捕獲の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 14:31 UTC 版)
「ロジスティック方程式」の記事における「捕獲の影響」の解説
人間が資源として利用するための捕獲や収穫は、その種を絶滅させる可能性もあるほどの大きな影響を持っている。漁業分野では、水産資源を獲りつくさないように資源・漁業管理する必要性が認識されている。持続可能な漁業のためには、人間による漁獲量が漁獲対象の自然増加量を上回らないようにする必要がある。漁獲量と自然増加量が一致するとき資源は一定に保たれるので、このときの漁獲量を持続生産量と呼ぶ。さらに、可能な持続生産量の中でも最大のものを最大持続生産量(英語版)(MSY)と呼び、漁獲基準の一つの目安とされている。 この最大持続生産量の値をロジスティック方程式を利用して定量化するモデルを、ジェーファーのプロダクションモデルなどと呼ぶ。漁獲量(漁獲速度)を Y とすれば、次のように、ロジスティック方程式で表される個体数増加率(自然増加率)から Y を差し引いた値が実際の増加率となる。 d N d t = r N ( 1 − N K ) − Y {\displaystyle {\frac {dN}{dt}}\ =rN\left(1-{\frac {N}{K}}\right)-Y} dN/dt が 0 のときが資源一定状態なので、このときの漁獲量が持続生産量を示している。Y を含まないときの dN/dt の最大値は前述のとおり rK/4 である。これに釣り合う漁獲量が最大持続生産量であるから、このモデルでは最大持続生産量を rK/4 と得ることができる。 漁獲量 Y を単純な一定値とせずに、個体数に比例するようなモデルも考えられる。例えば、出漁する漁船の数が一定とすれば、捕獲の成果は生息している個体数に比例すると考える方が適当である。q と E を定数として q と E と N を掛け合わせたもので漁獲量を表せば、個体数増加率は d N d t = r N ( 1 − N K ) − q E N {\displaystyle {\frac {dN}{dt}}\ =rN\left(1-{\frac {N}{K}}\right)-qEN} となる。q は漁具効率、E は漁獲努力量と呼ばれる。このモデルの場合は、qE を内的自然増加率の半分 r/2 となるようにすれば、漁獲量を最大持続生産量にすることができる。ただし、以上のモデルは現実をかなり単純化したモデルである。環境の変化や他の生物との相互作用など、現実には様々な要因が関係しているため、多数の相互作用がある実際の生態系では成り立たない。実際の最大持続生産量の決定にはより高度な手法も使用されている。
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