酸化物転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 23:57 UTC 版)
フッ化残渣を溶媒抽出にかける前に、いったん酸化物に転換する。これは以下の理由による。 プルトニウムのフッ化物は硝酸に溶解しにくい 処理効率が低下してしまうため、硝酸に溶解しやすい化合物に変換する必要がある フッ化物イオンの活性が高い 後工程の機器を損傷させたり余計な化学反応を起こしたりさせないため除去する必要がある 酸化物転換工程では高温水蒸気を用いた加水分解により、ウランおよびプルトニウムのフッ化物を酸化物に変換する。ここで発生したフッ化水素(HF)は回収されてフッ化工程で使用するフッ素ガスの原料として再利用される。 UF4 + 2 H2O → UO2 + 4 HF PuF4 + 2 H2O → PuO2 + 4 HF 一方、核分裂生成物は酸化物転換工程により以下のように変化する。 分類化合物酸化物転換後水溶性アルカリ金属 CsF CsF(潮解) あり RbF RbF(反応せず) アルカリ土類金属 SrF2 SrF2(反応せず) 希土類元素 LaF3 LaF3(反応せず) CeF3 CeF3+CeO2(反応低速) フッ化物は可溶/酸化物は不溶 YF3 YF3+YOF(反応低速) あり マイナーアクチノイド AmF4 AmF4(反応せず) なし CmF4 CmF4(反応せず) ウラン/プルトニウム酸化物は水に不溶であるため、酸化物転換工程の後に水洗を行うことで水溶性のフッ化物または酸フッ化物を除去することができる。セシウム(Cs)およびストロンチウム(Sr)の同位体(特にセシウム137やストロンチウム90)は放射能が強く崩壊熱も大きいため、この時点で除去できることは溶媒抽出工程の耐放射線設計や熱設計を容易にし、経済上も大きなメリットとなる。
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