディスクを常に光学ドライブに入れ、存在を認識させなければ起動しないタイトルもある。
- ^ 事例として、2012年12月13日に「Adobe® Creative Suite® 2 製品および Adobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーに関するお知らせ」において、Creative Suite 2(CS2)とAcrobat 7のアクティベーションサーバーを停止したとアナウンスしたため、同製品の正規ライセンスを所有しているユーザーを対象にアクティベーションを不要としたバージョンを公開し始めた(なお、同サイトにおいて「正規ライセンスのないユーザーが利用するとライセンス違反になる」と警告している)。
固有名詞の分類
- アクティベーションのページへのリンク