標準SN比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 05:18 UTC 版)
現在のパラメータ設計では、市場調査等で、しばしば目的機能を対象にする場合がある。例えば、市場調査の結果、スイッチの場合、クリック感などが評価される。その目的機能は距離、押し圧の関係で波状の曲線形状となる。 このような曲線の場合は、変数変換で比例関係にはできない。SN比は、ノイズに対する安定性の評価であることから、比例関係でない場合も色々なノイズ条件下でも標準条件と同じように機能することを評価したいのである。この評価方法を標準SN比(別称 N0(エヌゼロ)法)と言うが、TS法及びT法と並び、新しい概念である。なお、古くから正常と異常の判定基準(0, 1)評価の標準寄与率から求められる標準SN比があるが、それとは区別されたい。 従来のSN比は、顧客の欲しい機能を表す信号の効果と顧客が望まないノイズの効果との比で表したものであるが、信号の効果の中には、比例項の変動 S β {\displaystyle S_{\beta }} と信号の2次項のばらつきSMresが含まれるため、そのばらつきは誤差変動 S e {\displaystyle S_{e}} とは別なばらつきでノイズの影響ではないのである。そこで、ノイズの影響だけが顧客が望まないものであるから、信号の効果とノイズの効果を完全に分離することを考えたのが標準SN比である。したがって、2段階設計では、まずノイズの効果だけを考えて最適条件を求めてから、信号の効果を β 1 = 1 {\displaystyle \beta _{1}=1} 、2次効果 β 2 = 0 {\displaystyle \beta _{2}=0} になるように要因効果図の制御因子でチューニングするのである。従来SN比に比べて再現性が高くなるのが特徴である。 従来のSN比は η = 10 log β 2 σ 2 {\displaystyle \eta =10\log {\frac {\beta ^{2}}{\sigma ^{2}}}} で表し、標準SN比は η = 10 log 1 σ 2 {\displaystyle \eta =10\log {\frac {1}{\sigma ^{2}}}} で表される。 標準SN比は、目的機能でも基本機能でも用いられるが、ベンチマークと品質の比較をする場合には再現性は必要ないので、従来SN比を用いることになる。
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