被覆管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/19 05:23 UTC 版)
BWRの場合、燃料被覆管(ねんりょうひふくかん、Fuel Cladding)は、ジルコニウム合金にジルコニウム金属膜で内張りをした2層構造の厚さ0.7mmほどの細長い形状の管であり、外径が11mmほど、全長が4.47m、燃料有効長が3.71mとされている。 このような細長く特殊な材質のパイプを高品質で製造することが難しく、初期の原子炉で使用された被覆管では、ピンホールの発生などによる核分裂生成物 (FP) の漏出事故が発生している。このうち原因の多くが原子炉運転中の出力変化に伴い、燃料棒の温度変化によって生じる熱応力によるものと判明してからは、燃料棒の健全性を保つため原子炉出力の急な変化を避けるように運転が行われている。すなわち緊急の場合を除き、原子炉の起動と停止は、一日以上の時間をかけてゆっくりと行われ、燃料棒に対して余計なヒートショックを与えないような配慮がなされている。 被覆管は運転中に発生する核分裂生成物 (FP) を外部に漏らさないために運転中のあらゆる条件下、及び想定される事故の環境下で健全性を保つ必要がある。また内部の核分裂物質は原子核分裂に伴う崩壊熱を放出しているため、高温に耐え、かつ冷却材に熱がよく伝わるように熱伝導率の高い物質で無ければならない。冷却材と反応して健全性を損なうことの無いように、安定した物質であることも重要である。さらに燃料ペレットは運転中の温度変化や、生成した核分裂生成物 (FP) による膨張つまり「スエリング」や、縮小つまり「焼きしまり」といった体積変化を起こすため、燃料被覆管に局所的な応力を発生させる。これらの応力に耐えて、また原子炉運転中の震動等に耐える機械的な強度を持たせる必要がある。
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