長巻直し(ながまきなおし)
長巻直し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 06:34 UTC 版)
長巻を基にして刀に造り変えたもので、特に江戸時代に入ってから「長巻(き)直し(ながまきなおし)」として多く造られた。 基となったものをどう造り変えたかにより、刃渡り三尺(約90cm)の「大太刀」から二尺(約60cm)以下の「脇差」まで様々なものがあるが、前述のように江戸時代以降には個人で三尺以上の「大太刀」を所有することはできないため、ほとんどは刀身長二尺八寸(約85cm)以下の「打刀」ないしは「太刀」に作り変えられたとされている。基となった長巻の刀身形状から、鳥居反り(中反り)もしくはほとんど反りを持たない「無反り」で「鵜の首造り」もしくは「冠落造り」の刀身形状になっているものが多い。 同じように薙刀を刀に造り替えた「薙刀直し」と呼ばれる刀の様式があるが、「長巻直し」とされたものは切っ先に「鋩子」と「横手」があることが相違点であり、元々「鋩子」と「横手」のないものであっても、横手を引き、切先をナルメて鋩子を造り、鎬造りの刀の如く仕上げてあるのが特徴である。 長巻は実際に実戦で用いられてその威力を示したものが多く、また質の低い数打ち物(大量生産の粗悪品)をわざわざ刀に直す手間を掛ける者もない、ということから「長巻直しに鈍刀なし(ながまきなおしになまくらなし)」と謳われ、実際に現存する「長巻直しの刀」には優品も多い。後述の「長巻直し造り」はこの謳いにあやかって作刀されたものとも考察されている。
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