DNAから染色体まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/07 23:45 UTC 版)
ヒトの2倍体細胞内には22対(22x2)の常染色体、およびXXあるはXYの性染色体、計46本の染色体DNAが存在する。そこに含まれるDNAの全長は約2メートルに達する。DNAはまずヒストンと結合してヌクレオソーム構造をとり、さらに30 nmファイバーと呼ばれるクロマチン繊維に折り畳まれる。間期では、これが直径10-20 μmの細胞核内に収められている。分裂期では、クロマチンは棒状の構造体に変換され、個々の染色体の識別が初めて可能となる。この過程は、19世紀末、ドイツの細胞学者ヴァルター・フレミング(Walther Flemming)によって精密に記載された。元来、染色体とは、分裂期に観察される凝縮した構造体を指す用語であったが、近年ではその意味するところは広くなっている(染色体の項を参照)。 高等動物細胞の分裂期染色体では、DNAは約10,000分の一の長さにまで折り畳まれている計算となる。例えば、ヒト第8染色体には50 mm長のDNAが含まれているが、分裂期にはこれがわずか5 μm長の染色体に収められる。この作業は、東京スカイツリーの高さに匹敵する細い糸を乾電池のサイズに折り畳む作業に匹敵する。
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