固有語の「造語力」と借用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 09:50 UTC 版)
「固有語」の記事における「固有語の「造語力」と借用語」の解説
こうした現象を説明するとき、客観主義的アプローチにおいては、借用語の多さを決定する要因はその言語の固有語に自ずから造語力が備わっているかどうか、及び言語自体の中に借用を阻害する要因があるかどうかにかかっていると考える。 主観主義的アプローチは、こうした言語内的要因を無視しないが、しかし言語内的要因が誇張されていないかどうかを吟味し、客観主義の中にある主観性を洗い出そうとする。 例えば「固有語は生活語彙に限定され、造語力がないため、上層言語から語彙を借用しなければ抽象的な概念を言い表せない」という一般論に対しては、 文化的要因、特に話し手の「固有語は文化語彙にはふさわしくない」という主観的な意識が現存の語彙構造を作ったのであって、語彙構造が初めから造語力の有無を決めるわけではない。和語では言い表せないという思いこみが、和語での造語を妨げるのである。 上記の通り、固有語による文化語彙の造語は古典文明語に限らず、外部からの文化的影響を排除する必要性を話し手が感じている言語では現に行われていることである。 上記二点の反論が可能である。また、言語の音節構造が造語力の有無を決める(例えば中国語での音訳借用や、日本語での和語による造語は冗長になる)という理解にも、「冗長さ」は既存の語彙構造の中で対比することではじめて意識されるのであり、「冗長さ」を測る客観的尺度がない以上、少なくとも文化的要因を無視した普遍的な基準として適用できるものではない、と反論する。
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