うたわれるもの 偽りの仮面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 05:34 UTC 版)
世界観
地名
- ヤマト
- 本作の舞台となる大國。皇(オゥルォ)や豪族がそれぞれ治める多数の属国によって構成されており、ヤマト全体は帝(ミカド)によって統治されている。属国を援助する一方、属国の領主から献上品を差し出させ、また参勤交代のように、属国の貴族を勉学させるためという形で帝都に住まわせ人質とし、支配を盤石なものとしている[9]。
- 帝都(ていと)
- ヤマトという国家の中心となっており、数百年前に帝(ミカド)自らが打ち立てたと言われ、今もなお当時と同じ帝が座すると言われる都市。
- 高い外壁と巨大な正門の内部は、碁盤の目のように整然と整備された道路があり、多数の建物があって人口も多く、普段から市などが賑わっている。地下には水路があるほか、都市内にはオムチャッコという川も流れており、物流の拠点になっている。
- 聖廟(せいびょう)
- 帝都の正門から入った大通りをまっすぐ進んだ北にある、一般の者には立ち入りを禁止されている巨大建造物。形状はマヤのピラミッドに似た、頂点が尖っていない2段構造だが、非常に巨大で、石ではないと思われる物体によって覆われている。その実態は旧人類(オンヴィタイカヤン)が残した遺跡。内部には人工の自然環境があり、ハクはそこの庭園で帝と言葉を交わしている。さらにその奥底には、旧人類の研究施設があるという構造になっている[注 6]。
- 聖廟手前には宮廷である大内裏(だいだいり)があって、帝の住居があるほか、大内裏の敷地内には側近用の公邸もある。
- 白楼閣(はくろうかく)
- 帝都にある旅籠屋。他の同格の宿に比べると料金は6〜8割増しと割高だが、内装や料理の評判は高く、なにより蒸し風呂が一般的なヤマトにおいて、湯船にたっぷり湯を張った大浴場があるのが特徴。そのため風呂好きなクオンは、最初は宿代を聞いて躊躇していたが、大浴場を見てすぐに気を変え、この白楼閣を帝都での拠点に決めた。
- 白楼閣では、ハク達はそれぞれの個室のほか、仲間達が相談したり款談したりするための「詰め所」として使っている部屋を借りている。最上階の隠し部屋は、カルラの私室となっている。もともとこの旅籠屋は、しばらくヤマトの帝都に留まることにしたカルラが、風呂恋しさに自分で作り主人となったもの[10]。
- クジュウリ
- ヤマトの属国のひとつで、ルルティエの出身地。ヤマトの西方に位置する小國だが、ルルティエの父オーゼンが皇(オゥルォ)として、自ら陣頭に立って荒れ地を開墾することで國土を広げた。
- この國の西方にあるシシリ州で、ハクはクオンに発見された。
- エンナカムイ
- ヤマトの属国のひとつで、オシュトル、ネコネ、キウルの出身地。キウルはこの國の皇子。豊かとは言えない土地だが、周辺を山々に囲まれた天然の要塞。
- シャッホロ
- ヤマトの属国のひとつで、アトゥイの出身地。その父ソヤンケクルが皇(オゥルォ)として統治している。ヤマトから見て南方で、気候は亜熱帯に近い。
- ナコク
- ヤマトの南方に位置する属国。「白磁(イナヴァ)の大橋」という巨大な橋が帝都との街路を結んでおり[11]、西方の国境はシャッホロと接している。
- イズルハ
- ヤマト八柱将のトキフサが皇(オゥルォ)として国を治めている。
- マルルハ
- ヤマトの属国のひとつ。たびたびウズールッシャの部族からの攻撃を受けていた。
- 当初はヤマトの援助もあって、小競り合い程度の争いが繰り返されていただけに収まっていたが、グンドゥルアがウズールッシャの部族を統一して組織的な攻撃を仕掛けてきたことにより、陥落してしまう。
- ウズールッシャ
- ヤマトの北方に位置する国。遊牧民を中心とする、数多くの少数部族が勢力争いを繰り広げていたが、近年、一代王グンドゥルアによって各部族が統一された。それから肥沃な土地を求めて、ヤマトへの侵攻を開始する。
- だがヤマトの反撃に遭い、逆にヤマトに領土を奪われる形で国土を縮小させた。
- トゥスクル
- 前作の舞台だった国家。
- ヤマトから見て西方に位置する小さな島国。解放者(ウィツァルネミテア)と呼ばれる神が眠る国と呼ばれている。
- 季節(潮)によっては、ヤマトとは陸路で移動することも可能だが、時期が限られているため、ヤマトと行き来するには通常は船が使われる。クオンの出身地であり、彼女も船旅でヤマトにやって来た模様。
- ヤマトとは比べるまでもない小国で、それまでは商人による細々とした交流があったのみだが、なぜかヤマトの帝が興味を抱いており、アルルゥたちトゥスクルからの使者を公式に受け入れている。だが、ヤマトが求めるオンカミヤムカイの調査をトゥスクルが断ったため、帝は武力で制圧しようとする。一方ムネチカは、トゥスクルの兵を戦慣れしていると評しており、トゥスクルをよく知るクオンは、ヤマトの仮面の者(アクルトゥルカ)の力を目の当たりにしても、戦いではヤマトが負けると評している[12]。
- 前作では、トゥスクルの周辺(同じ島の中)には多数の國があり、トゥスクルによってほぼ平定されたものの、一部の國は独立を維持していた。例えばカミュは、トゥスクルとは別の國であるオンカミヤムカイの人物である。だが本作ではカミュも「トゥスクルからの使者」となっていて、オンカミヤムカイもトゥスクルの一部であるように語られており、本作の時代におけるトゥスクルおよびその周辺国の関係などは不明。
現実の地理との関連性は、前作解説の世界の謎(地理、歴史)を参照。
ゲーム内で表示される地図によると、ヤマトがあるのは「古代」のロシア東部であり、帝都があるのはマガダン州、クジュウリはハバロフスク地方北部、シャッホロはカムチャツカ半島南部[13]、トゥスクルは作中の地図上では日本の新潟県に位置し、ゲームに登場する地域は北海道と地形が一致する。
生物
- ギギリ
- 毒蟲。割とサイズが大きく、ヒトに危害を与えたりする。繁殖期になると一部の個体が成長して、より巨大なボロギギリとなる。ハクが最初に目覚めた後に見た生物がこのボロギギリであった。アニメ版とゲーム版で姿が異なっており、アニメ版はムカデ、ゲーム版ではサソリに近い外見をしている。
- タタリ
- ボロギギリの次にハクが見た生物。赤いスライムのような姿をしていて、生物ならばなんでも喰らう。暗いところに生息している。生息している個所では大いなる父の遺跡に偏っている。叩いても斬っても水に落としても焼いても、何をしても決して死なない不死の生物。由来については前作で語られた、かつての大いなる父(オンヴィタイカヤン)こと人類が、ウィツァルネミテアの逆鱗に触れたために変貌させられた成れの果て。
- ウィツァルネミテアの怒りは現在に渡っても継続しており、例えかつての災厄当時からコールドスリープで逃れたとしても、目覚めた瞬間にタタリへと変貌してしまうほどの凄まじい怒りが今もなお残っている。だがヤマトの帝はその原因についてまでは知らず、「災厄」「原因不明の奇病」と表現している。
- タタリについて調べるのはトゥスクルでは忌まわしい出来事から目を背けるような形で禁忌とされており、ヤマトの民にもタタリがオンヴィタイカヤンであることは知られておらず、知れば無かったこととして消されるかもしれないとされている。ハク達はその真実をも目の当たりにしたが、消されるかもしれないために以後はこのことを蒸し返していない。
- ウォプタル
- 別名、ウマ。前作にも登場した生物。身体の形はカンガルーに似ており、4本足だが基本的に2足で歩行する。ウマの別名の通り、馬車を引かせたり、騎乗用の動物として使用されたりしている。恐竜のように毛が生えていない、トゥスクル方面のウォプタルとは異なり、ヤマトにおけるウォプタルは気候などの違いのため、羽毛恐竜に近い。
- またウォプタルに乗った騎兵は騎兵衆(ラクシャライ)と呼ばれている。
- ホロロン鳥
- 色鮮やかで、食用などで飼われていることが多い鳥[14]。ルルティエの飼っているココポは、通常のホロロン鳥よりも異常に大きく成長し、色も地味で特殊な個体である。
- デコイ
- 動物のような耳やしっぽなどがある亜人種を、帝が呼ぶ名。
- ハクやハクの兄がいたのとは別の研究施設で実験・創造が行われており、ハク達はこの研究を、神をも恐れぬものと忌避していたが、人類滅亡の災厄の後、ただひとりとなったハクの兄は孤独に耐えかね、自らデコイを作り出してしまった。なお、その別の研究施設での人類は亜人種を「マルタ」と呼んでいたが、なぜハク達とその人類との間では呼び名が異なっているのかは不明。
用語
- 仮面(アクルカ)
- 特殊な力を持つ仮面で、その力を使うと、超人的な力を操ることができる。だが力を使いすぎると、魂を仮面に食われてしまうという[注 7]。
- 劇中では4種類確認されており、形状や力の性質はそれぞれ異なる。前作におけるハクオロの仮面を参考にして作られたことが示唆されているが、ハクオロの仮面と異なり着脱は自由[注 8]。
- アニメ版では仮面は4つだけでなく、試作されたと思われるものを含め、多数作られていることが描かれている。
- 仮面の者(アクルトゥルカ)
- ヤマトの帝が功績を認め、仮面を与えた人物、または仮面の力を行使して異形の存在へ変貌した際の呼称。オシュトル、ミカヅチ、ムネチカ、ヴライの4人がいる。これによって行使される力はミカヅチは雷、ムネチカは障壁、ヴライは炎熱、オシュトルは水、といったものである。
- 常世(コトゥアハムル)
- あの世、天国の意。
- 地獄(ディネボクシリ)
- 文字通り地獄の意。
- 大いなる父(オンヴィタイカヤン)
- 太古に世界を支配し、人を創造したと言われる存在。由来については前作で語られているかつての人類。
- 人類がタタリ化する災厄が襲った後、隣人家族がいつタタリに変貌するのかという疑心暗鬼にかられ、変貌する段階にいたってなかった者も含めてお互いに殺し合って滅び去った。作中で明確に生き残りとして描かれているのはハクと帝の2名のみで、この事実を知る者はホノカとウルゥル、サラァナなど、ほんの僅かに限られている。
- 今を生きるヒト達に伝聞でしかわかっていない技術としてはウマもいないのに走る車、たくさんのヒトを飲み込んで遠くまで運ぶ大蛇、空を飛ぶ鉄の巨鳥、星の海を渡る船など。
- 禍日神(ヌグィソムカミ)
- 悪魔、疫病神などの意味で使われている言葉。オンヴィタイカヤンを信仰するヤマトでは、トゥスクルに眠るとされるウィツァルネミテアは、オンヴィタイカヤンの作った楽園から人々を追放した禍日神とされている。
- 剣奴(ナクァン)
- 人質などを取られて戦わされている、使い捨ての奴隷兵士。ウズールッシャの兵の中に多数おり、その中にヤクトワルトも含まれていた。
- アマテラス
- 前作で語られた、かつての人類が作った人工衛星。今作にて、地球の環境再生こそが本来の役割だと明かされる。だが攻撃に転用してしまえば、地上を滅ぼしかねないほどの力があるため、そんな目的で使うのは愚の骨頂だと言われているが、タタリ化を恐れた人類の戦争に使われてしまった。帝は地上攻撃に使われた後に制御権を奪回し、地上の環境の再生に使った。
- 真人計画(しんじんけいかく)
- 帝が進めていた計画。ゲーム版では内容は明言されていないが、アニメ版によると、地上に出られないほどに弱っていた人類の身体能力を向上させ、再び地上へと返り咲くことを目指していた。複数に分散した人類によって、個々に類似の研究が行われていた[15]。
- ^ アニメ版では、気が付いたら雪原の中にいた状態から始まる。
- ^ a b c d アニメ版ではこのくだりはカットされている。
- ^ アニメ版では話の順番が入れ替えられ、ウズールッシャの侵攻以前となっている。
- ^ アニメ版では各キャラの行動と戦いの展開は大きく異なっている。
- ^ アニメ版では、ウルゥルとサラァナも終始ハク、ネコネと行動を共にしている。
- ^ 原作(ゲーム版)とアニメ版ではハクと帝以外、聖廟のどこまでに誰が入っているかの表現で多少の違いがある。
- ^ 続編『二人の白皇』にて、特に男の仮面の者は短命と語られている。
- ^ 続編『二人の白皇』にて、この仮面は本来ヒトが人類滅亡後の過酷な地上環境で生きるために作られたもので、人間が身につけると安全のため外れなくなることが明かされる。仮面をかぶったハクは、『二人の白皇』で仮面を外せなくなった。また、帝が製作した「最初の仮面」はアイスマン(ハクオロ)研究所で開発された仮面のデータに、欠損した箇所に自身が研究したデータで補ったものであり、そのためか試作品を付けた者が暴走(ウィツァルネミテアと同等の存在へ変貌する。『二人の白皇』終盤でウォシスが被った際に同様の状態と化した)した過去があり、後にリミッターを施された4つの仮面が製作され、試作品は自身への戒めとして厳重に封印した。
- ^ ゲーム版では、本人には詳細を知らされないうちに実験の処理を勝手に施されていたが、アニメ版では自ら真人計画の被験体へと志願したように描かれている。
- ^ クオンが薬師の技術を厳しく学んだという描写が、エルルゥが祖母のトゥスクルから厳しく学んだという、前作ゲーム内における描写と全く同じ。
- ^ 本作の世界観では、このような特性は母から遺伝するものとされている。
- ^ ラウラウ先生ことウォシスや、アンジュなどと以前から面識があった。
- ^ 実際には、荷を餌にして盗賊を誘い出し撲滅する作戦だったが、マロロは腹芸が苦手ということで、この事実は彼には伏せられていた。
- ^ キウルとエンナカムイ皇の血縁関係は正確には語られていないが、キウルが帝都に来るとき「祖父からお許しが出まして」という発言などがあるため、キウルの祖父がエンナカムイ皇と思われる。
- ^ ネコネやマロロが使う呪法が「精神と体幹の鍛錬で得られる内なる力」なのに対し、術法は「天地の精気を操る外の力」とされている。
- ^ アニメ版では帝都に向かうときは、輿に乗っている姿が僅かに映るのみ。またミトのもとにハクを案内するとき、僅かに言葉を発している。
- ^ 飛んでいる姿が確認できるのは、ゲーム内でルルティエが必殺技を使用したときのみで、その時も長時間滞空できず落下している。
- ^ ネコネは以前から、オシュトルに好意を抱いているアンジュを警戒していたようである。一方アニメではアンジュは、聖誕祭よりも先に白楼閣に現れている。この時オシュトルの話は出ず、クオンが作った菓子の匂いに釣られたように描かれている。この時はネコネを含め誰にもアンジュの正体がわからないままムネチカに連れ帰られており、聖誕祭で直接顔を現して正体がわかるように演出されている。
- ^ アニメ版では、ハクが冗談で言い出した形になっている(第10)。
- ^ アニメ版では「腹を切る」とも言っている。
- ^ アニメ版では、ネコネのみ酒宴の前に、サコンの正体を知っていたように描写されている。
- ^ アニメ版では、宮中の帝の前でもつけている。
- ^ 大川透が2017年から一部休業していたことによる代役。大川の収録済みの音声と併用して、浜田の新規の音声も使用されている。
- ^ 前作におけるササンテ、インカラと同じ特徴で、声優も同じ。
- ^ 前作におけるアルルゥのペット。本作ゲーム版ではムックルの声優クレジットはないが、アニメ版では前作と同じく下山吉光がクレジットされている(下山は、本作ゲーム版ではゼグニとしてクレジットされている)。
- ^ トウカも知らなかったが、ウルトリィが連れ出されたときには、彼女は事情を知らされておらず、クオンによると当時「賢大僧正が行方不明になった」と大騒ぎになったという。カルラによると、ウルトリィに事情を伏せていたのはわざとで、こうでもしないと仕事を離れない彼女に、たまには羽を伸ばさせるためとのこと。
- ^ オープニングは1番の歌詞のみのショートバージョン、エンディングはフルサイズバージョン。
- ^ ハクオロ達が『東鳩』世界の学校に籍を置いている仮定であるが、例えばハクオロが設定上教師なので配布された素材の中にハクオロが学生服を着た物は存在しない。他のほとんどのキャラは学生服を着用した素材がある。
- うたわれるもの 偽りの仮面のページへのリンク