段積み返回送雑貨用タイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:55 UTC 版)
「日本のコンテナ輸送」の記事における「段積み返回送雑貨用タイプ」の解説
国鉄末期の1987年に、それまで輸送効率の悪かった箱形20 ft級、10t積み無蓋コンテナが、輸送効率の改善を図る為にトラックの平荷台のような構造で、多彩な貨物が輸送出来る新型コンテナ UM5-58 番として、14年ぶりの新規登録で登場した。基本的な目的は、全国通運と同様に国鉄の資本が入った重要子会社でもあり、また全国の主要運送企業のまとめ役でもある、日本フレートライナーが、傘下の企業が扱う小口の引越貨物を、新規に開発したミニコンテナ(鉄道輸送は出来ない民間規格品)に詰め込みこれを一度に二個積載して、20 ft級のコンテナとして輸送する。また帰り便には、空になったミニコンテナに一般雑貨荷物を載せて、これにより土台となるUM5形コンテナを往復利用して、稼働率を高めるために開発された。しかし、当時はまだ鉄道での引越しには国鉄の主力コンテナであった12 ft級、5t積み汎用コンテナが圧倒的なシェアを占めていたなどの時代的な背景もあり、このミニコンテナ輸送計画は結局短命に終わってしまった。 また最大の特徴は、万一片道利用のみで同様のコンテナが一箇所に滞留した場合に備えて、最大三個を段積みして一個の箱型同様の高さにし、本来であれば三個別々に回送料金が掛かる無駄を、単独の回送料金に抑えられる事である。ただし三段積み輸送時には、現代のように簡単に段積み作業の出来る上部四隅のツイストロック式ではなく、一段目+二段目+三段目と上下同士を各々に、付属のワイヤー数本で縛り上げるという積み付け方法が輸送の絶対条件(コンテナ個々の両側面に、作業手順の説明プレートが取り付けられていた)であったために、これらの個縛作業の手間が掛かっていたのが難点であった。この引越しアイディアでは失敗したものの、その特徴的な構造を生かし、続番となるUM5-59 - 78 番までの20個では、片妻側の板壁を観音開きに改めて、車両の出し入れがしやすいようになり、回送が必要となった乗用車輸送や、2t級トラックの半製品(荷台を取り付けていないシャーシー状態の車体)輸送等にも応用された。なお、この『コンテナにミニコンテナを載せる』という斬新な方式は、後に小口需要により生まれた、無蓋コンテナとドライコンテナを組み合わせて開発された、日通所有のUM9A形へと大きく発展していく。 ウィキメディア・コモンズには、段積み返回送雑貨用タイプに関するメディアがあります。
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