自然保護との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 08:45 UTC 版)
トンボは、特に日本では古くから子どもの遊び相手であり、身近な水環境を生息域として多くの種が見られた。しかし、近年[いつ?]の水回りの激しい環境変化によって、その多くが身の回りから姿を消した。湿地性の種では、絶滅危惧種に指定されているものもある。 80年代以降に森清和らの都市の身近な環境を、多くの生物が住めるように整えるというビオトープの考えの元、様々な試みが各地でなされてきた。“様々な生物”のパイロットグループとして、特定の生物の保護を看板にする手法が有効である。ホタルと並びトンボを看板に用いる運動が多かった。日本ではそれだけこれらの昆虫が親しまれている証拠であろう。 しかし、成虫が餌を採らないホタルの場合は比較的大きな空間を必要とせず、水条件と水周辺の木陰程度があれば生息可能なので、放流を前提とすれば案外簡単に繁殖させられる。それに対して、トンボの成虫は寿命も長く、飛翔力が強いから、水場だけではなく、その周辺に十分な面積の緑地環境が必要である。しかし、一方で飛翔に十分な空間の開けた場所なら半坪ほどのビオトープでも水草があればどこからか飛来して産卵することが期待できる。一度発生すると水草類の繁茂しすぎなどの環境悪化を見守れば毎年発生するので個体の回帰性もあると思われる。雄は縄張りを強く守り、他の雄や敵に執拗に追われた個体や雌が繁殖の水辺を求めて、能力に合わせて、イトトンボでも数百メートル飛翔移動すると考えられる。トンボの人工飼育は容易ではないから、トンボ池には原則として放流はしない、それだけにトンボの保護は難易度が高いが、環境保護活動としては意義も大きいと言える。また、都会に於いては、一つの池ではトンボの生活が維持できない場合もあるが、ある程度の距離を置いて、そのような施設を多数設置すれば、飛翔力の強い彼らのこと、それらを移動しつつ生活を維持できるのではないかとの考えも出ている。
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