狙撃眼鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/13 04:39 UTC 版)
狙撃眼鏡(光学照準器)は3種類の物が使用された。生産分の半数以上は九九式狙撃眼鏡(倍率4倍・実視界7°・射距離分画0~1,500m(100m毎)・重量約590g)であり、次いで九七式狙撃眼鏡(倍率2.5倍・実視界10°・射距離分画0~1,500m(100m毎)・重量約354g)も使用された。両狙撃眼鏡ともに距離調整などのアジャスト機能は有していないため(出荷前に造兵廠にてゼロイン調整を行う)、狙撃時はT字(ポストタイプ)照準線(レティクル)の垂直線の目盛を使用する。反面、複雑なアジャスターがないために本体が小型に仕上がり、密閉構造で防水性に優れ、緊定把(回転ハンドル)とボタンの二重のストッパーを有する台座と一体化されており頑丈、眼鏡内が明るいという利点を持つ。このほか、後期生産品では距離調整機能を有する倍率4倍の狙撃眼鏡も使用されている。 量産は東京第一陸軍造兵廠のほか、日本光学(ニコン)・東京光学機械(トプコン)・東京芝浦電気(東芝)・高千穂光学工業(オリンパス)・富岡光学器械製作所(京セラオプテック)・榎本光学精機(富士フイルム/フジノン)・日本タイプライター(キヤノンセミコンダクターエクィップメント)など、民間光学機器メーカーでも行われた。なお、帝国陸軍は使用部品の規格化に励んでおり、狙撃眼鏡特有の精密ねじにはのちのJISの前身であるJES品が使用されている。 機関部開放時の槓桿位置を考慮して、小銃側の台座は機関部左側面に設けられ、狙撃眼鏡自体は射手視点から左斜上にオフセットされる。そのため狙撃眼鏡の使用が適当ではなくなる近接戦闘時や、狙撃眼鏡破損時には通常の小銃と変わらず照星・照門での照準が可能であり、また実包5発をまとめた挿弾子(クリップ)も使用可能である(アメリカ軍の主力狙撃銃であるスプリングフィールド M1903A4はどちらも使用不可能)。 属品として負紐付きの収容嚢が存在し、行軍時などには狙撃眼鏡を銃から外しこれに収容した。
※この「狙撃眼鏡」の解説は、「九九式狙撃銃」の解説の一部です。
「狙撃眼鏡」を含む「九九式狙撃銃」の記事については、「九九式狙撃銃」の概要を参照ください。
- 狙撃眼鏡のページへのリンク