からし種 からし種の概要

からし種

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/26 23:46 UTC 版)

聖書

聖書にイエス・キリストのことばとしてこのように書かれている。

また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。 — マタイによる福音書13:31–32(口語訳) (c)日本聖書協会
イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時いやされた。それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。するとイエスは言われた、「あなたがたの信仰が足りないからである。よく言い聞かせておくが、もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この山にむかって『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできない事は、何もないであろう。しかし、このたぐいは、祈と断食とによらなければ、追い出すことはできない」。 — マタイによる福音書17:19–21(口語訳) (c)日本聖書協会

このようなことから、キリスト教文化圏では「からし種」は、信仰心や良心をあらわす宗教的な言葉としても使われる。 また、西洋諸国では一般に、小型の豆本タイプの聖書を「からし種」(独: Senfkorn 英: mustard seed)と通称している。

聖書や西洋文学では、最小の単位、最も弱い者、貧しい者をあらわし、そこから大きな成果が育つことの喩えとして好んで使われる。

植物

Brassica nigra - クロガラシ

聖書のからし種の同定については議論がある。

エラスムス、ゼゼルス、グロティウス、ヒラー、セルシウス、ローゼンミュラーはシロガラシSinapisが聖書のからしだと考えてきた。場崎 洋『イエスのたとえ話』によれば、からし種とはクロガラシのことで、一粒の大きさは0.5ミリ程度であると言う[1]

洋からし(マスタード)の木(カラシナ、正確には草)は北米、中東、地中海に生育し、エジプト時代から香辛料や薬草、あるいは防腐剤としても使われた。うちブラック・マスタードの種は極めて小粒。これらはインド原産の和からしとは別種である。南インド料理においては、香りのベースとして欠かさず用いられている。

カラシナ説を否定する立場では、鳥が巣を作れるかが問題にされるが、ギリシャ語のカタスケーノオーが巣を作るという意味でないとする解釈もある。

からし種がサルヴァドラ科のSalvadora persicaだとする説も唱えられている[2]

参考文献


  1. ^ 場崎 洋(2011)p.44
  2. ^ 『王立アジア協会雑誌』No.xv 1844年


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