Oリング防水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 04:41 UTC 版)
ねじ込み式竜頭は原理自体は理想の方法だが、ぜんまい巻き上げや時間合わせで頻繁に竜頭を使うと、摩耗して気密性が下がる弱点がある。それに代わる簡易な手段として裏蓋や竜頭部分のパッキンにOリングと呼ばれるゴムリングを使い防水性を確保する手法が広まった。リングの個数を増やせば気密性が高まり、またリングの老化で気密性が下がってもリングの交換で復旧できる。あわせてケース材質をさびにくいステンレス製とすること、頻繁な開閉を考慮せずともよい裏蓋部分を極力扁平なねじ込み蓋にして密閉性を高める手法も一般化した。 Oリング方式は第二次世界大戦中には連合国側で通常型の軍用時計に広く使われ、戦後は大衆時計にまで普及した。ねじ込み式竜頭と併用してより厳重に防水する手法も行われており、現在ではもっとも一般的な防水法である。だが初期のOリング式防水時計は現代で言う「日常生活防水」レベルの防水性能がほとんどであったため、日本でも大衆向け価格帯の分野に防水時計が出現した1960年代前期に、メーカーの宣伝とも相まって、ユーザーが防水性を過信して着用したまま入浴や水泳を行い、水の侵入で時計を故障させるトラブルが続出したことがある。 一部のメーカーは耐久性の要求される時計について、一種の多重ケース構造に近い手法とOリングの併用で気密性をさらに高める方法を採った。「オメガ・シーマスター」シリーズの高性能版はその代表例である。 クォーツ時計では廉価に電池交換を請け負う店舗が(専門の時計店以外にも)広く存在するが、この際に防水Oリングの組み込み、再組立てが時計メーカーでの生産工程同などに厳密になされるかは(一部例外を除いて)確証できない。従って、電池交換の際に「電池交換後は防水機能を保証できない」とする時計店もあるが、電池交換時に新品Oリングと無料交換する店もある。 時計専門店であれば電池交換時にOリング交換はもちろんのこと、防水検査も実施される。ただし、有料オプションの場合もある。 メーカーでの電池交換は、例えばカシオではOリング交換と防水検査は必須となっておりこれらを省くことはできない。
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