鉄道の発達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 01:36 UTC 版)
なぜ1850年代から動員という概念が各国に浸透したかについては、鉄道の発達によるものが大きい。これより以前は陸上輸送のスピードが遅く、動員令が予備役に届けられ、予備役が軍隊の指揮下に入り師団が充足されるまでに、膨大な時間がかかってしまい、その間に敵方の常備軍による侵攻、あるいは海上輸送による上陸作戦を防ぐことができず、敵に橋頭堡を与えてしまうため、このような動員は現実的ではなかった。鉄道の充実により武装した兵士の国内移動が迅速に行えるようになり、敵の侵攻に動員した師団をぶつけることができるようになったのである。このように、鉄道の進化と動員の発展は切っても切れない関係にある。第一次世界大戦前のドイツ帝国において、鉄道は平時も陸軍の管轄であったことがそれを端的に示している。 プロイセンは普墺戦争・普仏戦争においては、各国の鉄道の未発達に付け込んで、自国の鉄道を仮想敵国の国境まで事前に敷設することで、軍事的優位を手にした。だが、第一次世界大戦においては各国共に鉄道・他の交通手段が発達しており、最早その優位は薄れており、両国が迅速に兵力を西部戦線に集中したため悲惨な塹壕戦が発生することとなった。
※この「鉄道の発達」の解説は、「動員」の解説の一部です。
「鉄道の発達」を含む「動員」の記事については、「動員」の概要を参照ください。
- 鉄道の発達のページへのリンク