問題の発生とその経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 03:21 UTC 版)
「女子柔道強化選手への暴力問題」の記事における「問題の発生とその経緯」の解説
2012年9月下旬に、ある選手が合宿中に監督の園田隆二に暴力を振るわれたことを全日本柔道連盟(以下、全柔連と記す)に訴えた。全柔連が園田と当該選手に事情聴取した結果、事実と判明した。この際に園田は「二度と暴力行為はしない」と約束したという。 しかし、10月下旬にブラジルのサルヴァドールで開催された世界団体の際に、園田はこの選手に対して「余計なことを言いふらしているらしいな」と厳しく責めたてたともいう。このような状況の中、11月5日に全柔連は園田の2016年リオデジャネイロオリンピックまでの監督続投を決定した。11月10日に園田は全柔連に始末書を提出して厳重注意を受けると、11月28日には当該選手に謝罪した。しかし、被害選手に高圧的な態度を取った園田に怒りを増幅させたロンドンオリンピック代表を含む女子の国際試合強化選手15名(引退した選手を含む)は、暴力の実態を把握しながら園田の続投を決定した全柔連には自浄能力がないと判断して、11月11日に園田らによる暴力やパワハラを訴える告発文書を作成すると、12月4日に日本オリンピック委員会(以下、JOCと記す)に提出した。さらに、12月25日には人事の見直しや、問題が解決されるまでの合宿の凍結、第3者による調査を求めるメールをJOC女性スポーツ専門部会に送付した。 2013年1月にJOCは告発者数名との面談を試みると、「怖かった」、「(園田監督の)顔は笑っていたんですが不安だった」との話を聞きだした。また、JOCからこの訴えを知らされた全柔連も再調査を試みた結果、2010年8月から2012年2月までの期間に暴力行為を5件確認することになった。 暴力の内容としては、竹刀で背中や尻を叩いたり、頭部にゲンコツ、顔面に平手打ちを食らわせたという。さらに、髪の毛を鷲づかみにしながら「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」、「死ね」などといった暴言も合わせて浴びせていたという。さらに、5件の暴力は1選手に対するものであり、実際は他の選手たちにもっと多くの暴力が振るわれていた可能性も指摘されている。さらに、怪我を抱えたオリンピック代表候補選手2名に対してそれを考慮することなく2011年11月の講道館杯に、「出ないなら代表に選ばない。負けてでも出ろ。」と出場を強要した。1人は足をひきずりながら出場するも、途中で敗れてケガを悪化させた。もう1人は世界ランキング1位ということもあって、敢えて治療を優先して出場を断ると、翌月のグランドスラム・東京の代表メンバーから外されただけでなく、年越し強化合宿のメンバーからも除外されるという制裁を受けることになった。 これを受けて1月19日に全柔連の倫理推進部会は、暴力行為に関わった園田と男性のコーチ2名及び、連帯責任としてコーチ4名の計6名の女子強化スタッフに文書による戒告処分を科した。また、この間の経緯を強化合宿中の選手に説明することにもなった。1月20日になると、告発選手側は園田らが軽い処分で終わったことに納得できず、弁護士の辻口信良に相談を持ちかけた。その数日後に辻口は東京で告発選手15名のうち12名と直接対面して、代理人を引き受けることにしたという。1月25日に全柔連は事実経過や改善点をJOCに説明した。だが、1月27日には9選手が改めて被害を訴えにJOCに直接赴いた。
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