重力波の検出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 06:32 UTC 版)
2017年10月16日、アメリカの重力波望遠鏡LIGOと欧州の重力波望遠鏡Virgoの共同観測チームは、中性子星連星の合体による重力波を発見したと発表した。「GW170817」と命名されたこの重力波源天体の波形を分析した結果、中性子星同士の合体で発生したものと考えられる波形であるとしている。 共同実験チームは、世界中の研究チームに警報を送り、70以上の観測施設が重力波の検出された領域を観測した。その結果、11時間後に複数の観測施設がこの重力波源天体に対応すると考えられる天体を発見した。日本の重力波追跡観測チームJ-GEMは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ HSC (Hyper Suprime-Cam) を始め、国内外の望遠鏡やISSに搭載されている全天X線監視装置 (MAXI) とカロリメータ型宇宙電子線望遠鏡 (CALET) も動員して、可視光からX線、ガンマ線に至る広い波長域で重力波源天体を探索した。その結果、うみへび座の銀河NGC 4993に、可視光から近赤外線領域で光る天体の姿を捉えることに成功した。これは既にGW170817に対応する天体として報告されていたものと一致しており、今回の発見に強い裏付けを与えるものとなった。 GW170817で観測された現象は、中性子星連星の合体によって起こるとされる重力波、ガンマ線バースト、r過程で生成された放射性物質の崩壊で発生する電磁波といった理論上予測されていたキロノヴァの特徴がそれぞれ検出されたものとなった。
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