切り裂きジャックとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/16 06:04 UTC 版)
「マーサ・タブラム」の記事における「切り裂きジャックとの関係」の解説
当時の9月初旬の新聞の報道では、マーサ殺害事件を4月3日のエマ・エリザベス・スミス殺害や8月31日のメアリー・アン・ニコルズ殺害と結び付けていた。しかし、スミスは死ぬ前にギャングに襲われたと話していた。その後に起きた9月8日のアニー・チャップマン殺害や、9月30日のエリザベス・ストライドとキャサリン・エドーズ両名の殺害、11月9日のメアリー・ジェーン・ケリー殺害も、当時はマーサ殺害と結び付けて考えていた。現在、ニコルズ以下5名の殺害は一般に「カノニカル・ファイブ」と呼称され、切り裂きジャックの被害者と見なされている。殺害された5名は全員、ホワイトチャペル地区に住む貧しい売春婦だった。犯行は概して、週末や休日、またはそれに近い日に深夜の闇の中で行われた。犯行現場は奥まった場所で、一般人に立ち入りが許可されている場所が選ばれていた。タブラム殺害は8月7日の早朝に発生した。その前日の8月6日は法定休日だった。 警察はマーサ殺害をスミス殺害と結び付けなかったが、その後に起きた5件の殺人事件とは結び付けて考えた。後の世の切り裂きジャックを研究する学者たちのほとんどが、マーサを切り裂きジャックの犠牲者から除外してきた。主な理由として、マーサはその後に起きた事件の被害者のようには喉を切り裂かれていないことや、内臓を摘出されていないことが挙げられる。この考えはロンドン警視庁犯罪捜査部のメルヴィル・マクナーテン(英語版) (英: Melville Macnaghten) 本部長補が推進した。マクナーテンは1894年の覚書で、マーサは兵士のうちの誰かに殺害されたと仄めかすことを書いている。キリーン医師はマーサの遺体を調査しており、彼の意見はマクナーテンの見解を補強するものだった。キリーンは、マーサ殺害では2種類の武器が使用されたと考えていた。マーサの傷の中で1つ、胸骨を貫通しているものがあり、それに使用された武器はもう一方の武器より長く強靭な作りをしていたと見られる。短剣と考えられるが、銃剣の可能性もあった。他の傷はそれよりも細いナイフで付けられたと考えられた。 しかし、The Complete History of Jack the Ripper (ISBN 0-7867-0276-1) を著したフィリップ・サグデン (英: Philip Sugden) や、ピーター・アンダーウッド(英語版) (英: Peter Underwood) の著書Jack the Ripper: One Hundred Years of Mystery (ISBN 0-7137-1954-0) 中で取り上げられているショーン・デイ (英: Sean Day) などの研究者たちは、マーサも切り裂きジャックの被害者の可能性があると見なしている。マーサが殺害されたのは兵士の客と出かけた2時間以上後のことであり、マーサは別の客を誘う時間があったと考えられる。マクナーテンが警察に加わったのは殺人事件の後のことだった。そのため、マクナーテンの覚書には当時の警察官の一部の意見だけが反映されており、被疑者に関して伝えられた情報にいくらかの事実誤認が含まれている。また、シリアル・キラーが武器を変えたという事例も知られているが、シリアル・キラーは時間をかけて手口を発展させていくとも考えられる。切り裂きジャックも徐々に犠牲者をひどく切り刻むようになっていった。「カノニカル・ファイブ」の事件はホワイトチャペルの東西南北で起こっているが、マーサ殺害はその地理的な中心に近い場所で発生した。このような理由から、マーサ殺害が切り裂きジャックの最初の犯罪であり、その後に手口を変えたということもあり得るという見解もある。
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切り裂きジャックとの関係
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「エリザベス・ストライド」の記事における「切り裂きジャックとの関係」の解説
ストライド殺害の前にメアリー・アン・ニコルズ殺害事件とアニー・チャップマン殺害事件が近隣で起きており、ストライドの事件もホワイトチャペル殺人事件の捜査に加えられた。3人は同一人物に殺害されたと広く信じられている。しかし、一部の専門家は、ストライド殺害は他の殺人事件とは無関係であるという結論を出した。その根拠は、ストライドの遺体は切り刻まれていないこと、この事件だけホワイトチャペル・ロード(英語版)の南で起きていること、使用された刃物が他の事件よりも短くて別のデザインであることである。ただし、ほとんどの専門家は、独特の類似点からストライドの事件とその前に起きた2件の事件、さらに同夜に起きたキャサリン・エドウッズ殺害とを結び付けて考えている。 10月1日、Saucy Jacky postcard(英語版)と呼ばれる葉書がセントラル・ニューズ・エージェンシー(英語版)に届けられた。その葉書には「ジャック・ザ・リッパー」と署名されており、自身がストライドとエドウッズを殺した犯人であると主張していた。また、この2つの事件を「ダブル・イベント」(英: double event) と表現しており、この呼称はその後も使用されることになる。葉書は殺人事件が公表される前に郵送されており、単なるいたずらであれば事件についてそこまでの知識があるとは考えられないと論じられてきた。しかし、消印は殺人が起きてから24時間以上後に押されており、事件の詳細が記者やその地域の住民に知れ渡ってからかなり時間がたっていた。後に、警察当局は葉書を書いた記者を特定したと主張し、葉書をいたずらとして退けた。警察のこの評価は切り裂きジャック歴史研究家たちのほとんども同意している。
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