建設と天竜川水力電気設立
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「豊根発電所」の記事における「建設と天竜川水力電気設立」の解説
天竜川沿いの静岡県浜松市天竜区(旧・磐田郡佐久間町)にはかつて銅を採掘する久根鉱山が存在した。1899年(明治32年)に古河市兵衛が買収しており、古河鉱業(現・古河機械金属)が運営していた。 古河鉱業では、久根鉱山で利用する電力を賄うため自家用発電所の「大滝発電所」を1913年(大正2年)11月に新設した。この発電所は鉱山から3キロメートルほど下流にあり、天竜川支流半血沢を利用する出力135キロワットの水力発電所であった。これに続いて2番目の自家用発電所として建設されたのが豊根発電所であり、1918年(大正7年)2月に運転を開始した。取水は天竜川水系大入川からで、川に堰堤(田鹿堰堤)を建設。山中を3.5キロメートルほど導水し、天竜川本流沿いの湯ノ島において落差206メートルを得て発電、天竜川へと放水した。発電所出力は当初1,070キロワット、増設後3,450キロワット。豊根発電所の完成により久根鉱山では削岩機の使用拡大や電動圧縮機・選鉱用粉砕機・運搬用電気機関車の導入など電化がさらに進んだ。 1920年(大正9年)5月20日、古河傘下の電力会社として天竜川水力電気が設立された。同社は古河鉱業から豊根発電所と上流部滝原地点の水利権を引き継ぎ、大戦景気により電力不足に陥っていた浜松市方面への電力供給を目指す。そして翌1921年(大正10年)、浜松変電所までの送電線を完成させ6月1日より浜松市内需要家への供給を開始し、11月からは愛知県の岡崎電灯(後の中部電力〈岡崎〉)に対する送電も始めた。こうして本格化した天竜川水力電気の事業であったが、同年11月末の決算では400万円の払込資本金に対し純利益は6万円余りに過ぎず、無配当であった。
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