工事などの発生防止策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 23:02 UTC 版)
その土地の地質や土地利用の目的などに応じた、さまざまな工法がある。 斜面崩壊や岩盤崩落の危険地帯では、斜面へのコンクリート吹き付けやプレキャストコンクリート枠の設置(法枠工)、法面アンカーの埋め込みなどの法面工(法面保護工)をはじめ、斜面への植樹(播種)や芝生張りといった植生工などが有効である。 水の作用が原因となりうる斜面崩壊や地すべりの危険地帯では、水を排除するため、水路の暗渠化、横方向のボーリング、集水井の設置などの地下水排除工、地表の排水路設置、雨水浸透防止などの地表水排除工が有効である。 地すべり地では、地すべり面上部の土を取り除く上部排土工と末端に盛土し擁壁で抑える抑え盛土工の併用という方法もある。盛土部は公園として利用されることが多い。 土石流の危険性が高い渓流では、構造物を設けて土砂を堆積させる砂防堰堤・治山ダムの設置も有効である。ただし、その容積が限られ、時間経過により埋まってしまうため、効果は限られる。 小規模で突発的な崩壊・崩落に対しては、危険地帯の道路沿い・鉄道沿いに落石シェッドや落石防止網、落石防止壁を取り付ける方法もあるが、1989年に福井県越前海岸で発生した崩落事故のように、稀に予想を超える規模の崩壊が発生して被害が生じる場合もある。これを補うものとして、衝撃や移動を検知する落石検知器や地すべり計、土石流センサーなどを設置して道路の管理事務所の警報装置と連動させるようなシステムもある。 日本以外でも、急峻な国土を持ち土砂災害の被害が多いインドネシア、ネパールなどで、日本の砂防技術を導入した対策が行われているところがあり、主にJICAを通じた技術支援により進められている。 ただし、砂防ダムが設けられていてもふもとで土石流の被害が発生してしまった例は少なくないことなどから、対策工事が行われたから安全だ、と思い込むことは危険である。
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