捕獲事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 06:33 UTC 版)
奈良公園外の都祁地区、月ヶ瀬地区以外の奈良市山間部にも約4000頭が生息しているが、その後、被害が公園外の周囲山間に拡大し、奈良市は1987年(昭和62年)から農家設置の防鹿柵の補助事業を始め約3億円、総延長46キロの柵が設けられた。しかし、奈良県の2014年(平成26年)調査報告で、2013年(平成25年)度までの5年間で、鹿による農業被害が「増えた」と感じている集落が72.5%に増えた。食害は水田に植えたばかりの稲被害のほか柿、椎茸、茶など多種にわたり、農家側では追い払うしか方法がなく、地元農家は以前に行政を相手取り損害賠償請求を提訴した後に和解したが、被害が続き、2000年 (平成12年)7月、県知事に「鹿害に伴う要望書」を提出していたが、いっそう広域化した。 奈良県は2008年(平成20年)12月からの「鹿のあり方検討会」を経て2013年(平成25年)に「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」を設立して鹿の保護管理計画を協議していたが、この被害広域化は深刻なものだと、これまでの「奈良市一円」に生息するシカ保護管理方針を修正し東部山間地区の頭数抑制を検討。文化庁は奈良公園中心部、その少し外側、外縁部などの4地区を設定し鹿の保護と管理の目安を示した。2016年(平成28年)、県は奈良公園から離れた地域の鹿を保護対象外とする管理計画を策定し従来の奈良市全域という保護指定から、方針変更した。 2017年(平成29年)5月に文化庁から文化財保護法の「現状変更」の許可を受け、8月1日から120頭を目標に猟友会に委託し、田原地区と東里地区で6カ所に箱わなを設置し捕獲事業を開始し、捕獲したシカは解体し、研究機関で年齢や栄養状態など生態を調べる。市民の野菜類の残滓の給餌や観光客などの餌付けが問題視され、鹿せんべい以外は与えないことを盛り込んだ条例化も検討されている。しかし、現状でも公園職員が止めても聞かない人は、かなりいて、規制体制の問題から進んでいない。この捕獲に、「奈良市鹿害阻止農家組合」は歓迎を表明したが、同年8月3日自然保護団体「一般財団法人 日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は、「奈良の神鹿文化を壊すな」と中止するよう要望書を提出した。8月17日に1頭が初捕獲され、解体して胃の内容物や遺伝子検査で農作物被害対策に活用する。
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