統治者による区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 22:31 UTC 版)
「ヨルダン川西岸地区」の記事における「統治者による区分」の解説
2010年現在、ヨルダン川西岸地区は統治者によって、3分されている。 A地区…パレスチナ政府が行政権、警察権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の17.2% B地区…パレスチナ政府が行政権、イスラエル軍が警察権の実権を握る地区(警察権は、パレスチナ政府と共同の地区も含む)。2000年時点で面積の23.8% C地区…イスラエル軍が行政権、軍事権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の59%。2018年現在で面積の「60%以上」 現在でもヨルダン川西岸地区の主な統治者はイスラエルであり、パレスチナ人住民はイスラエル国防軍軍律によって統制されている(ユダヤ人入植者は、原則としてイスラエル国内法が適用される)。また、C地区はA地区、B地区を包囲し、さらに細かく分断するように配置されている。イスラエルが容易にパレスチナ人の交通を封鎖できるようになっている。 さらに、C地区でのパレスチナ人の日常生活は大幅に制限されており、家屋・学校などの建築、井戸掘り、道路敷設など全てイスラエル軍の許可が必要となる。特に住居建設の許可が下りる事はほとんどなく、イスラエル軍は「違法」を理由にパレスチナ人住居を破壊し、罰金を取り立てている。国連によると、2010年だけで少なくとも198の建造物が破壊され、300人近くのパレスチナ人が強制的に排除された。 2018年5月9日、イスラエル国防軍は「ユダヤ・サマリア」に命令1797を布告した。これは、イスラエル軍が「違法」と判断した新築建造物(未完成または竣工6ヶ月以内または居住30日以内の建造物)を、従来の司法手続きを省略して、96時間以内に異議申立が無ければ一方的に破壊できる内容である。命令自体は、ユダヤ人入植者も対象となるが、パレスチナ人住民の建築許可が困難な現状で、パレスチナ人を主要な標的にした内容と『ハアレツ』のアミラ・ハス記者は指摘した。 OCHAによると、イスラエル軍によるパレスチナ人所有の建造物の破壊は、2017年は月平均35件、2018年は月平均38件であったが、2019年は52件と増加した。2020年は、新型コロナウイルス感染症 (2019年)流行初期の1-2月は、月平均45件に減少したが、3-8月は月平均65件と、2017年からの4年間で最も多くなった。OCHAは、命令1797によって建造物の迅速な破壊が可能になり、所有者が異議申立の手続きを取れなくなっていることを懸念している。
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