各種規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/02 01:08 UTC 版)
財源規制自己の株式の取得には一定の剰余金が必要。(ただし、事業全部譲受、合併および吸収分割で承継する場合、反対株主買取請求権を行使された場合に取得するときに限り、財源規制はない。) 分配可能額との関係自己の株式の取得と引き換えに交付する金銭等の総額は、当該取得行為の効力発生日における分配可能額を超えてはならない。超過した場合は、関係者が連帯して金銭支払い義務を負う。なお、関係者とは、株式の譲渡人、その取得行為を行った会社の業務執行者、株主総会・取締役会の議案提案者のことをいう。 分配可能額の計算※1分配可能額= (1)+(2) (1)(最終事業年度の末日における)その他資本剰余金+その他利益剰余金-自己株式の帳簿価額+有価証券評価差額金※2+土地再評価差額金※2 (2)(最終事業年度の末日後に剰余金の配当を行った場合における)剰余金の配当の総額+準備金積立額※3※1前提条件は、次のとおり。臨時計算書類を作成していない。最終事業年度の末日後に自己株式の処分・消却、資本金・準備金の減少、吸収型再編受入行為・特定募集、剰余金の資本金への組入れを行っていない。不公正発行による責任履行により増加したその他資本剰余金はない。のれん等調整額はない。連結配当規制の適用を受けない。資本金の額+準備金の額+新株予約権の額+評価・換算差額等の額(差益が生じている場合に限る)が300万円以上である。 ※2評価損がある場合のみ ※3準備金の額が資本金の1/4に満たない場合における 自己株式の財源規制は「株主への払戻し」として、原則、分配可能額へと統一化されているが、事前規制の有無という観点で2通りに区分できる。適用あり(1)「配当等の制限」(会社法461条)として、金銭等交付額の分配可能額に対する超過を禁ずるもの(原則論。条文自体は取締役の責任に関するものとなっている) (2)取得条項付株式・取得請求権付株式(取締役の責任規律適用がふさわしくないケース) 適用なし(自己の意思と無関係に自己株式を取得するケース)組織再編等で承継する場合 株主の買取請求による場合 手続規制自己の株式の取得には株主総会や取締役会の決議が必要(155条、165条)。 取得することができる期間は、1年を超えてはならない(156条)。 開示規制上場会社の場合には、取得に関する決議後、直ちに適時開示が必要。(株主総会決議をする場合には、議案を決定する取締役会決議の時点) 取得期間内は、自己株券買付状況報告書の提出が必要(b:金融商品取引法第24条の6)。 保有している自己株式が5%超の場合には大量保有報告書が、1%以上の増減がある場合には変更報告書の提出が必要(b:金融商品取引法第27条の26等)。 公開買付による場合には、公開買付開始公告に加え、公開買付届出書等の提出が必要(b:金融商品取引法第27条の3)。 財務諸表(連結注記表、個別注記表)に注記が必要。 株主資本等変動計算書に期首からの移動として記載が必要。 内部者取引規制(インサイダー取引規制)上場会社による自己の株式の取得は、発行会社によるものであっても内部者取引規制の対象となっている。(外形的に合致していれば課徴金納付命令の対象となる。詳しくは、内部者取引を参照)。 貸借対照表上の純資産に個別表記される。 権利内容の制限(保有自己株式)議決権が認められていない(308条)。 剰余金の配当を受ける権利が認められていない(453条)。 残余財産の分配を受ける権利が認められていない。 募集株式の割当てを受ける権利が認められていない。 株式無償割当てを受ける権利が認められていない。
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