身体的検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 16:11 UTC 版)
問診とともに重要な診断方法である。視診、聴診、打診、触診、直腸診、内診の順に行う。また、バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸、意識レベル、体温)を測定し、輸液やその他の体調管理が必要ないか調べる必要がある。 視診 腹部に膨隆があればガスが貯留している可能性がある。また、皮膚の着色斑も重要である(カレン徴候など)。 聴診 腸雑音の亢進や減弱・消失は診断に非常に重要である。 グル音が亢進している場合には単純性イレウスなど、減弱していると絞扼性イレウスや麻痺性イレウス、腹膜炎などを考慮する。まれには腹部大動脈瘤や、腎動脈狭窄、腫瘍の動脈浸潤などで血管雑音が聴取されることもある。 打診 鼓音があればガスが貯留していることがわかる。腹水が溜まっていれば波動がある。 叩打痛が右季肋部では胆囊炎、胆管炎、肝膿瘍、十二指腸潰瘍穿孔など、左季肋部では脾梗塞など、CVA叩打痛は腎盂腎炎、尿路結石、膵炎などがある。 触診 圧痛があればその部位に応じて何らかの異常があることになる。また、筋性防御や反跳痛があれば腹膜全体が刺激を受けていることとなるため、腹膜炎の可能性が高いことがわかる。 圧痛点としてはMcBurney, Sawada-G, Sawada-P, Solar, Boaz などのエポニムがあるが、近年ではエポニムは使われない傾向にある。 腹膜刺激症状として、一般的には筋性防御、板状硬といって、明らかに固い状態を診察をする。あとは、反跳痛といって、おなかを押したあとにすばやく手を放したときにかなり痛みが強 くて跳び上がるような症状がないかどうかを診る。腹痛が強いわりには腹膜刺激症状がない場合には血管性の病変を絶えず念頭に入れておく必要がある。 直腸診 直腸内の病変を直接触知するだけでなく、圧痛の有無による炎症性疾患の診断にも重要である。高齢者の男性では前立腺の触診も必ず行う。 内診 女性であれば必ず行う。女性生殖器疾患の診断に必要である。
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