教会論
教会論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 10:46 UTC 版)
公会議の目に見える形でのもっとも大きな成果となったのが、中世以来の懸案であった教会論の確立である。これは『教会憲章』にみることができる。 第1章「教会の秘儀について」では、カトリック教会が唯一にして聖であり、普遍的なものであること、イエスがペトロに与えた権能を引き継ぐ教皇と司教たちによって治められる組織であるといいつつ、カトリック教会以外にも聖化と真理の要素が数多く見出されると補足する事で独善的傾向を避けている。 第2章「神の民について」では、神が個人でなく人々のグループを聖性に招いていること、その祖形がユダヤ民族に見られることを示す。また、カトリック教会に属さないキリスト教徒たち、ユダヤ教徒、イスラム教徒たちも唯一の神において互いに結ばれていると言明される。 第3章「教会の聖職位階制度、特に司教職について」では、第1バチカン公会議の議論を補完する形で教皇職の意味と司教団の団体制原理が示される。 以下、第4章「信徒について」、第5章「教会における聖性への普遍的召命について」、第6章「修道者について」、第7章「旅する教会の終末的性格および天上の教会との一致について」、第8章「キリストと教会の秘儀との中における神の母、処女聖マリアについて」と続くが、特にその中でそれまで聖職者・司祭は信徒より聖性のレベルが高いとみなしてきた教会が「すべての人が聖性に招かれている」という表現をしたことが革新的であるといえる。特にキリスト教の2000年の歴史の中で初めて、信徒が公式文書の中で言及されたことは特筆に価する。また、第8章のマリア論に関する部分は元来独立した文章になる予定であったが、エキュメニズム的観点とカトリック以外のキリスト教に対して攻撃的になってはならないという配慮からこの中に組み込まれた。
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