局所コンパクト群のヘッケ環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/22 22:32 UTC 版)
「ヘッケ環」の記事における「局所コンパクト群のヘッケ環」の解説
詳細は「局所コンパクト群のヘッケ環(英語版)」を参照 上に述べた岩堀ヘッケ環ははじめ、群論における非常に一般な構成の重要な特別の場合として現われた。 (G, K) を局所コンパクト群 G とその閉部分群 K からなる組とする。このとき、両側 K-不変連続函数の空間 C [ K ∖ G / K ] {\displaystyle C[\mathbf {K\backslash G/K} ]} H ( G / / K ) {\displaystyle {\mathcal {H}}(\mathbf {G/\!/K} )} G = SLn(Qp), K = SLn(Zp) G = SL2(Q), K = SL2(Z) の場合を考えればモジュラー形式の理論におけるヘッケ作用素の全体を背景とする抽象環に到達する。これが一般の場合のヘッケ環の名の由来となっている。 有限ワイル群のヘッケ環が誘導されるのは、G が位数 pk の有限体上で定義される有限シュバレー群で K = B がそのボレル部分群であるときである。岩堀はそのヘッケ環 H ( G / / K ) {\displaystyle {\mathcal {H}}(\mathbf {G/\!/K} )} が G のワイル群 W の一般ヘッケ環 Hq の不定元 q を有限体の濃度 pk に特殊化したものから得られることを示した。ジョージ・ルスティックは1984年の『有限体上の簡約群の指標』(Characters of reductive groups over a finite field) の xi ページ脚注で “ I think it would be most appropriate to call it the Iwahori algebra, but the name Hecke ring (or algebra) given by Iwahori himself has been in use for almost 20 years and it is probably too late to change it now.(私自身はこれを岩堀代数と呼ぶのが最も相応しいと思うが、岩堀自身によって付けられたヘッケ環の名がかれこれ20年ほど使われてきているので、今更変えようにも遅すぎるきらいがある) ” と記している。 Iwahori & Matsumoto (1965) は G がp-進数体 Qp のような非アルキメデス局所体 F 上で定義される、簡約代数群の有理点の群で、K が G の今日では岩堀部分群と呼ばれる部分群の場合を考察した。結果として得られるヘッケ環は G のアフィンワイル群のヘッケ環か、不定元 q が F の剰余体の位数であるようなアフィンヘッケ環に同型である。 1970年代にロジャー・ハウは、自身のあるいは p-進的な GLn の表現論に関するアレン・モイとの共著において、ヘッケ環を適切に構成することによる局所体上の簡約群の既約許容表現 (admissible representation) の分類の可能性を開いた(重要な貢献はヨゼフ・ベルンシュタインとアンドレイ・ゼルビンスキーによっても成されている)。この考え方はさらに、コリン・ブッシュネルとフィリップ・クツコーの「タイプの理論」に推し進められ、一般線型群 GL の場合については完全な分類が行われた。ここでの手法の多くは、いまだ活発に研究される部分が残っているほかの簡約群に対しても拡張して用いることができる。絶対に必要とされる任意のヘッケ環は、アフィンヘッケ環の mild な一般化になっていると予想されている。
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